前編に続いて「第4回日本バイクオブザイヤー2021」の模様をお届けする。日本バイクオブザイヤーとは? 日本カー・オブ・ザ・イヤーとの違いは? ほか、大賞受賞車両については前編にまとめてある。この後編では、大賞以外の各部門受賞車両について紹介しよう。

原付部門の最優秀金賞は「ホンダ グロム」

金賞に選ばれたのは「ホンダ PCX」(5,218ポイント)と「スズキ GSX-R125 ABS」(8,918ポイント)の2台。そして最優秀金賞に選ばれたのは原付二種・125ccクラスのスポーツバイク「ホンダ グロム」(10,879ポイント)だった。

●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン 渉外室

赤坂正人 氏
「ミッション付きのスポーツバイクには、そんなに多くの機種はありません。昔は、原付から125cc、250cc、400ccとステップアップしていくという流れがありましたが、現在は欲しいバイクの免許を直接取りに行くというお客様が多くて、なかなかこのクラスの販売が急に拡大することはありません。一方でセカンドバイクとしての需要や、いったん小さなバイクに乗り換えてスポーツ走行を楽しむというお客様がいます。そういう所で皆様に選んで頂いたと思います。今後もスポーツバイクの原付二種クラスは大事にしていきたいと思います。(要約)」

原付部門ノミネート ホンダ グロム、ホンダ PCX、ヤマハ TRICITY125/ABS、スズキ GSX-R125 ABS、スズキ GSX-S125 ABS

軽二輪部門の最優秀金賞は「カワサキ Ninja ZX-25R」

金賞に選ばれたのは「ホンダ CRF250L」(3,664ポイント)と「ヤマハ SEROW250 FINAL EDITION」(6,143ポイント)の2台で、奇しくも新旧デュアルパーパスバイクの競演となった。そして最優秀金賞に選ばれたのは、バイクオブザイヤーで最高の賞典となる大賞も受賞している「カワサキ Ninja ZX-25R」(12,507ポイント)だ。

●株式会社カワサキモータースジャパン 企画統括部渉外部 部長

青木 務 氏
「今年、川崎重工から二輪車部門が分社化しまして、そこのスローガンが『バイクに関わる人、みんなでハッピーになりましょう。みんなで楽しんじゃえ。バイクは楽しむために作るんだよ』と。いま、250ccの4気筒を持っているのはカワサキだけですけど、2年前、モーターショーのワールドプレミアで華々しくデビューしましたが、その後、自粛自粛で皆様へのご試乗の機会も少ないなか、このような賞をいただきまして本当にうれしく思います。これからも楽しいバイクを作り続けて、他社さんと協調して市場を盛り上げていきたいと思います。(要約)」

軽二輪部門ノミネート ホンダ CRF250L、ヤマハ SEROW250 FINAL EDITION、スズキ ジクサーSF250、スズキ V-Strom250 ABS、カワサキ Ninja ZX-25R

小型二輪部門の最優秀金賞は「スズキ Hayabusa」

金賞に選ばれたのは「ヤマハ SR400 Final Edition Limited」(4,362ポイント)と「ホンダ GB350」(6,550ポイント)で、ヤマハの伝統的なクラシックバイクとホンダのネオレトロバイクという、大きなカテゴリーではどちらもクラシックバイクに含まれる2台が選ばれた。そして、最優秀金賞に選ばれたのは、フルモデルチェンジを果たしたメガスポーツの雄「スズキ Hayabusa」(7,697ポイント)だった。

●スズキ株式会社 東京支店長
岡島有孝 氏
「ハヤブサは、1999年にスズキのフラッグシップモデルとして“アルティメットスポーツ”、究極のスポーツバイクを目指すんだということで発売されました。今回が三代目になりますが、最高峰であるがゆえに改良の難しさに開発陣も非常に悩みました。社長の鈴木俊宏も自ら試作車でテストコースに出て開発陣を鼓舞しながら一生懸命作ったバイクです。この賞を開発に関わった技術陣にまず報告させて頂きたいと思います。また、鳥取県の若桜鉄道の隼駅で毎年夏に全国からファンが集まるイベントがありますが、そうしたファンの皆さまにもこの賞を捧げたいと思います。(要約)」

小型二輪部門ノミネート ホンダ GB350、ホンダ Rebel 1100、ヤマハ SR400 Final Edition、スズキ Hayabusa、カワサキ Ninja ZX-10R

外国車部門の最優秀金賞は「ハーレーダビッドソン Pan America 1250 Special」

金賞は「ドゥカティ モンスター」(3,516ポイント)と「KTM 890 DUKE」(4,885ポイント)で、両ブランドを代表するような実績と人気を兼ね備えた2台が選ばれた。最優秀金賞に選ばれたのは、ハーレーブランド初のアドベンチャーツーリングバイク「Pan America 1250 Special」(7,549ポイント)だった。日本市場では発売間もないが、自動での車高調整も含めた電子制御満載のメカニズムと斬新なデザインが、ユーザーからの期待を広く集めたようだ。

