前回に続くレッドバロン試乗会のハナシ

 レッドバロンがプレス向け試乗会を開催し、ボクも参加。専門誌やWEBメディアなど、いろいろなところでレポートさせていただきましたと、前回ココでお伝えいたしました。

インナーチューブ径43mmの倒立式フロントフォークや専用のアルミスイングアームなどで足回りも強化されたハーレーダビッドソン屈指のスポーツモデル『XR1200』。

▲インナーチューブ径43mmの倒立式フロントフォークや専用のアルミスイングアームなどで足回りも強化されたハーレーダビッドソン屈指のスポーツモデル『XR1200』。(撮影:伊勢 悟)

 ボクも所有するハーレーダビッドソン『XR1200』があり、そのコンディションに良さに舌を巻きましたが、今回はじつはまだあった「ボクがめちゃくちゃ興奮したモデルたち」をご紹介いたしましょう!

それはズバリ“2スト”モデルたちです!

 厳格化した環境規制によって、一般公道向けの国産現行ラインナップでは絶滅してしまった2サイクルエンジン搭載車たち。中古車市場では注目度が高まりつつあり、なかでは価格高騰が止まらない人気加熱モデルも出現。

 今回の試乗会では、3機種を那須モータースポーツランド(栃木県那須塩原市)で走らせることができました!!

ライトウェイトスポーツの決定版!!

 ボクがまず注目したのは、ヤマハ『SDR』(1987年式)。軽量・スリムなトラスフレームに、最高出力34PS/9000rpmを発揮する水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載し、とにかくシンプル、ストイックなライトウェイトスポーツとしています。

125cc以下と言っても疑われないほど、スリムかつ軽量コンパクトなヤマハ『SDR200』。

▲125cc以下と言っても疑われないほど、スリムかつ軽量コンパクトなヤマハ『SDR200』。「ほそっ!」っと、見て思わず言葉が出ます。(撮影:伊勢 悟)

 登場した時代はレーサーレプリカブーム真っ只中で、スペック至上主義かつフルカウルが人気。時代に逆らうスタイルにヤマハは挑んだわけですが、プロジェクトリーダーは同じくスパルタンな『SRX600』も開発したというから、なんとなく納得できるのはボクだけではないはず。

メインフレームだけでなくスイングアームまでトラス構造としたシャシーに、最高出力34PSの水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載。徹底的に軽量化するため、リヤサスペンションをモノショックとし、シートもソロ仕様とした。

▲メインフレームだけでなくスイングアームまでトラス構造としたシャシーに、最高出力34PSの水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載。徹底的に軽量化するため、リアサスペンションをモノショックとし、シートもソロ仕様としています。(撮影:伊勢 悟)

『TZR125』(2RM)譲りのクランクケースリードバルブエンジンのボア・ストロークを拡大し、排気量を195cc化。吸気脈動を平滑化する『YEIS(YAMAHA Energy Induction System)』や、排気効率を高める『YPVS(YAMAHA Power Valve System)』、レスポンスを高めるフラットバルブキャブレターなどを採用するから、いま乗ってもピーキー過ぎることなく、アクセルをグイグイ開けて楽しめます。

 

若かりし頃はその素晴らしさ理解できず

 発売当時はまだ中学生だったボク。中免(自動二輪免許中型限定)を取得し、バイクを乗り回していた高校生の頃には中古車も出回っていましたが、当時のボクには『SDR』の良さに気づくことはできませんでした。

シャープな加速と優れたパワーウエイトレシオにより、速さを追求。操縦性、軽快な取り回しの良さによって、楽しさを突き詰めたヤマハ『SDR』。前後17インチの足回りには、中空3本スポークの軽合金製キャストホイールが採用されている。

▲シャープな加速と優れたパワーウエイトレシオにより、速さを追求。操縦性、軽快な取り回しの良さによって、楽しさを突き詰めたヤマハ『SDR』。前後17インチの足回りには、中空3本スポークの軽合金製キャストホイールが採用されています。(撮影:伊勢 悟)

 ただし、『SDRカップ』というワンメイクレースが開かれ、徹底的にカスタムされた車両が専門誌などで紹介されているのを見て、尊敬の念を抱いていたことも嘘ではありません。

 また、SDRのエンジンはオフロード車にも採用され、ボクはのちに『DT200R(3ET)』(1988年式)の中古車を購入するに至っていくのでした。こうして、抜群のコンディションの『SDR』を走らせていると、ルーツを辿っているようで感慨深いものがあります。

2ストオフローダーの異端児

 そんな『SDR』から続くヤマハの2スト200ccシリーズですが、『DT200WR(3XP)』(1991年)を経て『DT230ランツァ(4TP)』(1997年)へと進化していきます。はいっ、98年式の『DT230ランツァ』もありました。

競技で勝つことより、オフロードライディングに親しみ愉しむことに主眼を置き開発されたヤマハ『DT230ランツァ』。

ヤマハ『DT230ランツァ』は、競技で勝つことより、オフロードライディングを愉しむことに主眼を置き開発されました。(撮影:伊勢 悟)

 2ストロークモデルはオフロードでも優位性が高く、ナンバー付きの国産モデルを新車で購入できなくなった今となっては、中古車市場でも注目株のうちのひとつ。

『DT230ランツァ』では、新設計の鍛造ピストンとシリンダーによって排気量を224ccまでスケールアップ。ピーキーだけど速ければいいというのが、2ストオフローダーの利点とされていましたが、ランツァは低中速も重視し、セルスターターも搭載。扱いやすさをウリにしました。

