レッドバロンが那須モータースポーツランドで開催している「ステップアップ試乗会」。3月30日(土)/31日(日)の開催を皮切りに2024年度の10回のプログラムがスタート! ちなみに今後のスケジュールは、5月18日(土)/19日(日)、7月26日(金)、27日(土)、28日(日)、9月6日(金)、7日(土)、8日(日)となっており、まだあと8回残っているから、まだ「ステップアップ試乗会」に行った事がないライダーはぜひ参加してみてほしい。

「ステップアップ試乗会」の2024年度予定

2024年度は10回の「ステップアップ試乗会」が那須モータースポーツランドで開催。詳しくは那須モータースポーツランドのホームページにて。参加費1000円で丸1日試乗車に乗り放題!

 

この「ステップアップ試乗会」、最大の特徴はやはり大型二輪免許を持っていなくてもビッグバイクに乗れてしまうところだ。つまり現状、普通二輪免許しか持っていないライダーが“ビッグバイクってどんなもんなのよ?”なんて感じでお試し試乗ができてしまうというわけ。実際に参加してみて、“ビッグバイクってやっぱりおもしろい! 乗りたい!!”となれば、大型二輪免許にステップアップして大型バイクを買ってね(できればレッドバロンでっ!)。……という内容だから「ステップアップ試乗会」なのだ。

「ステップアップ試乗会」の様子

大型二輪免許を持っていなくてもビッグバイクに乗れてしまう、夢のような試乗会がレッドバロンの「ステップアップ試乗会」だ。

 

参加資格は、「満18歳以上」、「普通二輪免許(AT限定は不可)を取得して1年以上が経過していること」の2つのみ。しかも、レッドバロンでバイクを買った“レッドバロン会員”であろうとなかろうとOKだから誰もが参加しやすい。

「ステップアップ試乗会」の様子

会場である那須モータースポーツランドに到着したらとにもかくにも受付へ。参加費の1000円(4輪で来場の場合は駐車代が別途必要)を払って試乗車リストを受け取ったら、早速お目当ての試乗車の列に並ぼう。

「ステップアップ試乗会」の様子

試乗車リストにはスケージュールの他、注意事項、禁止事項などのルールが書かれているので試乗前にしっかり読み込んでおく。

 

「ステップアップ試乗会」が開催されるのは、レッドバロンが管理する二輪用サーキット・那須モータースポーツランド。完全クローズドで自社管理するサーキットだからこそ、こんなアクロバティックな試乗会が開催可能。……なわけだが「ステップアップ試乗会」に参加すれば、大型バイクデビューはもちろんだけど憧れのサーキットデビューも一緒に果たせてしまうというわけ。

1度でも「ステップアップ試乗会」に参加したのなら、バイク仲間との会話の中で、「サーキットなら那須モータースポーツランドを走ったことがあるよ」なんてことを堂々と言えてしまうというわけだ。

那須モータースポーツランドのホームストレート

那須モータースポーツランドはレッドバロンが管理する二輪専用サーキットで、「ステップアップ試乗会」のような試乗会イベントの他、各種ライディングスクールやFanFunミーティングの会場としても活用されている……が、本来の業務はサーキットであり、イベントのない通常営業日にはフリー走行が可能でレーシングウエアなどの貸し出しも行っている。全長1146m、最大勾配4%、最小曲線半径15R、最大曲線半径125R。

 

「ステップアップ試乗会」のお昼休憩時には、きちんと那須モータースポーツランドでフリー走行するための「ライセンス講習会」も行っているので、サーキット走行に興味が出てきたらライセンスを取得してみよう。レッドバロン会員なら更新無料の永久ライセンスとなり、通常営業日には愛車でフリー走行が楽しめるようになるぞ。

「ライセンス講習会」の様子

「ライセンス講習会」やサーキット走行の詳細は、那須モータースポーツランドのHPで確認。

乗り比べ その2 ヤマハMT-07 & YZF-R7

この「ステップアップ試乗会」では、話題のニューモデルにいち早く乗れてしまうことも大きな魅力だ。今年も発売開始されたばかりの2024モデルがいち早く試乗車として登場。実名を挙げれば、スズキのGSX-S1000GX、GSX-8R、ヤマハのMT-07といったモデルたちだが、3月の時点でこれらの2024モデルに乗れてしまうというのがすごい。