●ハーレーダビッドソンジャパン株式会社 代表取締役
野田一夫 氏 ※下写真の左から2人目
「Pan America 1250はハーレーダビッドソンの120年近い歴史で初めて世界に送り出すアドベンチャーモデルです。非常に重要なモデルですが、このような素晴らしい賞をいただけたこと大変うれしく思っております。この歴史的な1台をさっそく購入いただいたユーザーの皆さま、素晴らしいバイクを送り出してくれた本社のメンバー、日本市場導入に向けて努力してくれたジャパンの社員、そして何よりも、厳しいコロナ禍でもオーナーの皆さまのバイクライフを支えるべく一生懸命頑張ってくれた正規販売店の皆さまの努力に感謝いたします。この受賞を励みに、微力ではありますけども二輪文化の発展に尽力していきたいと思います。(要約)」

外国車部門ノミネート ビモータ TESI H2、ドゥカティ モンスター、ドゥカティ スーパースポーツ、KTM 890 DUKE、ハーレーダビッドソン Pan America 1250 Special

電動部門の最優秀金賞は「ホンダ PCX e:HEV」

今年から新設された電動部門の金賞は「ヤマハ E-Vino」(4,737ポイント)と「ホンダ ジャイロ e:」(5,033ポイント)。国内メーカーでは唯一、一般ユーザー向けに発売されている原付一種EVバイク「E-Vino」、ビジネスEVバイクとして法人向けに販売されている荷台の大きなスリーター「ジャイロ e:」と、発展途上にある電動バイクらしい選定となった。

最優秀金賞は「ホンダ PCX e:HEV」が受賞した。純粋な電動バイク(バッテリー+モーター)ではなく、クルマのハイブリッド車のようにバッテリー+モーターだけで走る機構も持っておらず、ガソリンエンジンによる発進時や加速時のもたつきを搭載したバッテリー+モーターでアシストする機構を採用したハイブリッド車両だ。

●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン 渉外室

赤坂正人 氏
「実は、PCX e:HEVが受賞したことに驚いています。同時に、いわゆるハイブリッドへの関心が高いのかなと思いますが、いわゆる普通乗用車のハイブリッドとは違いまして、軽自動車のハイブリッドに近い機構です。私も乗りましたけど、出足が非常に力強くて、ひとクラス上の走りを実現しているものです。発進時にアシストをする機構で、こういったハイブリッドがスクーターのクラスに増えていくのかなと思いますし、新しいスクーターの世界が広がるんじゃないか、スクーターの見方が変わるんじゃないかと期待しています。(要約)」

電動部門ノミネート ホンダ PCX e:HEV、ホンダ ジャイロ e:、ヤマハ E-Vino、ツバメ・イータイム BIZMO II-S、ハスクバーナモーターサイクルズ EE 5

惜しまれつつも生産終了! 偉大なバイク「SR400&セロー」

最後に、今年で生産終了、カタログ落ちとなってしまったヤマハの2台についても紹介しておきたい。SR400、セローシリーズ共に各部門で金賞を受賞。ヤマハの歴史を作ってきた偉大なバイクであり、改めて敬意を表したい。

●ヤマハ発動機販売株式会社 安全運転推進本部
宮本義信 氏
○SR400受賞へのコメント
「SRは、1978年に400ccと500ccの2本立てで国内発売されました。4サイクル化が進む中で、軽量・コンパクトで二輪車らしい楽しみを提供しようということで投入されたモデルです。その後は、環境規制などに対応しつつも基本構造を変えずに生産してきましたが、このファイナルエディションをもって生産終了となります。

今回の受賞にあたり、43年間、SRを支えてくださったお客様、販売店様、メディアの方、いろいろな方にまずお礼を申し上げたいと思います。残念ながら新型コロナ禍ということで、お客様に対してファンイベントができていない、ちゃんとお別れができていない中での受賞にやや複雑な思いもありますが、SRはヤマハのものづくりを代表するモデルですし、これからも大切に乗って頂きたいと思います。(要約)」

○セロー250受賞へのコメント
「セローは、1985年から二輪二足の走行、マウンテントレールの提唱ということでスタートしました。ヤマハはオフロード需要の開拓に積極的に取り組んできました。1970年代初頭のDT-1を本格的なトレールモデルとして発売し、全国にスポーツ&レジャーランドといった普及施設を作って様々なスクールやレッスンを開催してきました。それは現在も続いています。様々な理由でファイナルモデルとなりますが、今後もオフロードの需要創造活動はしっかり続けていきたいと思います。(要約)」

さて、日本バイクオブザイヤーは毎年5月頃から一般投票が開始される。日本二輪車文化協会(AMAC)のサイトをチェックして、ぜひお気に入りのバイクに投票してほしい。
日本二輪車文化協会 公式サイト

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