40周年の新型リード125は第3世代に進化を果たして巻き返しへ

1982年に誕生したホンダのリードシリーズは今年で40周年。その節目に登場したのがリード125の第3世代と言える2022年型で、従来の2バルブから4バルブヘッドに進化したeSP+(イーエスピープラス)エンジンを装備している。これにより11PSの最高出力を落とすことなく、令和2年排出ガス規制に対応している。

eSP+エンジンは2021年型PCX125をベースとしており、これをトルク型に変更。最高出力はPCXの12.5PSから1.5PS抑えられているが、1.2kgf・mの最大トルクはリード125の方が1250rpmも低い回転で発生するようにセッティングされている。WMTCモードの燃費は49km/Lと発表されており、1.6㎞/LほどPCXを上回っている。

今回のモデルチェンジでは、2021年10月がリミットだったブレーキ規制に対してABS装着とせず、従来と同じコンビブレーキのままとしているのは価格上昇を抑えるための対応だろう。従来型に比べて、1.2万円(税抜)の値上がりに留めており、スマートキーとUSB電源が装備されたことを考慮すれば許容範囲と言えるはずだ。

年間販売計画は8000台としており、2021年に5400台(二輪車新聞調べ)だった従来型からの巻き返しを狙う。ライバルのヤマハ・アクシスZも同時期にモデルチェンジしているが、こちらは2.2万円の値上がりとなったことで、リード125との価格差は5万円に接近。それぞれに良さはあるものの、相対的にリードの魅力が増しているのは間違いないだろう。

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2022年3月に発売された新型リード125。外観はほぼ変化なしだがJF45からJK12と全く新しい型式が与えられたモデルチェンジ版となる。主な変更はエンジンで、水冷単気筒エンジンがPCXの変更に準じて4バルブ仕様に換装されている。

身長170cmのライディングポジションは標準的なもの。ステップスルーなので、足元に荷物が置けるのも実用的だ。

体重65kgの足着き性は両足かかとまで接地する。シート高は760mmで従来型から不変だ。

4バルブエンジンは高回転パワーが強力! ダッシュ力は従来型に軍配

PCX125の試乗でも感じたが、4バルブのeSP+エンジンは排ガス規制に対応しているためか、加速力はそれほど強力ではない印象で、それは新型リード125でも同じだった。決して遅くはないが、出足はマイルドな感じだ。新旧リード125で比較すると最高出力および最大トルク発生回転数は250rpm高まっており、さらにボア×ストロークがわずかにショートストロークになっていることから高回転型に振られているのだろう。

その分、エンジンが回り始めるとパワー感が一気に高まり、メーターの針もグングン回っていく。さすが4バルブエンジンの本領発揮で、高回転域は従来型と同等以上のレベルに感じられた。エンジンも125ccスクーターではハイエンドな水冷式となっており、パワーを絞りだせる仕様になっているのだ。

また、新型リード125は従来型と同様にアイドリングストップ機構は踏襲。信号などで停止すると数秒でエンジンがストップし、発進時はわずかにアクセルを空けるだけですぐにエンジンが始動、そのまま加速していく。また、バッテリー容量が心配な時は、アイドリングストップを切ることもできるので安心だ。

停車時は、エンジンの振動がそれなりに感じられるが基本的にはアイドリングストップしているので快適。また、走行中のエンジンフィーリングはPCX125同様にスムーズなので、高品質な仕上がりに満足感が得られる。

リードシリーズは、2008年型から水冷4ストエンジンを採用し2013年型で125ccに拡大。2022年型でついに4バルブエンジンに進化を果たした。

4バルブのメリットは、バルブ総面積の拡大により吸排気効率を高められること。また、燃焼室をコンパクト化できるので圧縮比アップが可能。これらの結果、高出力化に繋がるのだ。

スクーター版ハイエースの利便性は変わらず、スマートキーでより快適に

リード125の魅力はなんといっても大容量37Lのシート下スペースにある。従来型のインプレでバイク版ハイエースと表現したが、仕様は変わっていないので、新型リード125でも印象は不変だ。通勤や買い物で荷物が多いライダーにとってリードを選ぶ最大のセールスポイントになるはずだ。

一方で、足回りは豪華装備とは言い難く、フロント12インチホイールは14インチのPCXなどに比べると安定感が犠牲になる。路面の凸凹に対する挙動が大きくなるので、アベレージスピードに影響するだろう。もちろん小径ホイールにはメリットもあり、なんと言っても小回りが利く。ハンドル幅もコンパクトなのですり抜けではかなり有利だ。

装備はスマートキーを新たに装備することで、キーユニットをポケットに入れたままでイグニッションのオンオフやハンドルロックが可能になった。バイクに乗る時、降りる時の手間が軽減するので毎日の通勤で利用するほど価値が高まるだろう。また、従来のシガーソケット型12V電源がUSB電源になったのもありがたい。

気になったのは、ABSが非装備のままなので、ABS車に慣れた身としては雨天時に緊張感が高まる感じだ。それでも左手のレバーを握るだけでフロントブレーキも作動するコンビブレーキを装備しているので十分と言えるだろう。新型リード125は、価格上昇を抑えつつ圧倒的な利便性に磨きをかけているのが確認できた。

フロントは12インチホイールにディスクブレーキを装備。従来型から不変の装備だ。

リアホイールはさらに小径な10インチとして、シート下スペースを稼いでいる。リアブレーキはドラム式を採用。

前方が絞り込まれたシートは幅広でも足着き性を両立。シボのある表皮も高級感がある。キャリアはトップボックスの台座にも利用できるようネジ穴付き。グラブバーも兼ねている。

37Lのシート下スペースにはB4のバッグだけでなくレインウエアも収納可能。

ヘルメットも2個収容可能だが、帽体によっては入らない場合もあるので注意。

フロント側の装備は左手に蓋つきの収納スペースや中央にコンビニフック、その下に蓋つき給油口がある。この2022年型からスマートキーを採用。

フロント左側の収納スペースは500mlのペットボトルが余裕で収まる深さを確保。上部にUSBタイプC電源(5V、3A以下)を新たに装備している。

スマートキーは左のノブを回転させるだけでエンジン始動やハンドルロックが可能。給油リッドとシートの開錠は右のシーソースイッチを使う。キーはアンサーバック機能付きだ。

コンビニフックは、D字リング状になる脱落防止機能つきなので安心。

ボディ一体のハンドルまわり。ウインカーやセルスタータースイッチの操作もしやすい。ミラー位置は視認性も良好ですり抜けもしやすい。

メーターは従来型から不変。液晶窓には時計や燃料計、距離計、トリップなどを表示する。さらに、エンジンオイルの交換時期を知らせる設定機能も装備している。

2022年型ホンダ リード125主要諸元

・全長×全幅×全高:1845×680×1130mm
・ホイールベース:1275mm
・車重116kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC124cc
・最高出力:11PS/8750rpm
・最大トルク:1.2㎏f・m/5250rpm
・燃料タンク容量:6L
・変速機:Vマチック無断変速式
・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム
・タイヤ:F=90/90-12、R=100/90-10
・価格:32万4500円~33万円

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