重量級クルーザーを主軸とするハーレーの中で、スポーツライディングも堪能できるモデルとして熱きファンに支持されてきたスポーツスター。水冷化した「スポーツスターS」へとバトンを渡したが、その第2弾「ナイトスター」が登場、早速乗った!

【テスター:青木タカオ】米日独のツインエンジン搭載車を3台同時所有するなど2気筒モデルへの思い入れが強く、新旧クルーザーの試乗経験も豊富。ハーレー専門誌「ウィズハーレー」では編集長も務める。

●文:ヤングマシン編集部(青木タカオ) ●外部リンク:ハーレーダビッドソン

ハーレーダビッドソン ナイトスター概要

【HARLEY DAVIDSON NIGHTSTER】■全長2250 全幅- 全高- 軸距1545 シート高705(各mm) 車重221kg(装備) ■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 975cc 89hp/7500rpm 9.69kgf・m/5750rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量11.7L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=150/80B16 ●色:赤 灰 黒 ●価格:195万4700円~
アイコニックなタンクカバー/ソロシート/短いフェンダー/ツインショックなど軽快でスポーツスターらしいスタイルを踏襲。ABSやトラクションコントロールなど電子制御を支えるIMU(慣性計測ユニット)は、スポーツスターSに搭載される6軸ではなく5軸センサーとしている。 
【ライディングポジション】低めにセットされた幅広のハンドルは曲がりが少なく、上半身はゆるやかな前傾姿勢に。ミッドコントロールのステップは自然な位置で、ヒザの曲がりも窮屈とは無縁。シート高は705mmとスポーツスターSより60mmも低く、両足カカトまで余裕で地面にベッタリ届く。[身長175cm/体重67kg] 

待望の伝統スタイルが甦る! 975化によってパパサン風味も出た

空冷時代のスポーツスターが長きに渡って1200と883の2本立てだったように、水冷60度Vツインへ移行した新生スポーツスターもまた排気量が選べるようになった。

‘21年に先行デビューしたスポーツスターSの1252ccに続くナイトスターは、975ccで今回登場。ダウンドラフト吸気のDOHC4バルブはボア×ストロークが見直され、可変バルブタイミング機構も吸気側のみとするなど専用開発が行われている。

単なるダウンサイジングではなく、エアファンネル長やエアボックス容量も最適化。パワーユニットが剛性メンバーとして機能するフロント/ミッド/テールセクションからなる3ピース構造のフレームはそのままに、燃料タンクはシート下へ移され、新作のシートフレームによってツインショック化するなど徹底した作り込みがされているのだ。

車体重量は221kgにまで絞り込まれ、スポーツスターSより7kg、アイアン883より35kgも軽い。低く身構えたスポーツスターSはフロント17インチに160mmも幅のあるラジアルタイヤを履き、旋回時は乗り手がきっかけを作るが、ナイトスターは空冷時代のスタンダードモデル同様の19インチ&細身のバイアスタイヤでハンドリングが軽快。それでいてフロントにもしっかりと接地感があり、前後重量配分が現代的なスポーツバイクに近づいた。

前傾気味になって、ミッドコントロールで操るライディングポジションも前輪に荷重をかけやすく、フロントタイヤを路面に押し付ける感覚が得られる。車体のバンク角も深く、寝かし込んでからの安定性も高い。

ライドモードはスロットルレスポンスの鋭い「スポーツ」/オールマイティな「ロード」/濡れた路面に対応しトラクションコントロールの介入度がより高い「レイン」の3つから選べ、「スポーツ」はハイスロットル化したように応答性がいい。低回転域はスルスルっと滑らかに立ち上がり、3500rpmを超えてからパワーが盛り上がっていく。首都高速で中高回転域の強力なダッシュを存分に味わいつつ悦に浸ると、今度はレインモードの穏やかさも好ましくなるではないか。ダルさを伴いつつも不快ではなく、ゆったり流すにはむしろ心地良い。まるでパパサン(883)ではないか!? などと空冷スポーツスターオーナーとしては、ついつい先代の面影を求めてしまいニンマリするが、自在に扱えるフレンドリーな性格は、新世代スポーツスターのスタンダードと言っていい。
▲【吸気側のみに可変バルブタイミング。レボリューションマックス975T】スポーツスターS では105×72.3mmのボア×ストロークを97×66mmに見直し、排気量は975 ccに。3 分割フレームにセットされる。
▲ブレンボ製対向4ピストンキャリパーに320mmフローティングディスクの組み合わせ。
▲しなやかに動き路面追従性に優れるSHOWA製41mmデュアルベンディングバルブフォーク。 
▲オーソドックスなツインショックはプリロード調整機構付き。マフラーは2in1集合だ。
▲【歴代モデルにも似たタフなフロントマスク】LEDヘッドライトにビキニカウルをセットした武骨な面構え。アイアン1200でも人気を博したフロントマスクだ。
▲【3つから選べるライドモード】LCDディスプレイをはめ込んだ丸型アナログメーター。ライドモードは3つを設定する。モード変更で動力の伝達/エンジンブレーキ/ABS/TCSなどの設定が変わってくる。 
▲【スポーツスターらしいダミータンク形状】これぞスポーツスターとファン歓喜のアイコニックなエアボックスカバー。思わず手で撫でたくなる形状だ。
▲【マス集中も徹底】容量11.7Lの燃料タンクをシート下に配置し、車体の軽量化とともにマスの集中化が図られた。

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