毎年行われているJAIA(日本輸入車組合)による最新モデルにイッキ乗りできる試乗会。昨年はコロナウィルスの影響で中止になったけど、今年は開催されました。前回「ドゥカティ編」として最新ドゥカティ3台に試乗した感想を書きました。今回はそのほかのメーカーで、個人的に気になったモデルをリポートします。とはいえ1台あたり45分の“チョイ乗り”なので、感想程度ですが!

BMW謹製のメガクルーザー、R18

今回の試乗会で絶対に載ってみたかったのがBMW「R18」。1802ccというBMWモーターサイクル史上最大の排気量をもつクルーザーだ。「BMWがなぜハーレーのようなクルーザーを?」と思う人もいるかもしれない。僕も正直、そう思わないでもないが、きっとBMWの“チャレンジ”なのだと思う。

じつは2000年代初頭、BMWは「1200C」というクルーザーをラインナップしていて、僕はその1200Cに1年半ほど乗っていたことがある。モデルライフとしては短命に終わってしまったのだが、僕はクルーザーのスタイリングとBMWのスポーティさを融合させたコンセプトがかなり気に入っていた。なので今回の「R18」には興味津々だったのだ。

BMW R18

BMWモトラッド史上最大排気量のボクサーツインエンジンを搭載した「R18」

 

実車に相対すると、サイズはかなり大きい。デザインはかなりクラシックに振られていて、今から90年近く前、1930年代の「R5」がモチーフになっているようだ。ただしシートは低く、足つき性はよとてもいい。低重心のボクサーツインエンジンとも相まって、跨ってしまえば不安な感じはない。で、エンジンを始動したら思わず笑ってしまった。ブルン!!と車体が盛大に横揺れするのだ。これはピストンが左右に動く、ボクサーエンジンの特徴でもあるのだが、それを隠そうとせず、むしろキャラクターとして活かしている。こういうところはやはり、日本のメーカーにはない面白さだと思う。

BMW R18のエンジン

エンジンは新開発の1802ccOHV空油冷水平対向2気筒

エンジンモードはロック&ロール!

走り出すと、さすがBMWという感じで、エンジンはとても扱いやすく、ぐっとジェントルだ。最高出力は91psと排気量のわりに控えめだが、最大トルクは158Nmと強力だから、正直もっとワイルドな走りを想像していた。とはいえこの洗練された感じが、“鐡馬”ことハーレーとの差別化ポイントになるのだろう。

エンジンは「ロック」「ロール」「レイン」の3つのモードが選べる。ロックがスポーツ、ロールがノーマルモードに相当するようだが、つまりRock&Roll! 僕のようなロック好きはその遊びゴコロある名前の付け方にぐっと来てしまう。走り出しは「ロール」モードだったが、途中で「ロック」に変えると、印象は大きく変わった。ドロドロドロっ!と、大排気量ツインの迫力を感じさせる怒涛の加速感が味わえる。

BMW R18のメーター

単眼のシンプルなメーター。RAIN、ROLL,ROCKのモードを選べる

 

短い時間ではあったが、BMW流クルーザーの魅力は味わえた。とはいえこれはやはりBMWモーターサイクルの“本流”ではないのは確かだし、そのサイズ的にも300万円近い価格的にもハードルはかなり高い。そうとうなBMW好き、あるいはこだわりを持ったライダーが選ぶモデルだろう。先に書いたように、BMW製クルーザーにもともと好感を持っている僕としては、とても楽しめた。

660ccトリプルを積んだトラの新ロードスター

もう1台の注目はトライアンフの「トライデント660」。トライアンフのお家芸といえる3気筒エンジンを積んだニューモデルだ。同じミドルクラスのモデルとしては「ストリートトリプル」シリーズがラインナップされているが、この“ストトリ”がとてもいいバイクなので、その派生モデルともいえるトライデント660がいったいどんなモデルなのか?ということにはとても興味があった。

トライアンフ・トライデント660

トライアンフ伝統の「トライデント」という車名で登場した新ロードスター。サイズは非常にコンパクト

 

サイズは660ccにしてはとてもコンパクトで、とくに縦方向にギュッと詰まっている感じが強い。見るからに機敏に走りそうなのだが、じっさいに乗ってもその印象どおりのバイクだった。3気筒エンジンはやはり絶品。ストリートトリプルに比べると、少しマイルドに乗りやすく躾けられているが、とはいえ81psと64Nmは車体に対して十分以上にパワフル。ハンドリングも軽快なので、とにかく“意のまま”感がハンパない。今回のようなチョイ乗りでもすぐ身体になじむから、とにかく楽しい!

ストリートトリプルとその兄貴分のスピードトリプルとも“2つ目”の厳つい顔がアイコンになっているが、それに対してこのトライデントはシンプルな丸目1灯。全体に余計な装飾のないミニマルなスタイリングが特徴。価格も97万9000円とこのクラスとしてはリーズナブルだから、初めての外車、初めての大型、あるいはこれまで大きいバイクに乗ってきた人がダウンサイズするのにもいいかもしれない。

トライアンフ660トライデントのメーター

TFTカラー液晶を採用したメーター。シンプルながら多機能

 

街乗り、ツーリングと、いろいろな目的で乗れそうだし、シンプルで飽きのこないデザインだと思う。カラーは、僕はマットブラックが好みかな。今回JAIA試乗会で乗ったなかでも、現実的な選択としておすすめ度はいちばんかも?

トライアンフ660トライデント

あと何台か紹介したいバイクがあるのだけど、今回は2台でけっこう文字数を費やしてしまったので、このJAIA試乗会編、もう1回続きます!

BMW RnineTアーバンGS

BMW RnineT アーバンG/SにGS40周年記念車として、かつての「R100GS」をモチーフにしたカラーリングを施したモデルが展示されていた。

 

 

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