1月19日、電動キックボードなどが対象となる新区分「特定原付(特定小型原動機付自転車)」に関する改正道交法の施行が7月1日(土)に決まったと報道各社が速報した。
それに先立つ昨年12月23日には、国交省から特定原付に関する保安基準も示されており、これにより特定原付区分の運用がだいたい見えるようになった。今回は、この特定原付について紹介しよう。
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新区分「特定原付」のこれだけは知っておきたい
今回の、道路交通法ならびに道路運送車両法の一部改正でまず知っておきたいことは、原付一種の車両区分がが2つに分かれるということだ。既存の原付一種については「一般原付(一般原動機付自転車)」という名称になる。いま販売されている「原付スクーター」は「一般原付スクーター」になるわけだ。
【7月1日以降(予定)の原付一種は区分が2つ】
新たな名称 | 概 要 |
特定原付 (特定小型原動機付自転車) |
●電動車のみ |
一般原付 (一般原動機付自転車) |
基本的にはこれまでの原付一種と同じ ●電動に限らない ●原付以上の免許が必要 ●ヘルメットは必要 ●最高速度は30km/h ●歩道や自転車レーンなどは走行不可 ●ナンバープレート(車両の登録)は必要 ●自賠責保険加入も必要 |
「特定原付」は自転車と原付バイクのイイとこ取り?
特定原付に関する主な保安基準は以下の図を参考にしてほしい。自転車と同じ通行帯ということもあって後写鏡(バックミラー)は不要となったが、車道も走るのでウインカーや尾灯、制動灯などはバイクと同じように必要だ。ナンバープレートは現在の原付一種のものより小型化される可能性が高いだろう。
「特定」と「一般」の電動キックボードが混走?
7月1日以降は街中に2つの車両区分の電動キックボードが混走する可能性がある。ひとつは今回成立させる特定原付区分のもの、もうひとつは特定原付の保安基準を満たせなかった(満たさなかった)一般原付区分のもので、既存の電動キックボードもここに含まれる。
改正道交法の施行後も、中国などから電動キックボードを輸入して一般原付として販売する業者もいるはずだ。ニッチな市場になるかもしれないが…。
特定原付は緑色のランプを装備
さて、特定原付区分の車両には、周囲からひとめでわかるように緑色のランプが前後に装着される予定だ。通常走行時(最高速度20km/hの状態)はランプが常時点灯しており、歩道走行モード(6km/h以下の状態)に切り替えるとランプが点滅し続けるという仕様。
なので、2つの区分を見分けるには「緑色のランプがあるかないか」ということになる。
もちろん、一般原付の電動キックボードであれば、原付バイク同様、運転時にヘルメットをかぶらなければならないが、ヘルメットをかぶらずに乗る人もいるかもということを想定してのランプ装着だろう。
「特定原付」車両はどんな人に向いてるの?
特定原付区分が設置された背景には、少子高齢化、免許返納後の移動問題、公共交通の衰退といった社会課題がある。路線バスがなくなった、バスの本数が減ったので、駅まで1~2kmの距離を気軽に移動したいなど、いわゆるラストワンマイル需要はまさにメインターゲットとなるだろう。
通勤時は駅まで汗だくで自転車をこいでいたが、これからは電動キックボードに乗ってラクに移動する。子どもを保育園に送るために電動アシスト自転車で移動していたけど、これから一人で移動するときは電動キックボードを選ぶといった具合だ。
なお、電動キックボードタイプの多くは足を前後に置いて乗るもので、多くの人がこれまであまり体験してこなかった乗り方となる。これにどうしても馴染めないのであれば、モーターサイクルタイプ(自転車タイプ)も登場予定なので、そちらを選ぶといいだろう。ヤマハのトリタウンのような3輪あるいは4輪で安定性を高めたものも登場するかもしれない。
意見のある人はコチラまで! 警察庁がパブコメを実施中
特定原付に関わる全般について、1月20日から2月18日まで警察庁がパブリック・コメントを実施している。「『道路交通法施行令の一部を改正する政令案』等に対する意見の募集について」というもので、道路交通法や道路車両運送法、道路標識や補助標識、道路標示など特定原付登場に合わせて変更を予定している内容について幅広く意見を集めている。
保安基準や道交法、道路運送車両法に関わる法規など現在公表されているものは、厳密に言えばまだ「案」の状態だ。パブコメでくつがえる可能性がないわけではない。
意見があるという方はぜひ下記、警察庁宛てにメールしてほしい。
電子メール:koutsukikakuka2@npa.go.jp