とにかく走りたい! ビョーキでしょうか!?


 こんにちは青木タカオです。いよいよ夏本番という暑さで、熱に弱い旧車には少し厳しい季節がやってきました。しかし、なんのその! 夏もバイクで走りたくてウズウズしているボクは、ガレージにあるカワサキW1SA/1971年式を見たら、もぉ〜乗りたくて乗りたくて我慢できないっ!! 酷暑の昼間を避け、日が暮れてからならどうだと、夜遅くに地図も見ないで走り回る次第です。

 ここForRでも、繰り返し何度も報告してきましたが、どこに自分がいるのかさえわからないくらい、行き先を決めぬまま何も調べず、あてもなく走るのがボクは大好きです。

 今回もまたそのモードに気持ちが突入してしまい、もう抑えることができません! これって、もはやビョーキかもしれませんが、これを読んでくださっている人の中には同じ病を患っていて、共感していただける人もきっといるのではないでしょうか。ボクはそう信じております。


 夜にバイクでさまようとき、特に夏はいい季節です。東京から走り続け、写真も撮らぬままもうかなり遠くへ来てしまいました。昼なら見渡す限り、田園風景が広がっていることが目視できるのでしょうか。辺りは真っ暗。コンビニだけが明るく光って、道沿いに存在しています。


 蒸し蒸しと暑い深夜に自分だけでひとり。暗闇の中に、今度は煌々と光るガソリンスタンドの灯りを見つけます。給油機の前にダブワンを停めると、そこらじゅうが虫だらけであることにすぐに気づきます。

 特に虫が苦手ではないボクでも、チョット臆するほどにいろいろな虫が足もとに這っていたり、ライトに群れて飛んでいたり……。都会では味わえない光景で、こんなシーンがなぜかボクには強く印象に残り、夏っていいな、バイクっていいなって、頬が緩むのでした。

 容量が15リットルある燃料タンクをハイオクで満たし、キックアームを振り下ろせばバーチカルツインが元気よくまた始動します。

 今度はもっと暗い場所に停まって、星空を見上げてみようかなと思いつつも、ボクはずっとずっと走り続けるのでした。並列2気筒エンジンの音色を止めたくないからです。

気がつけば海


 夜が明ける頃には、西湘バイパスへ。海を見ながら走ることのできる絶景ルートで、関東のライダーにはお馴染みのツーリングコースではないでしょうか。国府津インターチェンジを過ぎたところにあるのが、西湘パーキングエリアです。昔は「国府津パーキング」って呼んでいたように思いますが、NEXCOのホームページなどで調べると、正式には「西湘パーキングエリア」になっています。

 2019年10月の台風19号で高波の被害に遭い、その後はしばらく閉鎖となっていましたが、地盤の高さを上げ、波返し擁壁を改良。2023年4月にリニューアルオープンされています。

 西湘パーキングで一息つき、このまま伊豆箱根方面へ足を伸ばそうかとボンヤリ考えます。二輪専門誌では、バイクの走行シーンを箱根のワインディングで撮影することが多く、朝早くに現地集合なんてことが少なくありません。

 最近はメディアに掲載する画像のバリエーションがいろいろと増え、他の場所でも撮影することが多いので、伊豆箱根方面ばかりではなくなっていますが、ボクが業界に入った90年代の頃は、いつも箱根に行っていたという感覚でした。

 もちろん、自分の立場は今も大して変わりませんが、撮影チームの中ではイチバン下っ端の“見習い”だったあの頃。時代的に“パワパラ”なんて言葉はありませんでしたが、先輩の編集部員やライターさん、インプレッションをご担当されるライダーさんらに怒られてばかりで、ココだけのハナシ、こっそり泣いていたりもしていました。

 当時を知る先輩たちに「泣いていた」なんて言うと、「またまたぁ〜」「ウソ言うなよ」「おちょくってたクセに」と笑われてしまいますが、必死にバイクを磨いて走って、カメラマンさんが撮影しやすいように車両を押したり引いたりしてレフ板を当てて、トランポ(ハイエース)にバイクが傷つかないよう積んだりおろしたりしている毎日でした。