「ステップアップ試乗会」の様子

最新のバイクにいち早く試乗できるのも「ステップアップ試乗会」の特徴。今回もスズキのGSX-S1000GXやGSX-8R、ヤマハのMT-07など発売されたばかりの2024モデルが用意され人気となっていた。試乗車両に関しては、試乗会の開催タイミングで随時更新される。

 

試乗車リストを見ていたら、おもしろいことに気づいてしまった。20台ほどの試乗車には、これらのニューモデルとエンジンや車体を共用する兄弟モデルもあるじゃない!? 

2024モデルのMT-07を走らせる筆者

「ステップアップ試乗会」で2024モデルのMT-07を走らせる筆者。MT-07は常用域やツーリングペースで走らせるのが楽しい。

 

ならば! と思いついたのが今回の乗り比べ企画。実際に「ステップアップ試乗会」に参加して兄弟モデルを試乗。その違いをレポートしてしまおうというわけだ。二輪媒体の仕事をしている僕は、バイクメーカーさんから直接バイクを借りて試乗することが多く、これら2024モデルにも乗ってはいるけど、兄弟モデルを“同条件で乗り比べ”する機会はそうそうないから非常に楽しみ! 第2回目は、ヤマハのYZF-R7と2024モデルでモデルチェンジしたMT-07を乗り比べてみるぞ!

YAMAHA MT-07ABS

この春モデルチェンジが行われ、新ハンドルバーや5インチTFTメーター採用などのブラッシュアップを受けたMT-07 ABS。搭載するエンジンは668ccの水冷4ストロークDOHC 4バルブのパラレルツインエンジン。最高出力は73ps/8750rpmで、最大トルクは6.8kg-m/6500rpm。(試乗車は写真のカラーリングと違う場合がある)

 

MT-07は、ヤマハのネイキッドシリーズである“MT”シリーズとして、今からちょうど10年前の2014に登場。程よいパワー感の668ccの水冷4ストロークDOHC 4バルブのパラレルツインエンジンと変にスポーツ性が高くない扱いやすいしなやかな車体が特徴のバイクだ。

2020年に大きなマイナーチェンジを実施しユーロ5対応やスタイリング変更、サスペンションのリセッティングを行なったMT-07だが、2024年のモデルチェンジは小変更にとどまっている。ハンドルポジションが1cm高くなり、スマートフォンコネクトに対応した新型の5インチTFTメーターを採用することになったくらいで、従来からの“大型初心者に優しい”乗り味は健在。

もうそれこそいろいろな媒体で“街乗りからツーリングまで非常に使いやすいマシンとなっている”なんて試乗記を書いてきたが、大型バイクデビューで迷ったらこのMT-07を選んでおけば幸せになれること間違いなし!と太鼓判を押させてもらおう。

「CP2」と名付けられた688ccの並列2気筒エンジン

「CP2」と名付けられた688ccの並列2気筒エンジン。左右のピストンが左右同時に上下する360°でも、交互に上下する180°でもなく、バラバラに動く270°のクランクレイアウトを採用。この270°クランクを採用するパラレルツインは最近の流行りであり、アフリカツインやGSX-8Sなど色々なマシンに採用されている。

 

さて一方のYZF-R7は、このMT-07のエンジンとメインフレームをベースにしたフルカウルマシン。ヤマハのフルカウルモデルの最高峰・YZF-R1がレーサーベースにもなるような“サーキットで勝てる”性能を追求しているのに対し、YZF-R7は、「サーキット入門車」に位置付けられている。

MT-07との主だった機能部品の違いを書けば、アシストスリッパークラッチの採用に、セパレートハンドル、倒立化したフロントフォーク。この他、リヤショック&リンク、センターブレース、フットレスト、シート、フューエルタンクといった部分も改変が加えられている。

