衝撃の発言にファン歓喜!

ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

「あまり具体的に言うと怒られちゃうのですが、先々週、熊本で乗りました。テスト車に。良い出来です。ご期待ください」

Honda 二輪事業説明会にて登壇した二輪・パワープロダクツ事業本部長 兼 二輪事業統括部長 加藤稔執行役。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲Honda 二輪事業説明会にて登壇した二輪・パワープロダクツ事業本部長 兼 二輪事業統括部長 加藤稔執行役。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 バイクではもちろん世界初、ファンらの間で話題となっているホンダの電動ターボについて言及されました! 腰を抜かすほどの驚きと、ワクワクしてならないホンダらしい夢のある話ではありませんか!!

 こんにちは、青木タカオです。本田技研工業は「Honda 二輪事業説明会」を報道向けに2025年1月28日に開き、二輪・パワープロダクツ事業本部長兼二輪事業統括部長の加藤稔執行役が登壇。報道陣からの質問に、こう答えたから驚きを隠せません。

 つまり、すでに走行ができる段階にまで開発は進んでいるのです!!

「排気量などはいえないのですが、いずれにせよコンパクトなエンジンとコンパクトなボディで、軽量でありながら、全領域で電子制御による過給ということで、とてもパワフルな仕上がりになっています」

「まだ、テスト車なんですけれども、これから目標に向かって引き続き、本気で開発してまいりますので期待してください!」

 量産車市販車へ向けて、ホンダが本気だというのですから、期待せずにはいられません。

V3エンジンは40年ぶり

ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 昨秋のミラノモーターサイクルショー(EICMA2024/イタリア)にて、ホンダが『new ICE concept』と名付けた新しいコンセプトモデルは、新規開発中の水冷75度V型3気筒エンジンに、二輪車として世界初となる電動過給機を採用していたことで、世界中のバイクファンらを驚かせました。

 コンセプトモデルですから、その時点では市販車にいたるかどうかはわかりませんでしたが、大反響となりました。

ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 というのも、モーターでコンプレッサーを回す電動ターボはクルマ(四輪車)では市販化されている技術ですが、バイクでは前代未聞なのです。

フレディ・スペンサーが乗り、1983年世界グランプリを制した『NS500』のレプリカである『NS400R』(1985年)。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲フレディ・スペンサーが乗り、1983年世界グランプリを制した『NS500』のレプリカである『NS400R』(1985年)。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 そして、前2気筒/後1気筒のV型3気筒エンジンをホンダが手掛けるのは、『NS400R』(1985年)や『MVX250F』(1983年)以来、およそ40年ぶり!

水冷2ストローク90度V型3気筒エンジン搭載の『MVX250F』(1983年)。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲水冷2ストローク90度V型3気筒エンジン搭載の『MVX250F』(1983年)。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

「電動ターボ付きのV3エンジンがもし登場したら…」と、大きな関心が寄せられ期待が膨らんでいたところに今回、ホンダが高らかに明言したのですから、大袈裟ではありません。ワクワクしてならない、喜ばしい仰天ニュースではありませんか。

ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 これまでにわかっていることは、ホンダが新規開発中の水冷75度Ⅴ型3気筒エンジンは、大型二輪車を想定したスリム&コンパクトを追求し、また二輪車として世界初の電動過給機を採用していること。

 エンジン回転数に関わらず任意に過給をコントロールすることで、低回転からハイ・レスポンスなトルクデザインを実現。加えてスペースが限られている二輪車において、自由度高く配置可能な特徴を活かしてマスを集中化し、インタークーラーを必要としない設計をおこなうことで軽量化にも貢献している。

ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 電動過給機付きV型3気筒エンジンは、内燃機関領域でのホンダの新たなチャレンジとして位置づけられ、量産化に向け、引き続き開発がおこなわれていきます。

 電動ターボ+V3エンジンが一体どんなライドフィールなのか、楽しみでなりません。

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダが開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジン。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

累計生産台数5億台達成へ!

