DIYメンテナンス時のありがちな失敗をリカバーする
自分で整備やメンテをしていると、まれにボルトの頭をナメてしまうようなことがあります。
最も多いのはプラスの頭のボルトではないでしょうか? プラスのドライバーはボルトに対して押す力が「7」、回す力「3」という使い方のコツがあって扱いが難しく、押し付けが弱いと緩める際にドライバーの先端が浮き上がって外れてしまう「カムアウト」を起こし、プラス溝を壊してしまいます。
また、キャップボルトでも油断はできません。90年代のカスタムブーム時に流行した色付きアルマイトのアルミボルトは柔らかくナメやすいので要注意です。
万が一ボルトの頭がナメてしまったならば(というか緩める時にナメそうだと感じたならば)、その時点でプロに依頼するのが確実です。
ただ、ボルトの頭を削り落として対処できそうであったり、自身でリカバー可能と判断できる部分に関しては、ここで紹介するネジザウルスを試してみることをおすすめします。
ネジザウルスは、ナメたボルトを外すための専用工具でボルトサイズに合わせ、多彩なラインナップがあります。
見た目は普通のプライヤーのように見えますが、キモはアゴの部分にあります。
半円断面のアゴ先端に設けられた縦溝がボルトの頭にガッチリ喰い込むことで「掴んで緩める」ことができるのです。
今回はバイクの整備に最適な「ネジザウルスGT PZ-58」を使い、実際に工具のかかる部分が崩壊したプラスボルトを緩めてみました。
PZ-58の対応ねじサイズはφ3~9.5mmとなります。
頭がナメた取り外し困難なボルトをネジザウルスで緩めてみた!
写真はスーパーカブの風防のプラスボルトです。
スチール製のボルトなので永年の風雨によって、腐食が発生していました。このままでは、見た目に美しくないので新しいボルトに交換したいのですが、サビてもろくなっていたこともあり、外す時にナメてしまいました。
ボルトの裏側からナットで締められているので、最悪ボルトの頭を削り落とせばリカバリーできますが、少し大変な作業なのでネジザウルスを試してみることにします。
ボルトの頭の部分をネジザウルスの先端で掴みます。
ネジザウルスのグリップをしっかり握って緩める方向に回していきます。
縦溝がボルトにガッチリ喰い込むのでスリップすることなく緩めていくことができます。
無事、頭のナメたボルトを外すことができました!
ネジザウルスはグリップの根本にスプリングが内蔵されており、手を離せば自然に顎が開くのでスピーディに作業を進めることができました。
ボルトの頭が掴めるならば、どんなボルトにも使うことができる!
ネジザウルスはボルトの頭を掴むことができれば、どんな場所でも使うことができます。
もちろん、キャップボルトを緩めることも可能です。
ただし、あくまで手の力のみで緩めるので頑固に固着しているボルトや、頭の部分が露出していないボルトには基本的に使うことができません。
その場合、ドリルでボルトのセンターに穴を開けて新たにねじ山を切り直して再生したり、「エキストラクター」と呼ばれる逆タップを使用して緩めるなどの方法があります。
しかし、ここで失敗すると後が無いので相当の自信と覚悟がない限りは、自ら挑戦することはおすすめしません。逆に言えば、ネジザウルスが使える箇所であれば自分で対処できる範囲であるとも言えます。
いざという時のレスキューの意味で、ネジザウルスを持っておくのも良いかもしれません。