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1速~4速はショートで5速はオーバードライブのよう
グロムはモンキーを始めとしたレジャーバイクを得意とするホンダが、「国境を越えたボーダーレスな若者カルチャー」を取り入れて2013年に発売した個性的なモデル。グローバル化を前提としているが、日本でもすっかり人気が定着しており、グロムを母体にモンキー125が派生するなどプラットフォームとしても重要な存在となっている。
これが2021年型でフルモデルチェンジし、グロムらしい個性的なスタイルは装いを新たに生まれ変わった。だが、見た目以上に注目なのは完全新作のエンジンを搭載し、ギアを従来の4速から5速に1速増やしていること。これにより、スポーティな外観通りの走行フィーリングになっているのは嬉しい。
というのも、グロムは元々タイで発売されていたウェーブ系の空冷単気筒ユニットを、ギアをそのままにマニュアルミッション化したエンジンを搭載しており、スポーツ車のボディに実用車の変速比が組み合わされていた。ギアのつながりがワイドレシオで、まったりした走行フィールにはミスマッチな面があったのだ。
それが、ショートレシオ+オーバードライブの5速ミッションを搭載することで、どうなったのか? 従来より格段にキビキビと走れるようになり、ウェーブシリーズのお下がりではないグロムならではの走りを獲得している。
あれ!? 5速に入れる事があまりないんだけど…
新型グロムは、1~4速は従来よりもカバーする速度域は狭い分、ギア比的には加速重視のレシオになっている。それでも、4速まであれば街中は十分カバーできるので、5速を使わなくても事足りることが多い。
新旧を数字で比較すると、7000rpmでの速度は、1速は新型の29.3km/hに対し従来型は33.8km/h。2速は46.9km/hに対して54.6km/h、3速は63.4km/hに対し73.6km/h、4速は80.7km/hに対して91.7km/hという具合だ。高速に乗らない125ccモデルとしては、4速までの範囲で全速度域を余裕でカバーすることができる上、新型は2~4速が1速に近づいているのでよりレスポンスよく走ることができる訳だ。
そして、新型グロムにしかない5速は7000rpmで98.9km/hになる。ちなみに新型のエンジンは最高出力発生回転数が7000→7250rpmに引き上げられており、その際の最高速は102.5km/hにもなる。HRCからレースベース車も発売されているグロムにおいては、サーキットでのポテンシャルも重要な項目。それに応える変更であるとともに、オーバードライブ的な5速があればツーリングで燃費を稼ぐこともできるだろう。
ABSを標準装備しても車重は2kg減、サスペンションの作動も良好
グロムはモンキー125のベースになったモデルだが、モンキーのようなソフトな乗り心地ではなく、しっかりとダンパーの効いたスポーツ志向の足回りとなっている。そのため、コーナリング中にギャップを拾っても挙動は少な目で安心感が高い。また、タイヤのグリップもしっかりと感じられるので、サーキットでもかなり楽しめそうだ。
そして、ブレーキは義務化によりこの2021年型からABSが標準装備されている。ABSはフロントのみで作動する簡易タイプだが、雨天などの滑りやすい路面ではありがたい装備となる。また、ABSが追加されたにも関わらず非ABSの従来モデルより2kg軽量化されていることも特筆すべきだろう。
前後12インチホイールは新デザインの5本スポークを採用し、軽快でスポーティな印象。ユニークなタンクカバーは装飾ボルトで着脱可能なので、より気軽にカスタムできるようになっている。初代グロムから盛り込まれている“遊び心”は新型でも健在。バイクを楽しむための要素を凝縮したビギナーのファーストバイクに、またベテランのセカンドバイクにも超おススメのモデルだ。
2021年型ホンダ・グロム主要諸元
・全長×全幅×全高:1760×720×1015mm
・ホイールベース:1200mm
・シート高:761mm
・車重:102kg
・エジンン:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 123cc
・最高出力:10PS/7250rpm
・最大トルク:1.1㎏m/5500rpm
・燃料タンク容量:6.0L
・変速機:5速リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-12、R=130/70-12
・価格:38万5000円