 ここからはHonda 二輪事業説明会にて、発表されたことをピックアップしていきましょう。まずホンダの二輪車事業は、1949年に初の量産二輪車として生産を開始した「ドリームD型」を皮切りに「技術で多くの人々の生活をより便利にしたい」という想いから、多くの国や地域においてユーザーのニーズに合った製品を開発・提供してきました。

2025年に世界生産累計5億台達成を見込むホンダの二輪車事業。Honda 二輪事業説明会にて公表された資料

▲2025年に世界生産累計5億台達成を見込むホンダの二輪車事業。Honda 二輪事業説明会にて公表された資料より。

 ホンダは23の国と地域、37の生産拠点において、年間2000万台を超える生産能力を持ちます。そして、販売店は3万店以上にも達しました。

 創業以来の累計生産台数は、ついに5億台達成が視野に入り、2025年に達成する見込みです。販売好調で、2024年度の販売台数は世界シェア約4割となる2020万台の見通しです。

 インド、インドネシア、タイ、ベトナムなどアジアでの販売台数が全体の85%(1717万台)で、日本や欧州、米国は6%(120万台)をそれぞれ占めています。

 長期的には電動二輪車を含め、世界シェア5割を目指した取り組みを加速していくのです。

日産との統合で及ぼす影響は?

二輪・パワープロダクツ事業本部長 兼 二輪事業統括部長 加藤稔執行役(写真左)と、電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業統括部長 三原大樹執行役。Honda 二輪事業説明会にて。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲二輪・パワープロダクツ事業本部長 兼 二輪事業統括部長 加藤稔執行役(写真左)と、電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業統括部長 三原大樹執行役。Honda 二輪事業説明会にて。画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

 ホンダと日産が経営統合へ向けて、正式に協議に入ることを2024年12月23日に発表。テレビや新聞ですぐに報じられ、大きなニュースとなったのは記憶に新しいところです。

集英社「週刊プレイボーイ」no3(2025年1月6日発売)で記事にされたホンダ・日産の統合に関するニュース。青木タカオもバイクジャーナリストとコメントを寄せている。

▲集英社「週刊プレイボーイ」no3(2025年1月6日発売)で記事にされたホンダ・日産の統合に関するニュース。青木タカオもバイクジャーナリストとコメントを寄せている。ホンダ・日産の統合は、大手マスコミも注目している。

 大手一般大衆誌でも大々的に扱われ、ボクもバイクジャーナリストとしての見解を述べ、記事にしていただきました。そこでも触れているのが、日産との統合で及ぼすホンダ二輪事業への影響です。

 これについて、加藤稔執行役は「決まったことではないが(日産とはまだ協議中)、基本的に二輪事業に影響はないと我々は思っています。これまで同様に二輪・四輪事業でシナジー効果を発揮していきたいと考えています」と、話しました。

勢いあるホンダ二輪車事業

 二輪車において最大市場となるインドにて、ホンダはシェアNo.1に手が届くところまで着実に販売台数を伸ばしています。

ホンダはインドにてシェアNo.1に手が届くところまで着実に販売台数を伸ばしている。Honda 二輪事業説明会にて公表された資料より。

▲ホンダはインドにてシェアNo.1に手が届くところまで着実に販売台数を伸ばしている。Honda 二輪事業説明会にて公表された資料より。

 インド全土にて6000店舗という最大の販売ネットワークを構築しているのも強みとなっています。

 大型FUNモデルの需要が高い欧州では、主要5か国(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、英国)において、2024年でシェアNo.1を獲得。2018年度では大半がアジアに偏っていた二輪事業の収益は、2023年度には欧州を含めた先進国、南米など、グローバルでバランスよく収益を獲得できるようになっています。

 二輪車全体の市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含め6000万台規模に成長する見通しです。

 ホンダは2030年、グローバルでの電動二輪車の年間販売台数目標を400万台とし、2030年までに30機種の電動モデルをグローバル市場に投入すること進めています。

■Honda 二輪車の世界生産の歩み
1948年 本田技研工業株式会社 設立
1949年 本格的な二輪車の第一号モデル「ドリーム D型」を発売
1958年 スーパーカブの初代モデル「スーパーカブ C100」を発売
1963年 ベルギーで二輪車生産を開始(海外初の完成車工場)
1968年 世界生産累計1000万台を達成
1984年 世界生産累計5000万台を達成
1997年 世界生産累計1億台を達成(48年で達成)
2004年 初めて年間生産台数1000万台を突破
2008年 世界生産累計2億台を達成(1億台から11年で達成)
2014年 世界生産累計3億台を達成(2億台から6年で達成)
2018年 初めて年間生産台数2000万台を突破
2019年 世界生産累計4億台を達成(3億台から5年で達成)
2025年 世界生産累計5億台を達成見込み

 勢いのあるホンダ。ターボ付きV3エンジン搭載車を熊本で「もう乗った」という話が出てきたので、製品化は間近かもしれません。バイク業界がさらに活気づけば、こんなに嬉しいことはありません。

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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