新設計フレームにセルスターター装備の2ストローク224cc単気筒エンジンを積むヤマハ『DT230ランツァ』。潤滑オイル吐出量制御システムYCLSやアルミ製リアアームを備え、トラクションコントロールシステムも搭載した。

▲新設計フレームにセルスターター装備の2ストローク224cc単気筒エンジンを積むヤマハ『DT230ランツァ』。潤滑オイル吐出量制御システムYCLSやアルミ製リアアームを備え、トラクションコントロールシステムも搭載しています。(撮影:伊勢 悟)

 久々に乗ってみると、トルクバンドが広くやっぱり乗りやすい。たとえるなら“2スト版セロー”のようで、フロントフォークやリアサスペンションのストロークが短めで、足つき性が良く取り回しもしやすい。車体の軽さを活かし、ダート走行でも俊敏性が際立ちます。

 あっ、そうそう、那須モータースポーツランドにはオフロードコースもあり、ダート走行も楽しめるのです。

2ストオフローダーも絶好調!

前後サスのストロークは短めの設計ですが、しっかりと整備が行き届いていることもあって抜群の走破性を発揮。2ストオフローダーの軽さ、素晴らしい!

▲前後サスのストロークは短めの設計ですが、しっかりと整備が行き届いていることもあって抜群の走破性を発揮。2ストオフローダーの軽さ、素晴らしい!(撮影:伊勢 悟)

 このように、オフロードにて徹底的に『DT230ランツァ』を試乗させていただきましたが、戦闘力重視で、尖っているほど良しとされた当時の2ストトレールのなかで、親しみやすさやフレンドリーであることを重視した『DT230ランツァ』は貴重な存在であったと、改めて気付かされます。

見るからに高性能なノンカウル!!

 スズキ『ウルフ250』(1988年式)にも乗りました。RGV250ガンマ(VJ21A)のネイキッド版で、出力特性や2次減速比を見直し、低中速トルクおよび扱いやすさを増しています。

80年代、レーサーレプリカから派生したノンカウルモデルも存在しました。『RGV250ガンマ』のカウルを脱ぎ捨てたのが『ウルフ』でした。(

▲80年代、レーサーレプリカから派生したノンカウルモデルも存在しました。『RGV250ガンマ』のカウルを脱ぎ捨てたのが『ウルフ』でした。(撮影:伊勢 悟)

 1989年のカワサキ『ゼファー』がネイキッドブームを巻き起こしたことは広く知られていますが、レーサーレプリカのノンカウルモデルはそれより先にチラホラと登場し、根強く人気を博していたのです。カワサキ『GPZ400R』には『FX400R』が、ホンダ『VFR400R』には『VFR400Z』がありました。

 ちなみに『ゼファー』が大ヒットしたのは、空冷2バルブエンジンの美しさはさることながら、フレームや外装を専用設計し、ゼッツーを彷彿とさせる懐かしいシルエットを再現したからで、『ウルフ』たちレーサーレプリカから派生したモデルとは一線を画していたのです。

『RGV250ガンマ』のカウルを脱いだだけでなく、二次減速比を低中速寄りにし、フロントブレーキをシングルディスク化するなど、ネイキッドモデルとして最適化されたスズキ『WOLF250』。

▲『RGV250ガンマ』のカウルを脱いだだけでなく、二次減速比を低中速寄りにし、フロントブレーキをシングルディスク化、ライディングポジションの見直しなど、ネイキッドモデルとして最適化されたスズキ『WOLF250』。(撮影:伊勢 悟)

 まず見てわかるのが、レーサーレプリカご自慢の高剛性アルミフレームがドカーンと強い存在感であること。タンクやフェンダー、シートカウルなどもレーシングスタイルそのまんまです。

基本構成は『RGV250ガンマ』のまま。スパルタンでスポーティなネイキッドモデルであったスズキWOLF250。

▲基本構成は『RGV250ガンマ』のまま。スパルタンでスポーティなネイキッドモデルであった。(撮影:伊勢 悟)

 これがいま見ると、妙にカッコイイではありませんか。2ストロークエンジンならではのチャンバーもエンジン下にはっきり見えて、見るからに厳ついアルミ角断面スイングアームも高性能を猛アピール! レーサーレプリカ全盛期ならではの過激ともいえる、開発にお金もタップリとかかった超豪華な仕上がりに魅了されてやみません!!

2ストモデルも安心・おまかせ!!

 三者三様の2ストモデルたちを、バイク専用サーキット&ダートコースで存分に走らせていると、新車で販売されてから時代がかなり経つのに、コンディションが驚くほど優れることに感心するばかり。調子を維持するのが比較的難しい2ストエンジンなのに、目をみはる好調さなのです!

 ちなみに、メーターで総走行距離を確認すると以下の通り。

SDR(1987年式)6800km
DT230ランツァ(1998年式)5万7900km
ウルフ250(1988年式)2万1700km

 年式を考えれば相応、『SDR』に関していえば少なめですが、レッドバロンの良質な中古車なら、たとえ総走行距離がかさんでいても確実に整備が実施され、ベストコンディションが維持されています。

 つまりレッドバロンなら、年式を問わず2ストモデルも安心・安全に購入できるのです。甲高い懐かしのサウンド、高回転まで伸び切るエンジンフィール、軽快なハンドリング、もしも味わいたいのなら、最寄りのレッドバロンで相談してみてください! きっと欲しい機種が見つかるはずです!! 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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