MT-07をベースにフルカウル化されたモデルがYZF-R7

MT-07をベースにフルカウル化されたモデルがYZF-R7。外装が違うだけでしょ? と思ってしまうが実は色々なパーツが専用設計されており、きちんとサーキット走行が楽しめるようになっている。搭載するエンジンはMT-07と同じ668ccの 水冷4ストロークDOHC 4バルブのパラレルツインエンジンだがYZF-R7はスポーツ走行で便利なアシストスリッパークラッチを装備。ただし最高出力は73ps/8750rpmで、最大トルクは6.8kg-m/6500rpmとMT-07と変わらない。(試乗車は写真のカラーリングと違う場合がある)

 

実際に乗り比べてみると、「サーキット入門車」とはいえMT-07の優しい乗り味に対してかなり高負荷な走行状況に耐えるような車体になっていることがよくわかる。エンジン特性的には、MT-07とは違いよりスポーティなシフトダウンに対応するためのアシストスリッパークラッチが導入されており、1段飛ばしでシフトダウンして大きなバックトルクがかかった時に力を逃してリヤタイヤがロック&ホッピングしないようになっている。……が、吹け上がり方向の基本的なエンジンフィーリングはMT-07とそれほど変わらない。

YZF-R7を走らせる筆者

「ステップアップ試乗会」でYZF-R7を走らせる筆者。YZF-R7はより強いブレーキングやコーナーの脱出でパワーをかけた時の車体の安心感が高い。

 

ポジションにスタイリングなどいろいろ異なるMT-07とYZF-R7だが、実際に走らせてみてびっくりしたのは車体のキャラクターの違い。YZF-R7はやはり車体の剛性がものすごく高く感じるのだ。サスペンションの動きも硬めならコーナリング時の車体の剛性感もものすごく高いのだ。MT-07の車体は交差点レベルの低速コーナーでもしっかりとフレームがしなってタイヤを路面に押し付けているのが感じられるくらいなのだが、YZF-R7ではもっと速度をだして大きな応力をかけてやらないとこの感覚が得られない雰囲気。

当然ながら速度レンジが上がればより大きなブレーキ力が必要となり、YZF-R7のフロントブレーキは、ダブルディスクなだけでなくラジアルマウントキャリパーも採用。ついでに言えばラジアルポンプマスターシリンダーなんてハイスペックなパーツも採用されていたりする。実際、これらのパーツのおかげで急減速するような場合にはYZF-R7の方がしっかり感というか、安心してブレーキレバーを強く握り込める。YZF-R7の方がスポーツ性が高いのだ。

YZF-R7の倒立フォーク

正立フォークのMT-07に対して、YZF-R7はより高負荷なスポーツ走行に向くΦ41㎜倒立フォークを採用。左右のフォークオフセットもMT-07の190㎜から210㎜に増やしたことでステアリングまわりの剛性が格段にアップしている。

 

YZF-R7は倒立フォーク化によるフロントまわりの剛性強化とともに、フレームのピボット周りのセンターブレースとよばれるパーツでフレーム剛性をアップすることに加え、車体を全体的に前傾させたこととバランスをとるためスイングアームも伸ばしている。

YZF-R7はMT-07に比べて車体剛性が高い

画面中央あたり、スイングアームとフレームを繋いでいる部分がピボット。YZF-R7は、このピボットの上下のフレームを連結するセンターブレースを追加することでフレームの剛性を強化。技術発表では車体全体でねじれ剛性が20%もアップしているとのこと。

 

ネイキッドとフルカウル、スポーツ走行のためにきつめの前傾姿勢のポジションと楽チンポジション。ぱっと見ではそのくらいの違いしかわからないYZF-R7とMT-07。やはり実際に乗り比べてみるとそのキャラクターの違いがはっきりわかる。こんなマシンのキャラクターの違いがしっかり感じ取れるのも、「ステップアップ試乗会」のような同条件下で比較ができるからこそ。

しかもそれほど速いペースで走らなくてもちゃんとキャラクターの違いが感じ取れるのが面白い。これはベテラン先導ライダーがペースをしっかりコントロールしてくれるからこそ、ほぼ同条件での比較試乗が可能なのだ。「ステップアップ試乗会」では、こんなふうに色々なモデルを乗り比べてみるのも楽しいものだぞ!

 

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