ヤマハは、845cc→888ccと排気量を拡大したエンジンを完全新設計フレームに搭載してフルモデルチェンジした「XSR900 ABS」の2022年モデルを国内向けに正式発表した。価格はベースモデルのMT-09から最小限の値上げとした121万円で、2022年6月30日に発売する。

●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:ヤマハ

1980年代レーシングヘリテイジが蘇る! ゴロワーズブルーをオマージュ

ヤマハは2021年11月に欧米でフルモデルチェンジしたXSR900を発表。昨夏に発売されたMT-09をベースとしたネオレトロモデルで、従来型が1970年代を中心としたカラーリングを特徴としていたのに対し、1980年代レーサーを彷彿とさせるデザインをまとっていた。追って日本での発売も予告されていたが、ついに正式発表された。

新型XSR900は、“The Expert of Equestrian(伝統 馬術のエキスパート)”をコンセプトに開発し、スポーツ性の高さを強調している。往年のゴロワーズカラーをオマージュした車体色はブルーメタリック(欧州ではレジェンドブルー)を名乗り、もう1色はブラックメタリックをラインナップ。足元をゴールドで固めたブルーに対し、ブラックは全体を黒で統一している。

エンジンは、従来の845ccからストロークアップにより排気量を888ccへと拡大。これにともない、ピストン、コンロッド、クランクシャフト、クランクケースなど主要パーツのほとんどを新設計した。新フリクションプレートを採用したアシスト&スリッパークラッチ、1・2速の最適化など細部にわたって手が入る。これを搭載するフレームは、CFダイキャストによって最薄部1.7mmを実現した新作としながら往年のデルタボックススタイルを再現しており、新生XSR900のスタイルに抜群のマッチングを見せる。また、フレームの基本は同じながら、水平基調のシルエットを実現するためシートレールを新設計とし、スイングアームは55mm長いトレーサー9 GTから転用した。

このほか、スピンフォージド製法で作られた強靭な軽量ホイールや、IMUを採用した各種電子制御技術など、最新のテクノロージーを採用。40%の軽量化を図ったIMUを搭載し、トラクションコントロールシステム、スライドコントロールシステム、リフトコントロールシステムはそれぞれ介入レベル調整およびオン/オフ設定が可能だ。また、ブレーキコントロールシステムや上下対応クイックシフターも搭載。メーターはフルカラーTFTで、ETC車載器を搭載すればETCインジケーターの表示も可能だ。丸型LEDヘッドライトも新作で、ヘッドライトケースの前後長はかなり短く作られている。

価格はMT-09比で11万円アップの121万円だが、クルーズコントロールなど上級モデルのMT-09 SPと同じ装備も追加し、これに専用パーツを組み合わせていることから、むしろバーゲンプライスではないかと思えるほど。発売日は2022年6月30日だ。

YAMAHA XSR900[2022 model]

主要諸元■全長2155 全幅790 全高1155 軸距1495 シート高810(各㎜) 車重193kg(装備)■水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ 888cc 120PS/10000rpm 9.5kgf-m/7000rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:121万円 ●色:青、黒 ●発売時期:2022年6月30日
YAMAHA XSR900[2022 model]ブルーメタリックC(ブルー/新色) YAMAHA XSR900[2022 model]ブラックメタリックX(ブラック/新色)

YAMAHA XSR900[2022 model]ディテール

以下、写真は欧州仕様より
▲デルタボックススタイルの鋳造フレームに新設計シートレールを組み合わせ、1980年代レーサースタイルを再現。
▲ハンドルバーはテーパータイプを採用。KYB製倒立フロントフォークは新セッティングのフルアジャスタブルだ。
▲バーハンドルは垂れ角を持たせたスポーティな設定で、前傾はそれほどきつくないがスポーツライディングがしやすそう。バーエンドミラーも新鮮だ。
▲ヘッドライトは新設計の丸型LED。ウインカーも小ぶりなLEDを採用する。シート後端に埋め込まれたLEDテールランプのディテールカットはないが、下の方のスタイリングカットで見ることができる。
▲燃料タンクはほぼフルカバードだった従来に対し、スチールタンクを基本としながら前側に小ぶりな樹脂カバーを装着している。
▲ハンドルバーに対し垂直にシリンダーを配置した純ラジアルポンプマスターシリンダーを採用。リザーバータンクはスモーククリアタイプだ。
▲フルカラーTFTメーターはシフトインジケーターなどのほか、日本専用装備としてECTインジケーターも表示可能。
▲エンジンはボア×ストローク78.0×62.0mmの888cc。従来型はストローク59.0mmの845ccだった。
▲フレームからヘッドライトまでのラインのつながりがよく、1980年代を思わせる水平基調の燃料タンクもステキ。
▲アップ/ダウン両対応のクイックシフターを装備している。

【動画】ヤマハ発動機 新型XSR900 デザイン開発思想

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