145万2000円という価格にて、3気筒ならではのスポーツ性能に電子制御サスペンションやコーナリングランプといった魅力的な装備をプラスした俊敏ツアラー・ヤマハ トレーサー9GT。ディテール写真を見ながらその特徴を解説する。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:長谷川徹/真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ
エンジンとフレームを刷新。電子制御も進化した
ヤマハMT-09をベースとするスポーツツアラーのトレーサーは、車名をこれまでのトレーサー900から「トレーサー9」へと改め、日本仕様では電子制御サスペンションを装備する上級版の「GT」のみがラインナップされた。
【’21 YAMAHA TRACER9 GT】MT-09をベースとしたスポーツツアラーで、カウリング/3バッグ対応のリヤまわり/電子制御サスペンションなどを装備。旅装備も充実している。●色:銀 赤 灰 ●価格:145万2000円
[左]大型スクリーン/ブラッシュガード/独立したポジションランプを装備。タイヤは専用設計のブリヂストンT32を履く。[右]大型リヤシートを中心にツーリング向け装備が充実。一見すると大型だが3気筒エンジンを生かしたスリムさが際立つ。
エンジンはストロークアップによる排気量43cc増で4psのパワーアップを実現したが、エンジン高は拡大せず、同時に軽量化も果たしている。
MT-09と共通のフレームは完全新設計で、最新のCFアルミダイキャスト技術によって最低肉厚は1.7mmに。エンジン搭載角を47.5度から52.3度へと立て気味にし、コンパクト化とディメンションの最適化を行なった。また、スイングアームはMT-09よりも60mm延長。3バッグ+タンデムにも対応するため、スチール製シートレールを採用した。
ホイールは鍛造並みの強度と靭性のバランスを実現したスピンフォージド鋳造。電子制御はバンク角連動のトラクションコントロール/旋回をサポートするスライドコントロール/ウイリー抑止のリフトコントロールを盛り込むとともに、コーナリングランプや電子制御サスペンションの制御にもIMUが活用されている。
トレーサー9GTの特徴KYBと共同開発した2モードの電子制御サスペンション |
888ccの3気筒エンジンは左右の懸架ブラケットを独自チューニングして搭載。上下対応クイックシフターも装備する。
前後で約1000gの軽量化と慣性モーメントはF:11%、R:15%軽減したスピンフォージドホイール。キャリパーはモノブロック。
MT-09比で60mm延長された高剛性スイングアーム。ホイールベースは70mm長い。2次減速比を含むギヤ比はすべてMT-09と共通だ。
KYBと共同開発した2モードの 電子制御サスペンションを前後に装備。ソレノイドバルブを使用し、特に接地感にこだわった仕上げ。
【スクリーン&コーナリングランプを装備】スクリーンは5mm単位で10段階に調整可能。左右2眼に見えるのはポジションランプで、バンク角に応じたコーナリングランプを内蔵する。その下にあるのがYZF-R1などと同イメージの2眼LEDヘッドライトだ。
【左右に分割されたメーターが新鮮】フルカラーTFTの3.5インチダブルメーター。左ディスプレイに基本的な情報を表示し、右側には任意の情報を4つ選んで表示できる。各種電子制御モードもこの画面で調整。
燃料タンク容量は18Lで、WMTCモード燃費20.4km/Lと掛け合わせると航続距離は約367kmに。膝まわりのスリムさも特徴だ。
大型の分割シートで快適に。シート高は15mm幅で2段階に調整可能。ステップとハンドル位置もそれぞれ2段階に調整できる。
面発光的デザインのLEDテールランプ。サイドケース装着用のアッパーステーは標準装備。シートレールはスチール製だ。
【オプションの3バッグ装着で本格ツアラーとしても満点に】ユーロトップケース50L(3万6300円)/サイドケース(6万9300円)/サイドケースサポートステー(1万9800円)を装着した例。 |
新旧諸元比較:トレーサー9GT/トレーサー900/GT
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