カワサキは欧州で、4度にわたるティーザーを展開して世界中のライダーを惹きつけてきた新型「Z650RS」をついに正式発表した。既報通り並列2気筒ネイキッドのZ650をベースとしたネオレトロスポーツに仕上がっており、日本でベストセラーとなっているZ900RSとの兄弟タッグで鉄壁の布陣を敷く!
●文:ヤングマシン(ヨ)
レトロボリューションがキター!! よかった、間違ってなかったよ!
ヤングマシンでは2021年8月24日発売の10月号でスクープ記事を展開したのだが、まさかの発売日の夜に欧州ティーザー動画の第1弾が公開されて、正直言ってビビった! なぜなら、断片的な情報から推論で組み立てたスクープが、あまりにもクリティカルヒットしてしまったからだ。
ティーザー動画の第2弾ではグリーンの旧Z650(通称ザッパー)が登場し、カラーリングもビンゴであると確信。それからヤンマシスタッフは眠れない夜を過ごしつつ、2021年9月27日22時と予告されたローンチを待ち続けた。
そしてついに正式発表されたのが、この新型Z650RSというわけである。
スタイリングは、2018年の初登場から日本マーケットで3年連続ベストセラーに輝いたZ900RSと同じく、いかにも“Z”というたたずまい。Z900RSに対して、Z650RSは細身でコンパクトな並列2気筒エンジンを搭載していながらこの仕上がりっぷり、もう見事というほかない。
Z650から継承したスチール製トレリスフレームにZ-RSスタイリングを組み合わせ、フロントフォークは正立タイプ。そして伸びやかなシートカウルに合わせてシートレールの形状は変更されているようだ。こうなるとZ900RSのようにSEモデル、つまりオーリンズやブレンボで足まわりを強化したモデルが登場しないかと期待してしまったりもするが……。
エンジンはスペック68ps/8000rpmも含めてZ650と同じもののようで、欧州ではA2ライセンスに適合する35kwパワーダウンキットも正規ディーラーで入手可能だという。インジェクションはφ36mmのスロットルボディと組み合わされ、スムーズなパワー特性をつくり出すデュアルスロットルバルブを備える。欧州仕様同士の比較では、出力や各ギヤのレシオ、プライマリ/ファイナルレシオ、WMTCモード燃費、CO2排出量といったスペック数値は全てZ650と同一だ。
ちなみにWMTCモード燃費は4.5L/100km=22.22km/Lであり、これに燃料タンク容量12Lを掛け合わせると計算上の航続距離は266.6kmになる。ヤングユーザー向けの“ザッパー”コンセプトからすれば十分だろう。
欧州仕様のシート高は820mmだが、800mmのローシートがオプション設定されることから、日本仕様ではこちらが標準になる可能性も高そうだ。サスペンションはφ41mm正立フロントフォークにホリゾンタルバックリンク式のモノショックを組み合わせ、フロントブレーキはφ300mmのディスクをダブルで装着。リヤはφ220mmディスクで、ボッシュ製ABSによって高度に支援される。
旧Z650をオマージュしたダックテールのカウルと忠実に細工されたサイドパネルも1976年のマシンをリスペクトしたもの。丸型のヘッドライトは当然LEDで、デュアルの砲弾型メーターの中央には現代のモデルらしくデジタルパネルも埋め込まれている。
そしてグッと目を引くのは、スポークまでゴールドのホイール(車体色グリーンのみ)だろう。スイングアームなどはZ650やニンジャ650と同系に見える。マフラーはショートタイプだが、コンパクトな2気筒エンジンとともに違和感なく収まっていると思えるがどうだろうか?
車体色は旧Z650オマージュのグリーンのほか、オレンジの差し色が利いたグレー、青い差し色をわずかに入れたシンプルなブラックという3本立てだ。
当然ながら日本への導入もありそうだが、これについては続報が入り次第お伝えする。
価格については、英国で7599ポンド(単色ブラック)/7699ポンド(グリーンおよびツートーン)となっており、日本円換算では約114万8000円/117万1000円。ちなみにZ900RSは1万649ポンド(約162万円)/1万949ポンド(約166万5000円)なので、双方のメインカラーの価格比を算出して日本仕様Z900RSの138万6000円(キャンディトーンブルー)に掛け合わせたところ、日本にZ650RSが導入された場合の予想価格は約97万5000円となった。近日中に答え合わせができることを期待してますよ、カワサキさん!
