3年ぶりに観戦できる世界最高峰のレース

 モビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)にて2022年9月23日(金)から25日(日)にかけておこなわれた『MotoGP日本グランプリ』に行ってきました! 新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年と21年は中止でしたので、3年ぶりの開催です。

えっ、「MotoGPってナニ……」ですって?

MotoGP日本グランプリを制したジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)。画像提供:DUCATI

▲2022 MotoGP日本グランプリを制したジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)。画像提供:DUCATI

 FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が主催する二輪レースの最高峰でして、世界一のライダーを決定する選手権として、世界中で広く人気があります。ものすごくざっくばらんな説明ですが、「四輪ならF1、二輪ならMotoGP」といった言葉をよく耳にします。

2ストローク3気筒のNS500で駆けるフレディ・スペンサー選手、1983年。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲2ストローク3気筒のNS500で駆けるフレディ・スペンサー選手、1983年。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 ベテランライダーには「ロードレース世界選手権」と言えば、ピンとくるはず。2002年から旧500ccクラスが「MotoGP」クラスとなったのです。フレディ・スペンサー&ゼッケン3のNS500の画像は、ファン歓喜ではないでしょうか。ヤマハYZR500に乗るケニー・ロバーツとの熾烈なバトルは伝説ですよね〜。翌84年から4気筒のNSR500が登場します。

MotoGP初代チャンピオン バレンティーノ・ロッシ(2002年)。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

▲MotoGP初代チャンピオンのバレンティーノ・ロッシ(2002年)。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

「MotoGP」にハナシを戻しましょう。当初は2ストローク500ccマシンと4スト990ccマシンの混走でしたが、翌03年にホンダとヤマハが2スト500ccマシンの製造を終了。以降、レギュレーションが少しずつ変更され、現在では最大排気量を1000ccまでとし、4気筒以下、最大ボア径81mmの4ストローク・レシプロエンジンを搭載したマシンで競われます。

2021年シーズンにチャンピオンに輝いたファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。写真は今季初優勝を飾った第5戦ポルトガルGP。画像提供:ヤマハ発動機

▲2021年シーズンにチャンピオンに輝いたファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。写真は今季初優勝を飾った第5戦ポルトガルGP。画像提供:ヤマハ発動機

 最高時速360キロにも達する高速バトルが、トップライダーたちによって繰り広げられ、2022年シーズンは3月のカタールGPに始まり、11月のバレンシアGPまで全20戦。日本グランプリはチャンピオンシップ争いが熾烈になる終盤の16戦目に組み込まれていますし、そもそもオートバイ世界最高峰のレースが久しぶりに日本にやってきたのですから、観戦しない手はなかったのでした!

侍ライダーも参戦!

 最高峰クラスに、フル参戦している日本人ライダーがいることはご存知でしょうか。5年目のシーズンとなる中上貴晶選手(LCR ホンダ・イデミツ)です!

LCR ホンダ・イデミツより最高峰MotoGPクラスにフル参戦する中上貴晶選手。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

▲LCR ホンダ・イデミツより最高峰MotoGPクラスにフル参戦する中上貴晶選手。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

 ボク(青木タカオ)は今シーズン開幕前に、なんと独占インタビュー(!!)をさせていただく機会があり、なおさら応援に熱が入っているのでした。

 しかしながら中上貴晶選手は、日本グランプリ直前のアラゴンGPでクラッシュし、右手を負傷。右手薬指と小指の腱の手術を受け、もてぎでのレース参戦が危うい状態だったのです。

怪我を抱えての出場となった中上貴晶選手。母国グランプリで、ファンの声援を力に完走を果たしてくれました。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

▲怪我を抱えての出場となった中上貴晶選手。母国グランプリで、ファンの声援を力に完走を果たしてくれました。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

 それでもメディカルチェックを受け、出場が決定。怪我を抱えながらも決勝レースを走りきり、結果は最下位(20位)ながらも母国のファンから健闘を称える拍手がおくられたのでした。ボクも感動!

ジョアン・ミル選手の代役として、チーム・スズキ・エクスターから参戦した津田拓也選手。画像提供:スズキ二輪

▲ジョアン・ミル選手の代役として、チーム・スズキ・エクスターから参戦した津田拓也選手。画像提供:スズキ二輪

 また、ワイルドカード参戦(開催国枠)の長島哲太選手(HRCチーム:ホンダ)や、今シーズンでMotoGPから撤退することを表明しているスズキから、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)の代役として津田拓也選手もMotoGPクラスにエントリーしましたが、残念がら転倒・リタイヤでレースを終えています。

チャンピオン争いは最終戦までもつれそう!!

3ラップ目にトップに飛び出すと、一貫したペースで周回を刻み、周回数24ラップの決勝レースでいち早くチェッカーフラッグを受けたジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)。画像提供:DUCATI

▲3ラップ目にトップに飛び出すと、一貫したペースで周回を刻み、周回数24ラップの決勝レースでいち早くチェッカーフラッグを受けたジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)。画像提供:DUCATI

 優勝を飾ったのはジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)で、2位はブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)。そして、ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング:ドゥカティ)が3位表彰台に上がりました。

ポールポジションのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)は4位でレースを終えた。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

▲ポールポジションのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)は4位でレースを終えた。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン、ホンダ・レーシング

 予選でトップタイムを記録し、ポールポジションを獲得したのは、6度もの年間チャンピオンに輝いた絶対王者、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)。怪我の影響から最大限のパフォーマンスを発揮できないものの、復帰2戦目にして4位に食い込んだのはさすがとしか言いようがありません。

ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)はチャンピオンシップのリードを18ポイントに拡大し、合計219ポイントでランキングトップをキープ。2年連続王座を狙う。画像提供:ヤマハ発動機

▲ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)はチャンピオンシップのリードを18ポイントに拡大し、合計219ポイントでランキングトップをキープ。2年連続王座を狙う。画像提供:ヤマハ発動機

 これが公開される頃には、チャンピオンシップ争いがどうなっているのかわかりませんが、前年王者であるファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が日本グランプリ終了時点ではランキングトップ。もてぎでは8位と振るわなかったものの、2位のフランチェスコ バニャイヤ(ドゥカティ・レノボ・チーム)がリタイヤし、18ポイントをリードしています。


 グランプリはいよいよ大詰め! タイ、オーストラリア、マレーシアと続き、バレンシアの最終戦までチャンピオン決定は持ち越しそうで、今後もMotoGPから目が離せません。テレビ放送など、ぜひチェックしてみてください!!

侍ライダーの生声、動画でご覧ください!!

 長くなってしまったので、日本人ライダーが大活躍し、ものすごく盛り上がった日本グランプMoto2、Moto3クラスのハナシはまた次回。今回も最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。


 ラストに、世界最高峰クラスにフル参戦する唯一の侍ライダー、中上貴晶選手への直撃インタビュー(開幕前)の模様をぜひ動画でご覧ください!! 終盤戦は怪我を抱えながらの戦いとなり心配ですが、中上選手はホンダ・レーシング(HRC)との来シーズンの契約に合意しています。

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