愛車と別れるのはサミシイものだけど、せっかくならいい条件で引き取ってもらいたいのが人情。バイクの買い取りをしている方に何度も取材をしてきた経験を活かして、高額査定を引き出すためのポイントを並べていきたい。

ゴマカシはきかない……、一番重要なポイントはココ!

まず、結論から述べてしまうと、「普段からきちんとメンテナンスしているかどうか」が最大のポイントと言える。……なんとも身もフタもない結論だが、相手がショップや買い取り業者といったプロの場合、「小細工は(ほぼ)通用しない」のだ。

プロは査定項目を元に、各部を点検していく(ただし業者によってはいい加減な場合もある)。これは、「商品=中古車」として販売するために、「いくら整備費がかかるか」を見ていると言っていい。

もちろん高年式で走行距離が少ない方が査定額は高くなりがちだけど、乗らずに放置期間が長かった場合、ダストシールなどゴム類の劣化や、駆動系などに不調が発生しがち。こうしたバイクは中古車として販売する際、整備費用がかかるため、査定からマイナスされる要素が増えてしまう。乗りっ放しで、可動部に給油せず、タイヤやブレーキパッドなどの消耗品を交換していない車両も同様だ。

当サイトを運営しているレッドバロンに聞いたところ、「距離が進んだバイクでも、小まめに消耗品を換え、定期的にオイル交換をしたりと、大事にされてきた車両は高額査定を引き出せる可能性が高い」との回答。

あくまで走行距離や年式は目安。放置や乗りっ放しにした車両よりも、きちんと手を掛けられているか否かが重要だ。

 

ブレーキパッド

ブレーキパッド

タイヤ 溝、ヒビ

タイヤ

チェーン&スプロケット

チェーン&スプロケット

さらに、こうした消耗品のほか、シール類の交換が必要だと査定額がダウンしてしまう。タイヤは写真のようにミゾが残っていてもヒビが入っていると要交換となる。

よく聞くけど、「査定前の洗車」は効果アリ?

「査定前に洗車しておくと、査定額が上がりやすい」と聞いたことはないだろうか? その効果は昔からよく議論になりがちだけど、これは「ほぼ関係ない」が真相のようだ。この「ほぼ」が問題で、査定が上がる可能性が「わずかにある」と答える人もいた。

自分の知る限り、そもそもプロが行う査定の項目に「洗車の有無」というものはない。前述のように、あくまでバイク本体の状態が問われるからだ。買い取った側は、新たな持ち主に渡るまでの間に洗車し、外装をキレイにしてから販売するので、査定する際に洗車の有無は関係ないと言える。

ただし! 査定する側も人間だから、キレイなバイクの方が心証がよくなり、気持ちよく査定できるのは事実。直接査定額がアップすることはないが、「大事にされてきたバイク」というイメージから、査定が甘くなる効果を狙える可能性はある。それでも、相手がしっかり査定した場合、前述したような不具合や消耗品の状態はゴマかせない……。わずかな可能性に賭けたいなら、やっておきたいが、そのために多大な手間や費用がかかるなら、あえてやる意味はなさそうだ。

ダメージは自分で修理しなくてOK

「普段のメンテ」のほかにも、いくつか査定額を上げるポイントはある。以降は、そのコツを挙げていきたい。

外装に大きなダメージがある場合、自分でカウルなどのパーツを買って交換すれば査定額が上がる、と思ってしまいがちだが、そのまま売却した方がいいようだ。例え査定額が上がっても、それ以上にパーツ代が高くついてしまう方が多い(特に外装は高価)。

「走行していれば普通につく、飛び石などによるキズは、特に気にする必要はないです」(レッドバロン)とのこと。

外装のキズ

乗っていれば普通につくキズも特に気にしなくてOK。

純正パーツや付属品はなくさず保管したい

公道走行できないカスタムをしていた場合、元に戻さなければならないため、純正パーツが必要。その分、コストがかかるため、査定額はマイナスされてしまう。

特にマフラーは年式や仕向地によって規制が異なるため、故意でなくても違反しているケースも。また、カンタンにカスタムできるウインカーレンズやバルブの色が違法だったりなんて場合もある。

さらに純正パーツでは、タンデム関連とキーも要注意だ。

車検証で「乗車定員2名」と記載され、シングルシートカウルが標準で付属する車種は、売却の際にタンデムシートが必須(例えば従来型ハヤブサなど)。車検証の条件と異なってしまい、車検に通らなくなってしまう。

意外と重要なのがスペアキー。特にICチップが内蔵されているイモビライザー付きの場合、普通のカギ屋ではキーを複製できないので、査定で減額される。

ハヤブサシングルシートカウル

従来型ハヤブサに付属していたコブ状のシングルシートカウルは、タンデムシートを外して取り付ける。「乗車定員2名」で登録してある場合、タンデムシートが必要だ。

プラス査定になるのは人気&定番のカスタム

合法的なカスタムはプラス査定になりやすい。「特にマフラーやホイール、サスといった人気アイテムは歓迎」(レッドバロン)。この場合も、やはり純正パーツがあった方が増額が期待できる。

また、近頃人気のETC車載器もプラスになりやすい。乗り換えせず、使わないなら外さずに売却したい。ちなみにETC車載器は配線が複雑なので、取り外しに自信がないならプロに任せた方が無難だ。

合法マフラー

適法マフラーはしっかりプラス査定される。この場合も純正マフラーがあった方がなおいい。

相手がプロじゃなかったら、小細工が利く?

ここまではショップや業者といったプロに売却した場合の話。「それじゃあ売る相手がシロウトだったら、洗車などの小細工が通用すのでは」とワル知恵(?)がはたらく人もいるかもしれない。

つまり、ネットなどの個人売買では、多少コンディションに難があるバイクでも、外装さえピカピカにしたら高値で売りつけられるのでは? という意味だ。

もちろん、高く買ってもらえる可能性はなきにしもあらず……ながら、あとから難癖をつけられるケースも。また、相手の素姓が全くわからない場合、名義変更を一向にしてくれず、毎年、軽自動車勢などの納付書が送られてきたり、駐車違反など交通違反の責任を取らされたり……などトラブルの元になりがち。売る相手はよくよく考えてほしい。

まとめ:実は買い取りと「車検」は似ている!

結論としては、信頼できる相手を選び、普段から愛情をかけた(文字どおりの)愛車なら、高額査定を引き出せるハズ、ということ。

昔、レッドバロンで聞いた話が印象に残っている。

「買い取りは、車検と似た側面がある。普段、小まめに整備していれば車検時に大してお金はかからないけど、普段のメンテを怠っていれば一気に費用がかかってしまう。買い取りの査定でも同じことが起きる」

実践はなかなかムズカシイけど、皆さんもぜひ覚えておいてソンはない話ではないだろうか!?

 

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