KAWASAKI Z650RS[2022 EU model]
KAWASAKI Z650RS[2022 EU model]
主要諸元■全長2065 全幅800 全高1115 軸距1405 シート高820(各mm) 車重187kg(装備)■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 649cc 68ps/8000pmm 6.5kg-m/6700rpm 変速機6段 燃料タンク容量12L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●参考価格:7549英ポンド~(日本円換算約114万8000円) ※諸元や価格は全て欧州仕様
KAWASAKI Z650RS[2022 EU model]Candy Emerald Green
KAWASAKI Z650RS[2022 EU model]Metallic Moondust Gray / Ebony
KAWASAKI Z650RS[2022 EU model]Metallic Spark Black
現行Z650のストリップ。テールの跳ね上がったデザインに合わせてシートレールが跳ね上がっているのが特徴的だ。ホイールは5本スポークのキャスト。
こちらは新型Z650RSのストリップ。シートレールの傾斜が穏やかになっているのとハンドル位置がいわゆる“殿様乗り”のアップライトなものになっているのがわかりやすい。フレームのステアリングヘッド付近もやや異なって見えるが……。
φ130mm丸型LEDのヘッドライトは、周囲のリングの存在感によりZ900RSよりも若々しいデザイン。レトロスタイルをヤングユーザーに届けたいという思いもリリースには綴られており、それを象徴しているように思える。
2眼の砲弾型メーターはベゼル部分にメッキを施す。センターには反転表示タイプのデジタルディスプレイが配置され、燃料残量計やギヤポジションインジケーター、水温計、時計、距離&積算計×2などを表示する。
旧Z650をリスペクトしたカラーリングの燃料タンク。サイドパネルにはアルミ製のプレートが当てられ、Z900RSよりもスポーティなたたずまいだ。
斜体のかかったタンクエンブレムはオプション。こちらのほうが“ザッパー”っぽい?
シート高820mmの欧州仕様標準シート。キーを使って簡単に取り外せるという。
こちらはオプション設定の800mmローシートだが、日本仕様ではこちらが標準装備になる可能性が高そうだ。
メインキーで開閉できるヘルメットホルダーも標準装備。
フロントは正立フォークにφ300mmダブルディスク+片押し2ポットキャリパーを組み合わせる。Z900RSと同系デザインのフラットスポークを採用し、クラシカルなワイヤースポークの雰囲気を再現した。ディスク形状はZ650のペータルタイプから円形に。
スチール製スイングアームはZ650譲り。ブレーキディスクはφ220mmで、ABSはボッシュ製9.1Mを採用する。バネ下重量は軽く、ハンドリングも軽快だ。タイヤはダンロップ製スポーツマックスロードスポーツ2だ。
カワサキらしいタンクデザイン。軽量・コンパクトな2気筒エンジンゆえに、シリンダーヘッドのハミ出しはないが、これも現代のZらしさ。ハンドルバーやレバー、ミラーまわりはクラシカルさを併せ持ったシンプルなものだ。
これぞZ-RSといえるラウンド形状のテールランプとダックテール。ウインカーも含めLEDだ。2021年10月より施行されるナンバープレート取り付けの新法規との兼ね合いはあるだろうが、フェンダーレスキットは流行しそうだ。
外観上はZ650そのもののエンジンでございます。2気筒だとこのスタイリングに合わないのではないかという意見もSNSを中心に多く見られたが、けっこううまいこと収まっているんじゃないだろうか。
シフトロッドの取りまわしなどからも、やはり現代のエンジンであることを再認識させられる。派手さはないが、3000~6000rpmのトルクが素晴らしく、乗ってみると名作エンジンなんですよ実は。早く試乗記をお届けしたいぞ!
メインキーはこんな感じ。シンプルながらインターナルカットタイプとし、信頼性を増している。
ショートマフラーはZ650と同様に見えるが、カバー形状などは異なるかも。このあたりは追って詳細に比較していきたい。
※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
WEB YOUNG MACHINE - NAIGAI PUBLISHING, Co., Ltd. All rights reserved.