スズキのスーパースポーツモデル・GSX-R1000Rは、日本国内では2022年に生産終了となり2023年以降は販売がストップしていたが、この度見事に排出ガス規制と騒音規制をクリア! スズキは2026年7月17日より発売することを発表、7月10日には都内にて「新型GSX-R1000R新商品説明会」が開催された。

新型GSX-R1000Rは2026年7月17日より発売開始。……だが、発表会が行われた7月10日の時点ですでに年間目標販売台数300台を超えるオーダーがお店から入っているという。写真のカラーリングはパールビガーブルー/パールテックホワイト(C6F)。
全長2075 全幅705 全高1145 軸距1420 シート高825(各mm) 車重203kg(装備) ■水冷4スト直列4気筒DOHC4バルブ 999cc 190ps/13200rpm 11.0kg-m/11000rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量16ℓ(ハイオク指定) ■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=190/55ZR17 ●価格:237万6000円
大幅改良を加えた新型GSX-R1000Rは237万6000円

7月10日にステーションコンファレンス大井町トラックスで行われた「新型GSX-R1000R新商品説明会」の模様。6名もの開発スタッフが登壇し、二輪媒体を中心とした多くの報道陣が集まった。
スタイリング変更、トラクションコントロールシステムやABSといった電子制御レベルの底上げ、リチウムイオンバッテリーの採用など、新型GSX-R1000Rの改変ポイントは多いが、ハイライトは兎にも角にも“しっかり規制対応を行い国内モデルとして再び販売が開始された”というところだ。この規制対応により最高出力こそ197psから190psへと変わっているものの、開発陣は従来モデルに対して“決して遅くなっているようなことはない”と力説。

エンジン内部のピストン、コネクティングロッド、クランクシャフト、バルブ、カムシャフトなど、黄色く着色されたパーツが今回の新型GSX-R1000Rで改変された。
今回のモデルチェンジでは、規制対応はもちろんだが“信頼”、“耐久”、“高性能”をコンセプトにエンジン内部の構造を徹底的に見直している。特に世界耐久選手権に出場する際にレギュレーションで交換が認められない部品を重点的にブラッシュアップ。

鍛造ピストンは1個あたり3グラムの軽量化を行いながら、圧縮比を13.2から13.8へとアップするためにピストンヘッドの形状を最適化。写真はどちらも左が従来型で右が新型。新型は従来型に比べてピストンスカート部の補強がなくなり、裏側のリブの入り方が変わっている。
エンジン出力に大きく関わるピストン&クランクまわりの改変にあたっては、GSX-R1000Rが得意とする“耐久性の高さ”にさらに磨きをかけるような改良を実施。クランクシャフトのジャーナル径の拡大や浸炭処理を施したコネクティングロッドを採用するとともに、徹底的なフリクションロスの低減のために、アルミめっきシリンダー加工の精度向上やクランクシャフトの構造まで徹底的に見直している。

フリクションロスの低減に関しては、スズキが得意とする「SCEMめっきシリンダー」の加工精度向上や、スムーズなクランキングのためのクランクジャーナルのボルトの締め付け方法変更など、工場における生産技術レベルからの見直しを行う気合の入れよう。
結果としてピークパワーの数値こそ落ちているものの、新旧のGSX-R1000Rの加速テストでは新型の方がパッと前に出てしっかりと差がつく結果が出ているのだとか。また狙い通り、世界耐久選手権のレース規定に基づいてレース車両を作り上げるような場合には明らかに新型の方が高いポテンシャルを発揮するという。

