’18年に国内販売が始まり、’20年モデルでビッグなマイナーチェンジを実施したカワサキZ900に、Z誕生50周年を記念した特別カラーが追加された。’80年代の空冷Zを代表するファイアークラッカーレッドを採用し、シュラウドとフロントフェンダーには記念ロゴも。価格はSTDに対して6万6000円高だ。

●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキ

’22 カワサキZ900 概要

【’22 KAWASAKI Z900 50th ANNIVERSARY】■全長2070 全高1080 軸距1455 シート高800(各mm) 車重213kg ■水冷4スト4気筒DOHC4バルブ 948cc 125ps/9500rpm 10.0kgf・m/7700rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量17L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●色:赤 ●価格:121万円

【’80年代のレッドを特別に調合し再現】’81年登場のZ1100GPを彷彿させる銀と紺のラインが入ったファイアークラッカーレッドに彩られた50周年記念モデル。ツヤありブラックのフレーム/シボ入りのシート表皮/アウターチューブをゴールドとしたフロントフォークなどもSTDからの変更点であり、50周年記念にふさわしい仕上がりだ。

【ライディングポジション】低めのハンドルや前傾した座面によってフロントに荷重をかけやすいライディングポジションに。足着き性はご覧のとおり良好だ。[身長175cm/体重68kg]

[◯] 意のままに操れる快感。RSとの差別化は明確

高校時代に通った自動車学校。その教習車の中にまだCBX400Fが残っていた世代なので、Z400GPやGPz400Fを彷彿させるこのファイアークラッカーレッドは懐かしさを禁じ得ない。カワサキにとって、900ccは”マジック9″としてZ1誕生以来大切にされてきた排気量であり、この特別なカラーをまとうことには何ら違和感がない。

派生モデルのZ900RSが注目されがちだが、素のZ900は、トラクションコントロール以外にも’21モデルからインテグレーテッドライディングモードを備えており、電脳面でRSを一歩リードする。モードはスポーツ/ロード/レイン、そして任意に設定できるライダーの4種類で、スポーツとロードモードではフルパワーを発揮する。とはいえ、もっともレスポンスの良いスポーツモードでも低回転域から非常にスムーズで扱いやすく、スロットルを大きく開ければ7000rpmから一段と盛り上がる。最高出力はRSを14psも上回る125psで、エンジン特性は低中回転域でのトルク感を演出したRSとは対照的だ。

ハンドリングもいい。押し引きで感じる軽さは600ccや750cc並みであり、走り出すとその印象がさらに強まる。微速域からステアリングがスムーズに切れるので扱いやすく、これが本当に948ccもある水冷直列4気筒を載せているのかと疑うほどだ。そして、高速域に入っても倒し込みや切り返しなど操縦の軽快感はほとんど変化しないことから、おそらくマスの集中がかなり貢献しているように思う。これにレスポンスの忠実なエンジンとフロントに荷重をかけやすいライディングポジションが加わり、意のままに操れるマシンに仕上がっているのだ。

ブレーキは、Z900の上位版であるSEやZ900RSのようにラジアルマウント&ラジアルポンプではないものの、フロントは213kgの車体を急減速させるのに十分以上の効力を発揮し、さらに前後ともコントローラブルだ。ABS作動時のキックバックは少なめで、細かく油圧を制御している様子が伝わる。

攻撃的なルックスに見合うだけの俊敏な走りを得たZ900。この記念カラーにピンと来たら買いだ。

’22 カワサキZ900 ディテール解説

エンジン:すでに新排ガス規制適合済みのため、諸元は変更なし

Z1000ベースの948cc水冷並列4気筒エンジンは、’21モデルで平成32年排ガス規制の適合を表す「8BL」に。ただし主要諸元は’20モデルから変更なし。

足まわり:前後プリロード&伸び減衰力調整可

’20モデル以降は、ダンロップ ロードスポーツ2を標準装備する。ブレーキは前後ともペタルディスクを採用。ディスク径はフロントφ300mm/リア250mmだ。前後のキャリパーおよび軽量ABSユニットはニッシン製。

ホリゾンタルバックリンクのリアサスペンションとφ41mm倒立式フォークは、プリロードと伸び側減衰力が調整可能。

主要装備

マイナーチェンジを実施した’20年モデルで外装を変更し、灯火類はオールLEDとなった。LEDポジションランプには、点灯時に全体が浮かび上がる特殊な加工を施す。

’20年のマイナーチェンジでTFTカラー液晶に。合わせて4種類のライディングモードやスマホの連動機能など追加しており、この’22モデルもそれを継承。

容量17Lのタンク。上面を深くえぐることで、ハンドル切れ角33度/33度を達成。

タンデムシートはキーロック式で、その下にETC2.0車載器を標準装備。さらにブラケットを引くとライダーシートも外せる仕組みで、その下にある車載工具が取り出せる。

ナンバーステーとタンデムステップ後方には荷かけフックあり。Z1の時代からこうした実用装備が受け継がれる。

【50周年ロゴとレタリングあり】シュラウドにはゴールドの立体エンブレムを貼付。さらにその下部とフロントフェンダーの先端には専用レタリングも。所有欲をくすぐる工夫が随所に。

[△] この50周年カラーはZ1000よりも高い

’21モデルでカワサキケアが追加されて、価格は5万5000円アップ。続く’22モデルはSTDカラーが色変更のみで4万4000円アップ。この50周年記念車はSTD+6万6000円なので、カワサキケアが付帯しない兄貴分のZ1000よりも3万円高額に。

[こんな人におすすめ] RSにはないスマホ接続やTFTメーターも

CB1000RやGSX-S1000がZ1000の対抗馬だとすると、MT-09が直接のライバルか。ライディングモードやスマホ接続機能など、電脳面ではZ900RSを上回っており、カワサキケアによる安心感も。このカラーリングはぜひ実車で確認を。

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