安全に上手く乗りこなすテクニックを教えてくれる「那須MSLライディングスクール」。体験ルポの第2回は、8の字とスラロームをお届けしよう。ライディングの基本が凝縮された8の字には、上達のカギが満載されているので必見!
わかっていてもムズい、8の字の3ポイント
前回の記事「全ての基礎、ライポジは直立→ジワジワで作れ!【ライテクUP 講座1】」で 触れたとおり、8の字のコツを紹介していこう。ポイントは3つ。
まずポイント①は「目線」。まさに基本中の基本で、教習所でも様々なライテク講座でも言われる技術だけど、本当に大事! バイクは見た方に進むため、行きたい方向に視線をしっかり向けるのだ。
「目だけではなく、頭ごとしっかり顔を向けてください」と中井さん。上半身が自然とイン側を向いて素直に曲がれる。
さらに8の字では、4つの目線を意識する。
まず外側。ターンを始める目標地点(アプローチポイント)に向けて目線を送る。
次にパイロンを見てターンを開始。
続いて、車体がある程度向きを変えた段階で、すぐさま次のアプローチポイントを見るのが3つ目。さらに次のパイロン、と繰り返していく。
ポイント②は「ニーグリップ」。
これまた基本だが、実践するのは難しい。前回で解説したとおり、ニーグリップは“下半身でバイクを操るため”という目的に加え、上半身の力を抜くためにも必須。腕がガチガチだと、バイクが曲がろうとするセルフステアを押さえつけてしまう。「“下を固めて上を抜く”を意識してください」(中井さん)。
安全な公道走行にもつながる「大きく入って小さく回る」
ポイント③は「ライン取り」。まず下の図を見てほしい(筆者作製のため、雑で申し訳ないです)。
下図のように、アプローチポイントを外側にして、向きが変わった状態でイン側に寄せて小さく回るライン取りが重要だ。逆に、早めにパイロンへ寄ると、大回りになってしまう。
コンパクトに回るには、前述の目線と下半身のホールド、さらにスロットルオンのままリアブレーキを使うのがポイントだ。
上体を使った「メリハリ8の字」で仕上げ!
慣れてきたら最後に、しっかりと加減速するメリハリのついた8の字を目指す。前回記事のように「上体の前後の動き」を意識し、スロットルオンで前傾、ブレーキングで体を起こせば、操作がしやすい。
そして何よりメリハリをつけるためには、小さく回って直線区間を長く取ることが必須。このように直線的に立ち上がれるラインを意識すれば、ライン取りの自由度が広がり、ダイナミックな加速&減速も楽しめる。さらに、車体が直立する時間が長いため、公道での安全にも直結するのだ。
前回記事で中井さんが言っていた「最終的な目標は“スロットルをいかに開けられるか”」は、ここまで深い意味があったのだ。
小さく回る技術を応用! しかし悲劇が
続いては8の字の応用編とも言える、大小のコーナリングを学んだ。
パイロンで設定されたコースを走行するというもので、スラロームのセクションでは、教習所のコースよりもパイロンの本数が多い。またUターンや、パイロンを大きくオフセットした区間もある。
ここでは8の字で覚えた技術を活かし、下半身のホールドや大きく入って小さく回るライン取り、リアブレーキの技術を活かすことが求められる。
2グループに分かれ、まずはコースを下見。先導付きで1周した後、実走へ。しかし、コースが全然覚えられない上に、たまたま自分がトップバッターになっている。
「コースは間違えても大丈夫です。無理にコースへ戻ろうとすると後ろの参加者と衝突する場合もあるので、大回りに1周しても構いません」。また「ギアは1速がいいです」と言われていたにも関わらず、曲がる地点を間違えてタイトターンになり、しかもギアを2速に入れていた。
ここで悲劇が・・・・・・。
スロットルを開けたつもりが駆動力が十分かからない状態で車体を寝かし込んだため、転倒してしまったのだ(自戒と、これから参加する方の参考になれば、と思い、書いておきます)。
幸い、極低速での転倒だったので、体とバイクは走行に支障がなかった。また、すぐさまインストラクターやスタッフの方々が救援に来てくれたのが心強かった。
気を取り直して練習を再開。
「細々とパイロンがあるので下を見がちですが、顔を上げて加速に持っていくラインの組み立てをしてほしい」と竹内インストラクター。特にUターンは、しっかり減速して8の字でやったペースで曲がるのが重要とのこと。
他のグループと場所を入れ替え、ホームストレートへ移動。こちらではオフセットスラロームなどを行う。
正午になり、昼休憩! ここまでアッという間だった。
次回はいよいよ午後の部。ブレーキの練習を経て、いよいよ総まとめとなる本コースの走行に入る! お楽しみに!