カワサキのクロスオーバー、Versys(ヴェルシス)シリーズの末弟が'23年モデルで生産終了に! その足跡を改めて振り返る。

'17で登場したカワサキ自慢のADVシリーズ末弟

カワサキのヴェルシスは、'07年のヴェルシス650を皮切りに誕生したアドベンチャーシリーズ。車名は、Vertex(頂点)とSystem(システム)が由来で、コンセプトは「Any-Road Any-Time」だ。
'12年にヴェルシス1000、'17年4月にヴェルシス-X250と同ツアラーが仲間に加わった。

↑STDの'17年型。ニンジャ250ベースの心臓を採用しつつ、専用のフレームや足まわりで走破性を向上した。車体色はライムグリーンとグレーの2色設定。当時価格62万9640円。


末弟のヴェルシス250-Xは、エンジン、フレームともキャラクターに合わせてチューニングされているのが特徴だ。

エンジンはニンジャ250譲りの水冷並列ツインながら、吸排気系の変更などで低回転域での粘り強さを重視。ニンジャ250からドリブンスプロケットを2丁上げており、加速性能も向上させている。

さらにフレームは、未舗装路での走行も想定した完全新設計の高剛性バックボーン。足まわりは前後ともスポークホイールで、フロントフォークは130mmと余裕のあるストローク量を確保している。

さらに前輪に19インチを採用。前後17インチの兄貴分に対し、より未舗装路を意識した仕様だ。250のみ車名にXが付くのは、シリーズの中でもよりクロスオーバー色が強いからだろう。
標準タイヤはマルチパーパス系のIRC製GP210で、チューブタイプとなる。

↑メーターは新作で、250ccクラス初搭載のギアポジションインジケーターを装備していた。軽い操作感とバックトルクリミッター機構を備えたアシスト&スリッパークラッチはニンジャから継続採用。なお海外では300版も存在した。

 

↑ニンジャと異なる面積の大きいダブルシートでタンデム性能をアップ(写真はツアラー)。リアシート上面をフラットな形状とするとともに、4個のフック付きアルミ製リアキャリアで積載性が高い。なお、グラブバーはハンドルバーと同じ直径で、タンデムライダーの握りやすさまで考慮。


ヴェルシス-X250ツアラーは、パニアケースをはじめ、エンジンガード、ハンドガード、DCソケット、センタースタンドが標準装備。これらのオプションを揃えると総額で11万円程度かかるが、ツアラーは5.4万円増の68万3640円というバーゲンプライスなのだ。

↑'17年型ヴェルシス-X250ツアラー。パニアケースなどのオプションを標準装備しながらお買い得な仕様だ。車体色はライムグリーン1色。写真ではフォグランプが装着されているが、別売だ。

[ヒストリー]カラーチェンジを繰り返し、'19からツアラーのみの設定に

'17年型のデビューからメカ的な変更点は公表されておらず、カラーチェンジのみを繰り返した。

'19年型からSTDが設定されず、ツアラーのみのラインナップに。'21年型は前年型を継続販売した。そして、2022年10月15日発売の'23モデルをもって国内での販売終了がアナウンスされた。

これは、2022年11月から全面適用された排ガス規制(令和2年2輪車排ガス規制)が原因。ヴェルシス-X250ツアラーはこれに対応せず、国内での販売を終えることになった。

↑'18年型で400台限定のマトリックスカモグレー×メタリックフラットロウグレーストーンを設定(写真)。水転写塗装を採用したカモ柄がカッコいい。ツアラーは他に黒を用意し、STDは黒とツヤ消し緑×黒の2カラーを設定した。

 

↑'19モデルからツアラーのみのラインナップに。車体色は黒のほか、車名が大きく入りライムグリーンのストライプを配した灰×黒(写真)の2カラーが登場した。

 

↑'20年型から歴代初の白が登場。'18限定版に似たカモグレーも標準で設定された。

↑'22年型ではキャンディライムグリーン×ブラック、ブルー×ホワイトを導入した。

↑'22年10月15日発売の'23モデルをもって国内での販売終了がアナウンスされた。車体色はパールマットセージグリーン×メタリックマットカーボングレーのみ。価格72万6000円。

※写真内のフォグランプはオプションで別売。

ライバルよりさらに万能なキャラクター、復活の可能性もある?

ヴェルシス-X250はエンジンがツインなので、単気筒に比べて巡航性能が高いのが魅力。フロント19インチ&リア17インチにより、本格オフロードとまではいかなくても、ツーリング中にフラットダートなどへの寄り道も可能だ。最低地上高は180mmを確保している。

ライバルのホンダCRF250Lはフロント21インチホイール+ブロックタイヤを履き、オフ性能が高め。最低地上高は245mmもある(STD)。スズキV-ストローム250は前後17インチキャストホイールとオールラウンドタイヤを採用し、最低地上高は160mmとオンロード向きだ。

対するヴェルシス250-Xは、両者の中間的なキャラクターと言えるだろう。イイトコどりのマシンゆえに個性が薄かったせいか、当初はセールス好調だったが、徐々に苦戦。こうした状況に加え、排ガス規制が強化されたことを機に、7年という期間で国内での販売を終えることになったのだろう。なお、CRF250シリーズとV-スとローム250は規制をクリアし、存続が決定している。

しかし、エンジンをベースとしていたニンジャ250は'23年型でマイチェンを受け、令和2年排ガス規制に適合。つまり、エンジンを現行ニンジャベースとすればヴェルシス250-Xの存続は可能と思われる。

250アドベンチャーはこれから一段と盛り上がるジャンルのはず。エンジン変更とともに灯火類のLED化やケースの容量アップなどのモデルチェンジで魅力をアップし、近い将来ぜひ復活して欲しい!

2023年型 ヴェルシス250-Xツアラー 主要諸元
・全長×全幅×全高:2170×940×1390mm
・ホイールベース:1450mm
・シート高:815mm
・車重:183kg
・エンジン:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 248cc
・内径×行程:62.0×41.2mm
・最高出力:33ps/11500rpm
・最大トルク:2.1kg-m/10000rpm
・燃料タンク容量:17L
・キャスター/トレール:24°30′/108mm
・ブレーキ:F=ディスク R=ディスク
・タイヤ:F=100/90-19 R=130/80-17

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