CB750フォアを尖兵に、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの日本4大メーカーが世界の頂点に君臨する時代が幕を開ける。大排気量空冷マルチエンジンを搭載した公道の王者たち、その勇姿をご覧いただこう。本記事では、’70年代を通じて隆盛を誇ったZ1の後継、カワサキ Z1000[J]を取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。

●文:ヤングマシン編集部

チャンピオンを生んだ野心作 “J”【カワサキ Z1000[J]】

ロングセールスを誇ったZ1系の心臓部とフレームも、さすがに’80年代になると抜本的な改良が求められた。カワサキでは世界耐久選手権に向けてワークス活動をスタートさせたが、クランクなどに限界があり、すべてを一新することになったのだ。

そのため、完成の域にあったZ1エンジンを基本に各部を近代化。レース規定に合わせて排気量を1016cc→998ccとし、クランク重量を16.7kgから14.2kgへ軽量化したほか、カムやピストンの変更、φ34mmBSキャブの採用でマークIIと比較して9psのパワーアップに成功する。キックを廃して軽量化も図った。車体はフロントフォークをφ36→38mmに肉薄大径化、パイプの見直しなどを行いマークIIから15kgも車重が軽くなった。こうして高出力と軽量な車体を得たZ1000Jは、あの“ローソンレプリカ”に繋がっていく。

【’81 KAWASAKI Z1000[J]】■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 998cc 102ps/8500rpm 9.3kg-m/7000rpm 230kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.25-18 ※輸出モデル

【世界でたった30台だけ製作された市販レーサー“S1”】’80年からUSカワサキに日本スタッフが渡米、ロブ・マジー&チーム・カワサキがE・ローソンと共に活躍する。AMAスーパーバイク、世界耐久選手権、鈴鹿8耐用などと並行して開発が進む。当時の広告に載ったスーパーバイク向けの市販レーサー=KZ1000-S1(’82年)は生産台数がわずか30台と言われる。

カワサキ Z1000[J]の系譜

【’81 KAWASAKI KZ1000[J1]】北米向けは車名にKが付く。燃料タンクはティアドロップで、容量は欧州向けの角型燃料タンクと同じ21.4L。前寄りのステップ、長いフロントフォークは北米専用。

【’82 KAWASAKI Z1000[J2]】J2は色変更が主だが、車体番号は007901から始まる。J1の車体色=赤/銀/青の3色から、J2は色調の異なる青/黒/銀/エボニーの4色となった。

【’83 KAWASAKI Z1000[J3]】メーターを分割式から、ワンピース構造のGPタイプに変更。フレーム番号は017501からで、カナダと欧州向けのみ生産する。丸型タンクは消滅。

※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、著作上の権利および文責は提供元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

WEB YOUNG MACHINE - NAIGAI PUBLISHING, Co., Ltd. All rights reserved.

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事