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いよいよカリキュラムは“真髄”領域へ!
60㎞/hからの“入力一定”ブレーキングが思うようにいかず、少々心が折れたまま次の課題へ移行する短い間に、午後イチのミーティングで中井氏がおっしゃった注意点を脳内で必死に反すうします。
「制動特性の確認に引き続いての練習は『ブレーキングからコーナー』です。同じ直線を今度は80㎞/hで走って、ブレーキングをしながらスーッとコーナーへ侵入します。
道が曲がり込む前のストレート部分で減速をきっちり終わらせる、安全性を最優先した走り方も間違いではないのですが、よりスポーティにバイクを乗りこなすには、ブレーキを残しながらのコーナリングも必要……。というか皆さん、すでにそうやって走られています。
ですので、フロントブレーキの操作とバイクを寝かしていく操作をうまくリンクさせることを意識しつつ、その精度を上げていきましょう」……。
認めたくない。されど現実は冷徹……
実技練習がスタート。いやもう笑うしかありません。
速度を出す→減速開始→同時に倒し込み→コーナーを抜ける。文字に書くとこれだけのことが呆れるほどうまくいかないのです。
目標の80㎞/hを出すことは簡単ですが、おぼつかない“入力一定”ブレーキングに気を取られていると、上体がガチガチとなり倒し込みがおろそかに。オーバーランするかもという恐怖から車体を直立させて再び強くブレーキをかけ、今度は減速しすぎて改めてスロットルを開けて、またバンクさせ……。笑うに笑えない、幻(であってほしい)の多角形コーナリングが完成です。
トボトボとスタート待機列の後ろに付くと、トランシーバーを介して稲垣インストラクターからアドバイスが飛んできました。
「肩に力が入りすぎてます。午前中に学んだ“操作と動作の連動”を思い出しながら、いったん速度も落として安全第一で走ってみましょう!」
“出来ること”を少しずつ広げていこう
そうなのでした。焦って転んでは全てがパー。
そして、うまくいかない部分ばかりに意識がいくと、できていたことまで不完全になり、ますます焦ってしまいがち。誠意ある金言をかみしめて深呼吸。幸いにして練習時間はたっぷりあります。
苦手なブレーキングは取りあえず及第点を目指し、倒し込みの部分で旋回したがるGSFの動きを邪魔しないよう心がけることにしました。つまりは下半身で車体を確実にホールドし、上体を楽にしてハンドルへは無駄な力を可能なかぎり加えないように……。
おお! コーナーのクリッピングポイントへのアプローチを開始すべき場所にパイロンが置かれているのですが、不要な拘束から解かれた愛車は、そこからグイグイと曲がっていくではありませんか。
考えてみればすぐ分かることですけれど、ハンドルへ体重を預けないようにするとフワッとグリップ部分をつかむ感覚が得られ、ブレーキレバーやスロットルの操作も行いやすくなります。何を今さら、ですね(笑)。
「リーンウィズ」を極めるべし!
まるでモトクロスコースのような感情の起伏を味わったブレーキング関連の練習を終え、『ライン取り&フォームの検証』へと進みます。
舞台はピットロードと対極にある南側・第2~4コーナーのエリア。「ライン取りのポイントは大きく入って小さく寄せること。クリッピングポイントできちんと向きを変えて加速しましょう」と中井氏。まさしく古くて新しい、安全かつスポーティな走行のための鉄則。こちらも“言うは易し行うは難し”なのですけれど……。
そして今回、筆者が頭をハリセンで思い切り引っぱたかれたような衝撃を受けたのが、ライディングフォームについての言及でした。
インストラクター陣の一貫した主張として、「一般公道ではリーンウィズが大前提。ハングオフ(オン)はオススメしない」「お尻を動かすハングオフは下半身のホールドが難しい」「なので慣れないと上半身がガチガチになる」「サーキットを走るため、本質を理解して練習を重ねた上でのハングオフでなければリスクが高まるばかり」……。
ヒザすりに憧れて革ツナギもしつらえ、大きな尻をよいしょと動かし、ミニコースでは“無理ヒザ”をすれるようになって有頂天。峠道でもこれみよがしに腰をズラしまくっていた自分は何様だったのでしょう(←バカ殿様!?)。
ライン取り、そしてフォーム。
諸注意の直後でそれぞれのいい例、オススメしない例をインストラクター陣が華麗なデモンストレーションランで披露してくれます。目標とすべき走りを肉眼で確認でき(本当に目の前を快走!)、脳裏に刻み込むことができる利点は計り知れません。
カレッジはいよいよクライマックスへ……。
【参加者インタビュー⑥】 寄瀬尚子さん
【参加者インタビュー⑦】 寄瀬達也さん 50歳
>「ワンランク上のライダーへ!」 ライディングカレッジ体験記〈その1〉
>「飽きるほど(!?)に反復練習」 ライディングカレッジ体験記〈その2〉