 なので箱根のワインディングを走ると、いまでも当時の記憶がよみがえって、ココで●●●さんと笑ったなぁとか、あまりにも眠くなって同僚の●●●くんと15分ずつ寝たっけなぁとか、このコーナーであんな事があった、こんな事があったと、いろいろと思い出しては、涙が込み上げそうになるときもあります。

 そんなふうにナーバスになるので、休日に訪れてもちょっぴり複雑な気持ちだったりします。なんて言えばいいのでしょうか、ボクにとってはある意味、特別な場所なのかもしれません。これはボクだけではなく、バイクやクルマメディアに関わっている人にとっては、みんなそうなのかもしれません。

朝ゴハンは小田原漁港で!


 ハナシを戻しましょう。「そうだ、朝ごはんを食べて帰ろう!」と、一晩かかってボクはついに具体的な目的を決めました。向かった先は小田原早川漁港。仕事のとき、余裕を持って早く家を出たら、早川漁港でひとり朝ゴハンを食べるのが、ボクの密かな愉しみだったりもします。

 もちろんこれは最近のハナシ。昔は余裕を持って早く家を出るなんてことは皆無でしたし、朝ゴハンを食べたとしても箱根ターンパイク下にある牛丼チェーン店で、急いでドンブリをかっくらうのがいつものパターン。オジサンになった最近は、早めに家を出て早朝に小田原まで来れるようになりました。


 そんなとき、漁港の周辺で早い時間から開いている食堂が「港のごはんやさん」(神奈川県小田原市早川1丁目)です。相模湾の魚介が毎朝水揚げされる早川漁港。毎朝買い付けに来る魚屋さんら業者さんをはじめ、地元の常連客に愛され続けている食堂です。

「市場関係者が優先」とドアに貼られている通り、観光客より目利きの効くプロを相手にしているお店なんだと思います。開店する午前6時半頃から、お店のまわりをウロチョロしつつ、オープンするのを待ちます。もちろん市場関係者が優先ですので、邪魔にならないように配慮しつつ。


「ひとり、大丈夫でしょうか?」と聞きつつ入店すると、快く席に迎えてくれます。注文したのは刺身定食(主に地魚)/1500円。満足度満点、オススメです! 不定休で休日も11:00〜14:00に営業していますが、ボクは平日にしか行ったことがありません。

満腹必至の大盛り!

ゴハンはお茶碗ではなく、コレってナニ? “おひつ”でしょうか。大盛りにもほどがある! 大磯の善磯食堂です。ゴハンはお茶碗ではなく、コレってナニ? “おひつ”でしょうか。大磯の善磯食堂です。
 お腹がいっぱいになったら、眠くなる前に帰京します。西湘バイパスには、オススメの食堂があと1つあるのでご紹介しておきましょう。昭和40年創業、大磯町にある昔ながらの大衆食堂「善磯食堂」(神奈川県中郡大磯町生沢)です。

 ココもなにを食べても旨いし、なによりボリュームがものすごい。定食を頼んだときのゴハンの量はハンパなく、普通盛りでも下の写真の通りどっさりきます!

 コレって“おひつ”と言うのでしょうか、複数人で食べる量ですよね。ゴハン少なめがいい人は「お茶碗で」と、頼みましょう。
 大盛りにもほどがある! これを頼めるのは大食いに自信のあるツワモノだけではないでしょうか。これを見て「我こそは!」という人はぜひ「大盛り」に挑戦してみてください。

 ダブワンで走った今回は「善磯食堂」には寄りませんでしたが(写真は別の日に訪れたときに撮影)、お昼どきにお腹をすかして大磯周辺を走ることがあったら、ぜひ立ち寄ってみてください。

 というわけで、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。これを書いていたら、なんだか無性にお腹が空いてきました。またバイクで気ままに走って、旨いものを食べたいです。幸せな夏のひとときでした。

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