400ccに4気筒が復活するというトピックだけでも喜ばしいのに、最高出力は想定をはるかに超える80ps! もはやヨンヒャクの魅力は日本だけのモノに非ず。世界戦略車として羽ばたくニンジャZX-4Rのすべてを徹底解説!! 本記事では、先に登場したZX-25Rと比較しつつ、クラス歴代最高出力80psを叩き出したそのエンジン性能に迫る。※比較用写真のZX-25Rは’21年登場の初期型を基本としています。

●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司 宮田健一 編集部) ●外部リンク:カワサキモータースジャパン

4気筒ならではの高回転で超絶パワーを叩き出す!〈カワサキ ニンジャZX-4R〉

ZX-4Rのトピックは、なんといっても80ps(ラムエア加圧時)の最高出力だろう。’80〜’90年代に大いに盛り上がった全日本TT‐F3レースに参戦した400㏄4気筒マシンの中には90psを発揮したモノもあったというが、それはワークスマシンであり排ガス規制や音量規制もなく、耐久性も1レース持てばいい世界の話で、すべてに厳しい現代の市販車ではまったく条件が異なる。

その4Rのエンジンだが、公開された画像で見る限りは現行ZX‐25R(’21年モデル)に近似しており、スペックを見てもトランスミッションの変速比が同じ(1/2/5速の数値が異なるが、小数点以下第4位の切り捨てか四捨五入の違い)。とはいえ1.7倍も馬力がアップし、シリンダーボアは25Rより7mmも大きいので、25Rのエンジンがベースだとしたら4Rへの展開を見越して強度やサイズ的にも余裕を持たせて設計していた可能性が高い。

ちなみに4Rは最高出力の発生回転数が未発表だが、メーター画像では1万6000rpmからレッドゾーンが始まるため25Rより若干低めと思われるが、400クラスでは突出した高回転型エンジンだろう。

そしてこの驚異のスペックを、ユーロ5(≒令和2年排出ガス規制)に対応しながら達成しているのがZX‐4Rの凄いところ。つまり、日本仕様のパワーが下がる理由は何もない。国内でもヨンヒャク最強の80psを楽しめるのは間違いないハズだ!

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-4RR】

カワサキ Ninja ZX-4R VS ZX-25Rエンジン比較

エンジン:ぱっと見はまるで25Rのまま

よく見るとシリンダーヘッドとヘッドカバー、エキゾーストパイプ形状が変わっているが、間違い探しレベルで形もサイズも近似。クランクケースやエンジンカバーはおそらく同一で25Rベースに開発したと推測でき、400としては驚くほどコンパクトだ。

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-4RR】

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-25R】

ヘッドカバーまわり:4Rの拡大版ヘッドは角形状が特徴

4Rはヘッドカバーが角張った形状になり、シリンダーヘッド側面のリブのデザインも異なる。25Rと比べてボアは7mm広がり、吸気バルブ径が3.2mm、排気バルブが3.1mm拡大しているので普通ならヘッドは大型化するはずだが、バルブ挟み角が25Rの28度から24.8度へといっそう狭角化したので非常にコンパクトに仕上がっている。

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-4RR】

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-25R】

エキゾーストパイプ:エキパイは曲率が少ない新形状へ

新型25R(’23年モデル)のエキパイの形状は不明だが、現行25Rと比べると4Rの方が曲がりが少ない。エキパイ同士を繋いで低中速のトルクアップに貢献するジョイントパイプの配置はほぼ同じ。両車ともに1番-2番気筒、3番-4番気筒をそれぞれ集合してからテールパイプにまとめる180度4-2-1集合マフラーだ。

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-4RR】

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-25R】

サイレンサー:右出しサイレンサーは新型25Rを延長?

現行25Rはミッドシップのショートマフラーだが、海外で先行発表の新型25R(’23年モデル)は異形断面の大形サイレンサーを装備。4Rのサイレンサーは新型25Rと同スタイルだが、写真で比較すると25Rより7~8cmほど延長され、排気量に対応した容量を稼いでいる。サイレンサーエンドの排気口の直径も4Rの方がかなり大きい。スリップオンマフラーに対応できそうなのもカスタム派には嬉しいポイント。

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-4RR】

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-25R】

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-25R】ミッドシップマフラーは初期型25Rだけの個性になった。

スプロケット:スプロケはパワーに対応してロング化

ドライブは14Tで25Rと共通だが、ドリブンスプロケットは50T→48Tに変更(ロング化)。トルクやパワーで勝る400に最適化している。

【’23 KAWASAKI Ninja ZX-4RR】

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-25R】

ラムエアダクト/ラジエター/クラッチ

【伝家の宝刀で+3ps】中央配置のラムエアダクトで冷えた空気を取り込み、加圧することで充填量を高めてパワーアップ。ファンネルは異なる長さでトルクの谷をなくしている。 ※写真は初期型ZX-25R

【ラジエターは25Rと共通か】ストリップ画像で見る限り、25Rと同じ30段の大形ラジエターと思われる。写真は純正オプションのラジエタースクリーンを装着した状態だろう。

【クラッチは強化版になる?!】トルクやパワーの大幅アップに対応し、クラッチ板の枚数を増やす等で強化しているかも? とはいえアシスト&スリッパーの効果によって、レバーの操作力は軽いだろう。

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