カラーリングは左から、パールビガーブルー/パールテックホワイト(C6F)、キャンディダーリングレッド/パールテックホワイト(C7Q)、パールイグナイトイエロー/マットステラブルーメタリック(C7P)の3色展開。写真は欧州仕様。
この徹底的に見直された新型GSX-R1000Rの耐久性について、“従来比でどのくらい耐久性が上がっているのか?”という質問をぶつけてみると、「具体的な数値での回答ではありませんが、先日欧州で“The Suzuki 6 Hours”という試乗会を開催しました。新型GSX-R1000を6台用意して1台のバイクを3人の元レーシングライダーが(6チームで)耐久レース形式で走らせるという過酷なものでした。そんな状況でも新型GSX-R1000は転倒も故障も起こさなかった。走らせたジャーナリストの方に“こういう試乗会はスズキにしかできない”と言ってもらえたのが非常に嬉しかったですね」と開発陣。

ひと昔前は、“当たり車両”、“ハズレ車両”なんていう言葉があるくらいバイクの生産精度にはバラつきがあったものだが、工場における生産技術レベルからの見直しを行った新型GSX-R1000Rは“当たり車両”しかないというわけである。
この過酷な試乗会において、“工場の生産ラインから出てきた車両を少しだけ慣らし運転を行って、そこから6時間全開走行を耐え切った”というのだから、新型GSX-R1000Rの耐久性はもちろんだが、スズキが自社の生産工場の技術レベルにいかに自信を持っているかが窺える。もちろん、この世界耐久選手権を想定した徹底的な耐久性のアップは、我々ユーザーにとっても“GSX-R1000Rであれば頑丈で長く乗り続けられる”という安心感につながる。

鈴鹿8時間耐久ロードレースと全日本ロードレース選手権に参戦しているスズキの社内チーム「チームスズキCNチャレンジ」。レースマシンには浜松工場の生産ラインで製造されたエンジンを搭載しており、レースで得られた性能評価や耐久性の先行確認結果を新型GSX-R1000Rにフィードバック。製造の現場がレース車両に関わることはとても大きなメリットがあるという。
時流のウイングレットはオプション設定。片側一枚18万7000円!!

ウエットカーボンではなく、より高性能なドライカーボンを採用したウイングレットは日本国内ではオプション設定。価格は片側18万7000円。
エンジンだけでなくスタイリングの刷新を行なった新型GSX-R1000Rであるが、気になるのはMotoGPマシンなどでトレンドとなっているウイングレットを新装備したことだろう。日本仕様ではオプション設定となっているが、装着することでコーナリング中の安定感がアップ。さらにはフロントタイヤを路面に押し付けるダウンフォースを発生させることで、コーナリングからの立ち上がりでフロントタイヤが浮き上がるのを防止する。具体的には、200km/h時に約8.4%のダウンフォース増加が見込めるという。

ドライカーボンのウイングレットは日本製で、重さは、両側、ボルトなどの取り付け部品込みで110g。※写真のウイングレットは撮影用であり、穴あけ加工が必要な取り付けボルトが装着されていない。
しかもこのウイングレットは、サスペンションなどのセッティング変更が必要ない範囲で最も効果が出るような形状を追求。テストライダーではない開発スタッフが乗ってみても、コーナリング中の安定感が増すのを感じられ、サーキットをバリバリに攻めるようなライダーでなくてもその効果を実感できるようになっているという。

ウイングレットの形状は最終形状に至るまで、大きく分けて3タイプを考慮。左の形状案①ではダウンフォースが効きすぎてサスペンションのリセッティングが必要となり、形状案②では200km/h以上の速度域でないと効果が感じられず、最終的に形状案③を採用。

ウイングレットやシングルシートカウルなどのアクセサリーパーツを取り付けたGSX-R1000R。ちなみにこのウイングレットは改造範囲の厳しいSST(スーパーストック)クラスでの使用は不可とのこと。このクラスにウイングレット付きのGSX-R1000Rで出場するためには日本仕様ではなく、ウイングレットが標準装着されている海外仕様でレーサーを作る必要がある。
2026年7月17日より発売となった新型GSX-R1000R。繰り返しになってしまうが、久々の国内モデル復活ということで、ユーザーの期待は大きく、すでに受注量は年間目標販売台数超え。品薄必至の状態なので、ぜひ注文はお早めに!
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