レッドバロンがプロデュースする那須モータースポーツランド(MSL)で2025年6月7日から「那須MSLスキルアップ走行会」がスタート。そのプレ開催に参加してきた。細やかなクラス分けにより安心して参加できる上に15分×4本と走行枠もタップリ。しかもお値段はレッドバロン会員ならたったの1万円! 実に参加しやすく、オトクなサーキット走行会だったのだ。

革ツナギなどの装備がない初心者から、バリバリのベテランまで対応!

栃木県にあるバイク専用サーキット=那須MSLではイベントが頻繁に開催されている。通常のスポーツ走行をはじめ、普通二輪免許の人でも大型に乗れる「ステップアップ試乗会」、「ライディングスクール」「ライディングカレッジ」といったライテク講座etc……。ここに新しく加わったのが「スキルアップ走行会」だ。

↑那須モータースポーツランドは、都心から約2時間程度の距離にある二輪専用サーキット。全長は1146m、コーナー数は12で、ややショートでテクニカルなコースとして知られる。■栃木県那須塩原市寺子字坂の上677-1 0287-62-6358 定休日:月曜(祝日は営業)・年末年始(12/31〜1/3) 営業時間:8~17時 https://redbaron-nasumsl.jp/

 

サーキットでのスポーツ走行が未体験の人から、既にサーキットをバリバリ楽しんでいるエキスパートまで、スキルを問わず楽しめるのが特徴だ。「サーキット走行はハードルが高そう」と思っているライダーも多いと思うが、スキルアップ走行会は経験とタイムに応じて細かくクラス分けしてくれるので安心。しかも参加することでオンロードライセンスが取得できる。

「でもレーシングスーツやブーツを持ってないし……」という人への対応も万全。クラスによっては革ツナギなしでも参加できるし、装備一式のレンタルもできる。なお那須MSLにはレンタル車両もあるが、走行会では利用できないので自前のバイク(125cc以上の公道走行可能な車両)が必要だ。

他にも参加のハードルを下げる独自の工夫が山盛りだが、それはおいおい説明していこう。

そして何より驚きなのは料金。走行時間が15×4本と長い上に、ライセンス取得料金が含まれているにも関わらず、レッドバロン会員なら1万円(一般2万2000円。見舞金制度込み)と非常にお手頃だ。ライセンスなしで参加できるサーキット体験走行会は色々あるけど、大まかに1万円台後半~2万円前後が相場。そう考えると、スキルアップ走行会は走行料金だけで元が取れそうなのに、ライセンス取得料金まで込みなので、まさにバーゲンプライスなのだ。

クラス分けは6つ、キメ細かいスキルに対応してくれる

ここからは実際の体験レポートをお送りしよう。私が参加したのはプレ開催なので、本番と若干違う部分もあるかもしれないが、ご了承いただきたい。

ゲートオープンの6時30分に合わせて那須MSLに到着。6時45分から受付と車検がスタートし、8時以降からブリーフィングが始まる。ブリーフィングは全員受講がマストで、その前に車検を受ける必要があるので遅くとも「7時30分まで」に来場する必要がある。

まずは受付を済ませ、装備をレンタルした。今回は革ツナギのみレンタルで、フルフェイスヘルメット、レーシンググローブ&ブーツは自前だ。

↑レンタル用品は革ツナギ、グローブ、ブーツ、ヘルメットを用意。サイズも豊富だ。詳細はhttps://redbaron-nasumsl.jp/riding/sports/supplies/まで。

↑レーシングスーツのレンタル料金は1日1000円(レッドバロン会員。一般は1400円)と割安。レーシングスーツを借りた場合、インナースーツは無料で利用できる。


クラスは「ビギナー」「ノービス」「セミミドル」「ミドル」「セミファースト」「ファースト」の6つが用意され、私は「ノービス」を選択。サーキット未体験で、先導がいなくても走れる人や、イチからサーキットのノウハウを学びたい人、これからどんどんサーキットを利用したいと考えている人が対象だ。タイムでは1分~1分5秒が目安となる(クラス分けの詳細はHPまで)。

ちなみに私は何度か那須MSLを走行しており、以前の記事でベストタイムは57秒09だった(https://for-r.jp/useful/24431.html)。だが、2年半以上前のタイムだし、ノービスがちょうどいいのでは、と思う。

ノービス以上のクラスは革ツナギが必須だけど、ビギナークラスは背中&肘&膝にプロテクターの入ったジャケットとパンツでも参加OK。また、ビギナークラスのみ走行時にインストラクターが先導してくれる。これならサーキット未経験者でも気軽に参加できるハズだ。

走行前の準備はこんなカンジ、続いて車検とブリーフィングを受ける

今回は取材ということで、特別にレンタル車両の2018年型ストリートトリプルR(トライアンフ)で参加。走行前の準備を進めていく。

↑ストリートトリプルRは765cc3気筒でパワー十分。なおかつ乗りやすさも兼ね備える。手にしているのはゼッケンだ。

↑ゼッケンをメーターバイザーにガムテープなどで貼る。今回は那須MSLでガムテを借りられたが、持参がオススメだ。

↑ヘッドライト、ウインカー、ミラー、テールランプをガムテで保護。転倒で割れた際、破片の飛散を防止するのが目的だ。


続いて車検を受ける。ここではガソリンやオイルの漏れ、タイヤ、ブレーキ、チェーンなどの状態がチェックされる。

↑マフラーの音量を計測。5000rpmで99dB以下でなければ合格できない。マフラーを交換していたり、劣化している場合はご注意。

↑この丸い緑色のステッカーが合格の証!


