前回の記事で『ボバー』の成り立ちやカスタムジャンルとしてのボバーのルールを解説した。

そして、今回はその後編ともいうべき記事。現代でもクルーザーの、さらに1ジャンルとして人気を確立している最新ボバーを紹介していこう。


かつての『ボバー』のルールを踏襲

現在、現行モデルとしてラインナップされているクルーザーモデルのうち、車名に『ボバー(Bobber)』やその語源となる『ボブ(Bob)』が使われていたり、コンセプトやプレスリリースなどに『ボバー』が使われているものを見てみると、たしかに前回記事で紹介した特徴を踏襲したルールがあることに気づく。

・クルーザーモデルであること
・無駄な装飾のないシンプルなスタイリング
・同クラスのクルーザーのなかでもコンパクト
・フロントフォークは短めで、(クルーザーのなかでは)スポーティ

以上がその特徴だ。

高速道路などの直線をドコドコと鼓動感を味わいながら突き進むのがクルーザーの一般的なイメージだが、ここに紹介するモデルはどれもコンパクトでスポーティ。

80~100年前に生まれたカスタムジャンルが、みごと現代に蘇ったといってよいだろう。

今回はそのなかから、特におすすめの9台を紹介したい。

Harley-Davidson Street Bob 114

※写真は2022年モデル


ボバーといえば、やっぱり本家はハーレーダビッドソン。同社では現在、『Bob』の車名を冠したモデルを2種ラインナップしている。

そのうち、アップハンドルと軽快なスタイリングで人気なのがストリートボブ。その名の通り、ストリートを意識したポップなルックスが特徴。それでいて、フューエルタンクのグラフィックやショットガンタイプのマフラーはレーシー。まさに当時のストリートレーサーである『ボバー』を体現したモデルといえるだろう。

Harley-Davidson FXDB Street Bob

 

※写真は2009年モデル


ちなみにコチラは先代エンジン『ツインカム96』を搭載したストリートボブ。リア2本サスやエンジンの振動を抑えるラバーマウントフレームを採用したダイナファミリーとしてラインナップされていた。

前後スポークホイールやスパルトタイプのコンパクトなテールランプなど、“ハーレーの高年式ボバー”を狙うなら個人的にはこのモデルがおすすめ!

 

Harley-Davidson Fat Bob 114

 

※写真は2022年モデル


ショートリアフェンダーやアップタイプのマフラーなどは紛うことなくボバーなのだが、かなりファットなスタイリングが特徴。

異形LEDヘッドライトや極太タイヤ、倒立フロントフォークなど、80年を経てボバーが正常進化した……そんな形容がぴったりのモデルだ。

 

Harley-Davidson Forty-Eight

 

※写真は2021年モデル


先日、惜しまれながらもその歴史に終止符を打ったのが、空冷OHV4カムエンジンを搭載するスポーツスター。なかでも1200ccを搭載するフォーティエイトは、コンパクトなボバースタイルで最も高い人気を誇った。

すでに新車を見つけるのは難しく、中古車も高値となってしまっているが、欲しい人は程度のよい個体がまだまだ多い今がベストタイミング。

お近くのレッドバロンで相談してみてはいかがだろう?

 

YAMAHA BOLT Rスペック

※写真は2022年モデル


ボルトのデザインコンセプトは『Ultimate Purely Bobber』。空冷Vツインエンジンを搭載したシンプルな車体構成は、いかにもクルーザーな乗り味か……と思いきや、コーナリング性能も意外なほど高く、適度にワインディングを流すと最高に楽しいのだ。

現行モデルはリザーバータンク付きリアサスペンションやキャストホイールを採用したRスペックのみをラインナップしている。

 

TRIUMPH Bonneville Bobber

※写真は2022年モデル


トライアンフの『モダンクラシック』シリーズのなかでも異色なのが、ボンネビル ボバー。

リジッドフレームを思わせる独自のフレームに、水冷並列2気筒エンジンを搭載。深くフィンを刻んだエンジンや前後スポークホイールによって、往年のボバーの雰囲気をみごとに再現している。

ちなみに1940~1960年代、アメリカではハーレーと並び、トライアンフを中心とした英国車ベースのボバーが実際によく走っていたという。まさに、当時を偲ばせるネオクラシックモデルだ。

 

MTO GUZZI V9 Bobber

※写真は2022年モデル


モトグッチ伝統の縦置きVツインエンジンを搭載したボバーモデル。アメリカンカスタムというには、やや腰高な印象は否めないが、前後16インチのファットタイヤやショートリアフェンダーなど、雰囲気は十分。

ちょっと変わったボバーに乗りたい人におすすめしたい。

 

Honda Rebel 1100

 

※写真は2022年・DCTモデル


レブルは、特にメーカーが「ボバー」だと発信しているわけではないのだが、そのスタイリングやコンセプトから僕の独断によってボバーと認定した1台。

コンパクトなスタイリングやスポーティな乗り味、ショートフェンダーやちょっとアップしたマフラーなどは、まさに現代版ボバーである。

NC700シリーズ以来、常に進化を続けてきたDCTも秀逸で、個人的にはこちらがおすすめ!

 

Honda Rebel 250

※写真は2022年モデル


今回紹介するモデルで唯一、普通自動二輪免許で乗れるのがレブル250。扱いやすさや足付きの良さによって、ビギナーからベテランまで、あらゆるライダーに人気のモデルだ。

2017年の発売からすでに5年が経ち、トップセールスを維持し続けたため、中古車両も豊富。狙い目の1台である。

バラエティ豊かなラインナップ

ひとくちに『ボバー』といっても、たとえばエンジン形式は空冷Vツインから水冷並列2気筒や単気筒、排気量も250~1800ccとさまざま。レブル1100に至っては、DCTを採用したATモデルまであるのだ。

どれを選んだとしても、クルーザーの鼓動感にちょっとしたスポーツ感が楽しめるモデルばかり。きっと充実したバイクライフを送ることができるだろう。

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