今でも欲しい、だけどなぜかタイミングが合わなかった
18歳で自動二輪免許(当時は中型限定免許・いわゆる中免)を取得してから、45歳になる今までに30台近くのバイクを所有してきた。なかには半年ほどで手放してしまったモデルもあるが、現在所有しているSR400は93年式が12年目に突入し、新車で購入した14年式も7年目となっている。
若いころに比べると、バイク1台を所有する期間がずいぶんと長くなってしまったが、それでもたまに買い替えたくなったり、増車したくなってホントに増車してしまったり……その結果、不動のCT110とかカメラマンさんなどと三者共同所有のBeta ALP200を購入したりと、これからも愛車歴はちょこちょこ更新されそうな感じだ。
さて、そんな買替え癖・増車癖のある僕の頭の片隅に常にあるバイクのひとつが、ヤマハ トリッカーだ。
はじめて登場したのは2004年。当時ストリートバイク専門誌「カスタムバーニング」編集部に在籍していた僕は、静岡県のエコパスタジアム駐車場でおこなわれたメディア向け試乗会を猛烈に覚えている。
だだっ広い駐車場にパイロンなどを並べた特設コースが作られて、それは公道モデルの試乗会というより、ジムカーナかBMXの大会のような雰囲気。当時はストリートバイク&トラッカーカスタム全盛期ということもあって、そうしたブームに乗ったモデルかと思われたが、そのデザインはSRやTW、FTRなどとはまったく違うもの。まさにBMXのバイク版ともいうべきモデルで、当時は「斬新なスタイルだなぁ」と感心しきり。それでいていざ乗ってみると、駐車場内に作られた狭いコースをクルクルと自在に走ることができて、今までにないスタイリングと乗り味がとてつもなく楽しかったのだ。
当時、本気で「欲しい!」と思ったのだが……その前年にセロー225WEを新車で買ったばかり。セローはとても気に入っていて、さらに林道ツーリングにハマっていたこともあって断念。
そう、トリッカーは一見オフロードバイクのようなスタイリングなのだが、セローのようなゴリゴリのオフロードバイクとは違う。コンセプトは「FREE RIDE PLAY BIKE」で、BMXやスケートボード、サーフィンといったXゲームのノリをバイクで表現しようというもの。
だからパイロンの周りをぐるぐる回ったり、ちょっとしたアップダウンを楽しむのは得意なのだが、当時僕がハマっていた「ゲロゲロ林道キャンプツーリング」のようなドロドロなツーリングには、やっぱりセローの方が適しているのだ。
だけど、セローを手放してからは林道ツーリングにも行かなくなり、バイクはもっぱら街乗りばかり……そうなると、またまた「トリッカーって街乗りにサイコーだよね!」なんてことを思い出すのだ。
しかも2008年からは燃料タンク容量が増えて、実用性もアップ。この時も買おうかどうか悩んだ。……が、当時は会社をやめてフリーランスになったばかり。しかも結婚までしてしまった。とてもじゃないがバイクを買っている余裕などなかったのだ(苦笑)。
そして昨年! いよいよトリッカーも生産終了……うーん、新車で手に入れるラストチャンス……どうしようか……。
なんて思っていたところに、某カメラマン氏と某ウェブメディア編集長氏に「Beta ALP200をみんなで買うんですが、ひと口乗りませんか? 今なら我々3人で車両代や維持費を割るんでお得っすよ!」という悪魔の囁き!!
いやいや、こちらはトリッカーの最終モデルか、それともセロー ファイナルエディションもいいなーなんて悩んでいたのに、なんだよBeta ALP200って。ゴリゴリのオフ車じゃねーか! ……乗ってみたら、楽しいじゃねーか!!
というわけで、ALP200のオーナー(権利は1/3)になってしまい、今回も機を逃してしまったというわけなのだ。
ちなみに、トリッカーにもセロー250やSR400のようにファイナルエディションが出ていたら、きっとそれが後押しになって購入していたと思うのです、はい。
というわけで、いつも頭の片隅にある「欲しいバイクリスト」上位にありながら、今まで縁がなかったトリッカー。果たして、これから縁はやってくるのだろうか?
トリッカーの何がそこまで僕を魅了するのか?
スタイリング
ストリートバイクブーム全盛期に生まれたトリッカーは、オンリーワンのスタイリングが大きな魅力である。先述のとおり、BMXなどのXゲームの世界観をバイクで具現化したルックスは、SRやTW、FTRにはないもの。カスタムなどしなくても、十分すぎる個性を発揮している。
街中もエキサイティング
クルクル回れて楽しく、街中の交差点でさえエキサイティングな気分になれる。また、本格的なオフロードコースは苦手だけれど、フラットダート+αくらいの林道だったら難なく走破できるオフロード性能の高さも魅力。ただし、フロント19インチ、リヤ16インチホイールは選べるオフロードタイヤが少ないのが残念なポイントだ。
扱いやすい
シート高は810mmで、スリムなシートと相まって足つきは良い。これならツーリング途中にちょっとしたダートがあっても、躊躇なく入っていける。また、ハンドル切れ角も大きく、軽い車体もあってUターンもラクにこなせる。初心者に扱いやすく、ベテランをも満足させる完成度の高いハンドリング性能は、僕が一番気に入っているポイントだ。
……と、ここまで書いておいて、なぜ僕はトリッカーを所有していないのだろう? もう一度その理由を探るため、近所のレッドバロンにトリッカーの実車を見に行こうかな(笑)。
>00年代、「ストリートバイク」が巻き起こした空前のブーム【前編】
>00年代、「ストリートバイク」が巻き起こした空前のブーム【後編】