なぜかキンチョーしてしまうが、レンタル車両なので当然合格だ(笑)。続いてコントロールタワー2階でブリーフィングを受ける。

↑那須MSL支配人の竹内さんがサーキットのイロハを簡潔に教えてくれる。


インストラクターや先導を務めるのはプロライダー陣。私が参加した際は、那須MSLライディングスクールや同カレッジでメイン講師として活躍する中井直道さんほか、国際ライセンスを所持するライダーが参加していた。

↑写真左から、ライディングスクールやカレッジでおなじみの中井直道さん、“那須のロッシ”こと片平亮輔さん、元々はツーリングライダーだったという山本陽大(あきお)さん。

ついに走行開始、1本15分はけっこう長い!

30分ほどでブリーフィングも終わり、いよいよ走行だ。当日はあいにくの天気で小雨が降ったり止んだりだったが、ピットを使用できるのがいい。人数に余裕がない場合はテントをピット代わりにする場合もあるとのことだけど、雨も凌げるし、何より「サーキット走行気分」が高まってくる笑。

↑ツナギを着て、車両も準備OK!


走行スケジュールは午前に15分×2本、1時間の昼休みを挟んで、午後に15分×2本。待っているとノービスクラスの順番が来たので、ついにコースインだ。

路面がウエットだったので、おっかなびっくり走り始める。ノービスクラスには先導がいないが、プレ開催では先導付きで走行。自分にとって適度~ちょい速めぐらいのペースで走ってくれるので安心だった。

雨だと思いっきり走れないのが残念だけど、ポジティブに考えれば「雨のサーキット走行」という経験値を積むことができるのだ。

↑考えてみると雨のサーキット走行は初めて。探り探り走っているのが写真でもわかる笑。

↑メインストレートでは水しぶきが上がるほどウエット。


集中しているせいか、サーキット走行の「15分」はかなり体感時間が長い。1周1分程度の那須MSLでは10周以上走ることになり、大満足だ。

ギモンや悩みをインストラクターに質問するべし!

1回目の走行を終えてピットに戻ってきた。6クラスもあるので、1回走ると1時間以上休憩できる。順番が来るまで、各クラスの走りを見学したり、同じピットのライダーと仲良くなったり、インストラクターに質問したりして過ごせるのがいい。

さっそく講師の中井さんにウエットでの走り方を訊ねると「滑ったらスッとハンドルを起こしてやる、いなすカンジやね」という。インストラクター陣は気さくでアットホームな方たちばかり。何でも質問に答えてくれるハズだ。

↑ピットで中井さんから指導を受ける取材陣。気になることは積極的に聞いてみよう。

↑中井さん自ら実演。雨の日は「リーンインも有効」という。


もう1本走り、12時になったので昼休憩。11時30分~13時30分まで売店が営業しているので昼メシをゲットできる。

午後からはドライに! 大満足で1日を終えた

ラッキーなことに午後からは雨が止み、路面も乾いてきた。自分としてはS字に続く第3~5コーナーが以前から苦手なので、ライン取りを変えたりして意識的に走ってみた。

↑那須MSLのコース図。画像左側がホームストレートで右回り。第3~5コーナーは速度が落ちてライン取りもムズカシイのだ。

↑3本目。路面も乾いて、サーキットにも慣れてきたので段々ペースも上がってくる。

↑4本目。アゴが上がってるのがイマイチだけど、回を増すごとに楽しくなってキタ!


4本目も終わり、16時にイベントは終了。1万円ポッキリで1日タップリとサーキットを満喫でき、大満足だ。

参加して思ったのは、走行会だから当たり前なのだけど、“自由だな”ということ。その分、自主性が求められるのだ。那須MSLライディングスクールやカレッジではマンツーマンの指導があったりと、受け身でも至れり尽くせり。対して今回のスキルアップ走行会にはそういったカリキュラムがない。特に初心者は能動的に自分から考えたり、動いたりしないと、ただ走るだけで終わってしまう可能性がある。例えば「第3コーナーのライン取りはどうしたらいいですか?」など積極的にインストラクターに質問したり、自分なりの課題を設けて試してみる、といった具合だ。

このように自主的に動くことができれば、確実にスキルは上がっていくだろう。

そして今回は使わなかったが、ラップタイマーはあった方がいい。タイムが上達の目安になるため、ラップを計測した方がより楽しくなるハズだ。なお那須MSLでは磁気タイプのラップタイマーも使用できる。

また、サーキットに慣れていないと、ペースがわからなくなりがちなので、先導付きのクラスがあるのはありがたいハズだ。

いずれにせよ、1万円ポッキリでこの内容は素晴らしい(しつこくて申し訳ないが本音だから仕方ない笑)。走行料金だけでも十分元が取れそうな勢いだが、ライセンス取得料金まで含まれているのは太っ腹すぎる! 儲けが出るのか心配になるほどだ。サーキットビギナーからベテランまで、ぜひ参加してみてほしい。

↑写真左がスキルアップ走行会の参加者がもらえるライセンス。右は私が過去に取得したオンロードとトライアルのライセンスで紫色。

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