ホンダの大人気スクーター、PCXとPCX160が令和2年排出ガス規制に適合、’23年1月から販売されている。諸元については、両モデルとも車重が1kg増えたのとWMTCモードに変更があったのみで、前年モデルから大きな変更はなし。原付二種のPCXを試乗してみたぞ。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:ホンダ
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ホンダ PCX 概要
【HONDA PCX】■全長1935 全高1105 シート高764(各mm) 車重133kg ■水冷4スト単気筒SOHC4バルブ124cc 12.5ps/8750rpm 1.2kgf・m/6500rpm 無段変速 燃料タンク容量8.1L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-14 R=130/70-13 ●色:白 灰茶 青 薄青灰 黒 ●価格:36万3000円
【ライディングポジション】足着き性の良さとポジションの自由度の高さがPCXの美点であり、また最小回転半径が1.9mと小さいので小回りも利く。[身長175cm/体重68kg]
[◯] 全てにおいて上質。間違いのない1台
付加価値の高いワンランク上の原付二種スクーターとして、’10年に登場したホンダPCX。その勢いは止まることを知らず、販売台数において原付二種スクーターの頂点を快走中だ。昨年は2位のヤマハ・シグナスグリファスに対し2倍以上(!)もの売り上げを達成しているのだ。
そんなPCXは、’21年モデルで第4世代に突入した。4バルブ化された水冷シングルや切り替え式トラコンの新採用、リアブレーキのディスク化など、王者に君臨しながら改良の手を緩めることは一切なし。今回試乗した’23年型は、新排ガス規制に適合したことで型式の頭が2BJから8BJとなったが、’21年型の時点でこの規制対応は織り込み済み。ゆえに諸元はほぼ変更なしなのだ。
12.5psを発生するeSP+エンジンは、微振動やメカニカルノイズが非常に少ないことから、発進から力強くもジェントルという印象が先行する。そして、レスポンスがダルくなるとか、高回転域での伸びが悪くなるなどといった、排ガス規制適合後にありがちなネガティブな症状は特にない。なお、燃費についてはWMTCモード値で3%弱アップしており、小さいながらも毎日乗る人にとっては無視できない進化だ。
車体については、標準装着タイヤがミシュランからIRCに変更された以外は特に変更はない。微速域でも変に切れ込んだりせず安定しており、きっかけを与えればバイク任せでスイッと向きを変えるイージーさは相変わらずで、この印象はタイヤが変わっても共通だ。ギャップ通過時の衝撃吸収性の高さと車体の振られにくさは、フレームの剛性バランスとサスセッティングが優秀な証拠であり、これもエンジンと同様に上質さを感じるポイントでもある。
スマートキーをはじめ、大容量のラゲッジボックス、500mlのペットボトルが収納できるフロントボックス、USBタイプCに対応した電源ソケットなど、ユーティリティ面においてもトップクラスにあるPCX。’23年型は車両価格が5500円上がったが、昨今の値上げトレンドからすれば実質据え置きだろう。
[△] シートはツートーンの方が特別感があった
シート表皮は第4世代で滑りにくい素材となり、合わせて先端とタンデム部分がグレーに。このツートーンカラーはカスタム感があって、個人的にも気に入っていたのだが、汚れが目立つなどの意見があったのだろう。
[こんな人におすすめ] 規制前後での違いはほぼなし。原付二種界の名車だ
操縦性の面ではマイナス要素であるシットインポジションでありながら乗りやすく、シート高の低さと大容量トランクを両立している点が私の思うPCXの美点だ。初代ですら感動したのに、世代ごとの進化ぶりは頭が下がる思いだ。
ホンダPCXディテール写真解説
ホンダPCX スタイリング
【黒/青の色味を変更。新色の茶を追加】昨年6月に追加されたばかりのブラックとブルーが廃止となり、それぞれポセイドンブラックメタリックとマットスーツブルーメタリックに。さらに125/160ともマットマインブラウンメタリックが新色として登場した。車両価格は125/160とも5500円アップで、160はWMTCモード値が微減している。
ホンダPCX エンジン
2→4バルブ化やボア×ストロークの見直しなど、’21年型で全面刷新されたeSP+エンジン。令和2年排出ガス規制に相当するユーロ5の適合を見越して設計されており、今回の’23年型では最高出力、最大トルクとも変更はなく、125ccはWMTC モードが微増した。
ホンダPCX 足まわり
【タイヤメーカー変更。ミシュラン→IRCへ】’21年モデルでホイールのデザインを5本のY字スポークとし、リアを14→13インチとしたPCX。’23年モデルで標準装着タイヤがミシュランのシティグリップからIRCのSCT-006/007に変更された。ブレーキは前後ともφ220mmディスクで、フロントのみABSを採用。
ホンダPCX 主要装備
【アイドルストップやトラクションコントロールまで装備】ハンドルホルダーは’21年型からラバーマウント化。大型液晶メーターは水平基調で見やすく、機能も豊富だ。トラコンのオン/オフはセレクトボタンを操作する。
フロントインナーボックス内にはUSBタイプCソケットを標準装備。
タンクリッドの裏面に燃料タンクキャップの置き場が設けられる。
シート表皮はブラック1色に。ラゲッジボックスの容量は30Lで、使い勝手は優秀。
’21年型で平面部が拡大されたフットスペース。自由度は高い。
スタイリングにうまく溶け込んでいる可倒式のタンデムステップ。
エレガントな表情のヘッドライトは、中央にハイビーム、その左右にロービームをレイアウトし、そこから上方へ5本のラインによるポジションランプが光の流れを演出。テールランプはマルチオプティクス技術により、光の立体感を生み出すことに成功している。
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