SRカスタムの王道は、今も昔もカフェレーサー!

ヤマハSR400はトラッカーやチョッパー、パフォーマンススタイルなど、あらゆるスタイルにカスタムできるのが魅力のひとつ。なかでも1978年のSR登場以来、高い人気を保っているのがカフェレーサー・スタイルだ。

そもそもカフェレーサーというのは、トライアンフやノートン、BSAなど、50~60年代の英国車をベースにしたストリートレーサーのこと。カスタムのポイントとしては「低くセットしたセパレートハンドルとバックステップは必須項目、さらにロングタンクとシングルシートがあれば完璧!」といったもの。当然SR400のカフェレーサーも、そうした英国車カスタムをイメージソースにしたものが王道となっている。

つまり、昔も今もSRオーナーの多くが憧れるカスタムスタイルがカフェレーサーだといっても、決して過言ではないのだ。

BSA GOLD SR400 BSA Type

フェザーベッドフレームを採用した、正真正銘「MADE IN UK」の単気筒モデル

さて、そんなわけでヤマハSRとカフェレーサーの相性は非常に良いということはわかっていただけたと思うのだが、その究極のモデルともいうべきが、ここに紹介する「BSA GOLD SR400(以下、BSA SR)」である。

一見すると王道のSRカフェレーサー? と思う読者もいるかもしれないが、じつはこのモデルはヤマハではなく、BSA。 アフターパーツメーカーとしてお馴染みのデイトナがプロデュースし、英国のBSAリーガル社が製作したという、れっきとしたBSAの単気筒モデルなのである。

エンジンはSR400を使用しているが、クランクケースの刻印は「YAMAHA」ではなく「BSA」。そして見逃せないポイントは、エンジンが直立しているということ。ヤマハSRはエンジンが前傾しているのに対し、BSA SRはシリンダーが地面に対して垂直になっている。これが当時の英国車らしさ……つまりは50~60年代の旧車らしさを醸し出しているのだ。

こちらは1997年式 ヤマハ SR400。エンジンの角度がまったく異なることがわかる。

 

そして、このモデルがヤマハSRとはまったく違うのが、オリジナルのフレームである。BSAリーガル社が開発したこのフレーム形状は、かつてノートンなどが採用し、「羽毛布団のような快適さ」ということから“フェザーベッドフレーム”と名付けられたダブルクレードルフレームそのもの。このフレームによって、BSA SRはヤマハSRとはまったく異なる乗り物となっているのだ。

当然ながら、エンジンが直立しているのも、このフレームのおかげである。ついでながら、ヤマハSRの大きな特徴ともいえるオイルインフレームだが、BSA SRは別体式となっていて、オイルタンクはシート下にある。

……え? なんのことか分からない? SR400のエンジンはドライサンプ式を採用していて、エンジンオイルはエンジンの外にある「オイルタンク」に貯められているのだが、そのタンクはフレーム内に収められているのだ。ちなみにドライサンプ方式は現行モデルではHarley-Davidson スポーツスターなどに採用されている。70年代まではごく普通に見られる機構だったのだが、最近ではめっきり減ってしまった。

話が逸れてしまったが、つまりBSA SRはイギリス製のオリジナルフレームにヤマハSRのエンジンを積んだ正真正銘の英国車ということ。だから車検証に記されている車名は「BSA」で、車体番号は「BSASR」からはじまる。

これはもうカフェレーサー好き、SR好きであれば、車検証を眺めるだけでテンション爆上がりだったことは想像に難くないだろう(笑)。

 

外装が異なる3種類のラインナップ

さて、そんなBSA SRが登場したのは1997年。ヤマハSRは2型の後期が発売されていた頃で、BSA SRは足周りや灯火類など、多くのパーツをヤマハSRから流用している。

しかし、それでもセパレートハンドルやフューエルタンク、シートといったスタイリングを決定づけるパーツはBSAオリジナルで、フェザーベットフレームと直立した空冷単気筒エンジンと相まって、英国カフェレーサーらしい佇まいを見せていたのである。

ちなみに当時SR400の新車価格は42万5000円。対してBSA SRは80万円台後半だったと記憶している。ヤマハSRの倍……しかし、SRでカフェレーサーをしっかり作り込めばこれくらいの金額はかかるし、BSA SRなら正真正銘の英国産カフェレーサーが手に入るのである。これはむしろ安かったというべきだろう。

オーナーの好みに合わせて、外装は3タイプから選べたのも、当時は嬉しいポイント。上で紹介しているのは「BSA Type」で、丸みを帯びたフューエルタンクが特徴。


ソロシートと特徴的な形状のタンクを持つのが「AJS Type」。ただでさえ個性的なBSA SRに、さらに個性を求めるオーナーに支持された1台だ。

 


フェザーベッドフレームと抜群の相性を誇るのが「NORTN Type」である。車名はBSAだが、スタイリングはまさにノートンそのもの!

 

デイトナにもすでに当時の資料はなく、これは2000年のデイトナカタログを同社のご好意によりスキャンさせてもらったもの。

 

そして当時、多くのオーナーはこれら各タイプのBSAを入手後、思い思いのスタイルにカスタムし、さらに自分だけの1台に仕上げていった。これはやはり「SRの血」がそうさせるのだろう。

ちなみに当時のデイトナのカタログには多くのオプションパーツも掲載されていて、オーナーのカスタム心をくすぐったものである。


現在、BSA SRの中古車は希少。値段は当然上昇傾向にあるようだが、それでも100万円を超えることはほとんどないようだ。SR400ファイナルエディションリミテッドが74万8000円だと考えると……程度の良いBSA SRを探してみるというのも、SRを楽しむうえではアリな選択なのかもしれない。

>SRの歴史(1978〜1992年編)
>SRの歴史(1993〜2008年編)
>SRの歴史(2010〜2021年編)

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事