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2021年10月3日(日)、静岡県伊豆市のテーマパーク「修善寺虹の郷」で開催された大規模なイベント「虹の郷 電動バイク・ミーティング」をお届けする。後編では、一般の来場者も参加した電動モビリティの大試乗会を見てみよう。

25社55台の参加車両に試乗できた!

試乗会場では、電動キックボード、電動モペッド、電動トゥクトゥク(電動オート3輪)から電動4輪車まで、ありとあらゆる形態の車両に乗ることができた。特に、電動キックボードにはさまざまなタイプがあって、椅子のあるものや前後2輪駆動のもの、大きなサスペンションやブロックタイヤを履いたものなど、電動キックボードの多用途性が目を引いた。

下写真の電動キックボードは、JEMPA(日本電動モビリティ推進協会)の会員企業でもあるクリエイティブジャパン株式会社(東京都渋谷区)の「Free Mile(フリーマイル)」。折り畳み可能なサドルが装着されたモデルや後ろ2輪で安定性を増した3輪電動キックボードもラインナップしている。箱型に畳んで収納できる電動バイク「ハコベル(写真は試作品)」はベンチャー企業である株式会社ICOMA(東京都中野区)の代表取締役にしてエンジニアでもある生駒崇光さんが開発している。かつてのホンダ「モトコンポ」のようにクルマのトランクにも余裕で収納できる。試乗しているのは電動バイクに造詣が深い近藤スパ太郎さん。 新規参入企業も多い。バイク用品販売事業の大手老舗である株式会社カスタムジャパン(本社:大阪府大阪市)も移動の課題やバイクの駐車問題を解決できる次世代モビリティとして電動キックボード「eXs(エクス)」シリーズを取り扱っている。シリーズの販売は好調とのこと。下写真はオフロードも走れる電動キックボード「eXs2(エクスツー)」に試乗する近藤スパ太郎さん。シリーズのハイエンドモデルということで「スピードも出るけど、前後ともディスクブレーキだし、乗っていて安心できる造りだね」とのこと。

参加者の声①「エンジンが好きだけど、これはアリだな!」

「バイクやクルマなど乗り物が好きなんで。興味があったので乗ってみました」と話してくれたブルさん(写真右・24歳)とありりんさん(写真左・24歳)。2人は富士宮から来ていたカップルで、ブルさんは普段はホンダCBR400Rに乗っているライダーだ。園内での実証実験の様子を見て「こんな風に園内をまわるのもいいなあと(ブルさん)」「園内は広いしラクそうだから(ありりんさん)」というのが試乗の理由だった。

実際に乗ってみた感想を聞くと、2人とも「楽しかった!」と声を揃えた。特に普段バイクに乗っているブルさんは「 エンジンが好きだけど、加速力もあって、これはこれでアリだなと思いました。気軽に乗れるし家で充電できるし」とライダーならではの感想も。

ありりんさんは「発進がちょっと怖いなと思いましたけど、やっぱり楽しいですね。荷物が重いと自転車こぐのも大変なので、スーパーとかの買い物にも使いたいです。原付バイクよりゴツくないし静かなのでいいかな」と利用のイメージを話してくれた。

参加者の声②「静かで乗り心地もイイ! 快適でした!」

こちらの和田さんご一家も園内の実証実験の様子をたまたま見て、「乗りたいね、乗りたいね!」と盛り上がっていたそうだ。電動キックボードに初めて乗ったというお父さん(43歳)は「電動キックボードなんてニュースでしか見たことなかったんですが、音は静かだし、乗り心地はいいし、すごい快適でした。意外にスピードも出るんですね~」と少し興奮気味。

和田さん一家は、地元の伊豆市在住で移動の基本はクルマだという。天城にほど近い吉奈地区に住んでいるので、一番近い修善寺駅でもクルマやバスで20分ほど。いま、家に自転車はなく、学生時代以降、乗ったことがないそうだ。移動手段というより「クルマに積んでキャンプに持っていったら遊べるかも…」という感じで気になっていたという。

参加者の声③「慣れるまでには時間がかかりそう」

伊豆市の市議会議員として園内実証実験に参加した小川多美子さん(写真中央・72歳)は前2輪のフューチャー社「GOGO!」シリーズで園内を散策した。前期高齢者の小川さんは「曲がるときに思うように曲がってくれない感じがありましたね。四角い椅子は快適そうに見えたんですけど意外と重心移動が難しくて…。自転車のサドルのような形のほうがいいのかも」と運転に少し戸惑ったことを話してくれた。
中山間地である伊豆市の高齢者が抱えている移動課題に対して、実証実験での実体験を持ち帰りたいということだったが「簡単そうに見えても、慣れるまでには時間がかかりそうですね」と率直な感想だった。実際に地域の高齢者が利用するためには、シニアカーと同じように、しっかりとしたインストラクターによる講習会の受講などが導入の焦点になりそうだ。

EVの試乗は「スタッフの話を聞いてから」が重要!

実証実験や試乗会での乗車は、メーカーのスタッフからレクチャーを受けた後に行われた。高齢者の免許返納後モビリティとしても注目を集めており、小さな子供から高齢者まで簡単に乗りこなせるイメージがある電動モビリティだが、発進時のトルクが強いことによる転倒などのリスクは意外と高い。

バイクの場合は、キルスイッチやサイドスタンドといった安全装置・システムが世界的に標準化されているが、電動モビリティにはまだそういったことがなく、安全装置と呼べるものを持たない車両もあるので取扱いには注意が必要だ。今後はさまざまな場所でこうした試乗会が開催されると思うが、必ずスタッフの話をよく聞いてから楽しんでほしい。

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