今年は数年ぶりの厳冬とのことで、各地で大雪が猛威を振るっている。雪が積もれば当然バイクには乗れないし、積もらなくてもこれだけ寒いと乗る気になれない……なんて人も多いだろう。
そんな時こそ、バイクが登場する作品を見たり読んだりして、悦に浸るのが吉! 最近はインスタグラムでライダーをフォローして、かっこいい愛車の投稿を見るのが好きなのだが、やっぱりストーリーのある映画や漫画、小説などは別格である。
なかでもSR400/500やCB750FOURといった70年代バイクが好きな僕がイチ押しするのが、映画『女番長 野良猫ロック』である。
リアルな’70年代が見られる不良映画の名作!?
主演は和田アキ子さんで、なんとコレが映画デビュー作。
和田アキ子といえば、今は芸能界のご意見番というイメージが強いが、もともとは(というか現在も)R&Bの歌手。それでいてご存じのとおりの長身で、若い頃の彼女はバイクがめちゃくちゃ良く似合うのだ。
『女番長 野良猫ロック』は、そんな彼女の知られざる(!?)カッコ良さを満喫できる作品なのだ。
この作品の良さは和田アキ子だけではない。登場するバイクが(当たり前だが)リアルな70年代の名車たち……和田アキ子扮するアコの愛車はレッドメタリックのCB750FOUR。1970年公開なので、制作期間なども考慮すれば当然K0(初期型)と思われる。
敵の黒シャツ隊の男たちが乗るのはCB250(350?)やCL250(350?)、DT-1やCB450、W1にトライアンフなど。これらのバイクが1970年の新宿西口あたりを舞台に走り回るのである。
はっきり言って痺れまくりだ!!
だけど、やっぱり一番カッコ良いのはアッコ姐さん! とにかくCB750FOURが似合いすぎている。それに走行シーンもふんだんにあって、新宿の街中を走るCBがとにかくヤバい。
たとえば映画『イージー★ライダー』はアメリカの何もない直線を走る2台のチョッパーがクールだし、『アメリカン・グラフィティ』は60年代の田舎町を走るアメリカ車が気分を高揚させてくれる。
バイク(やクルマ)はそれ単体のカッコ良さも重要だが、どんな風景を走るかも大切。
70年代の新宿を走るCB750FOURを見ると、「あぁ、このバイクは当時、こういう風景のなかを走っていたんだ……」と、その絵面のリアルさにあらためて心を奪われるのだ。
GSサウンド全開のライブハウスのシーンや、70年代ヒッピーやディスコファッションのレディースたちにも注目。まぁ、とにかく、画面から伝わる全てがかっこいい。もちろんアッコ姐さんのR&Bな歌も聴ける!
さて、気になるストーリーだが……そこは割愛。上のジャケット写真を見て、「だいたいこんな感じかなー?」と想像したら、はい、だいたいそんな感じで正解です(笑)。
あ、そうそう。敵役の藤竜也さんもヤバい雰囲気を醸し出しまくりで、要注目。ちなみに彼が乗るバギーが何か分からなかったのだが、日活の公式サイトによるとダイハツ フェロー・バギィとのこと。なんと国内でも100台限定で販売され、公道走行可能。気になって調べてみると、某中古車サイトで350万円で販売されていました(驚)。
そして見逃せないのが、クライマックスでのCB750FOURとバギーによる新宿西口・地下街でのカーチェイス!! ……なのだが、このシーンはなんとゲリラ撮影、つまり無許可だったそう。
たしかに地下街でバイクとバギーが走るのだから、通常の演出であれば通行人は驚いて逃げ惑ったり、転んだりするはず。だけど、このシーンに出てくる通行人は誰も逃げない。「あれ、なんでクルマとバイクが走ってるんだ?」というリアクションなのだ。
今ではとても考えられない(苦笑)。
ともかく、いろいろな意味で規格外、それでいて出てくるマシンはカッコ良い! 真冬を熱く過ごすには最高の作品だ!! ……と、僕は思っている。