ハンターカブはいかにして復活したのか
先に紹介したクロスカブ110に続いて今回はCT125ハンターカブ。もはや説明不要の人気モデルで、2020年に正式発表されると予約だけで年間販売計画数8000台を突破。納車までに1年かかるとまで言われた、昨今のバイクブームの立役者となったモデルだ。
このブームは2021年も継続しており、二輪車新聞によると上半期の推定販売台数は4700台に上り、人気は衰え知らず。ちなみに、クロスカブ110も4400台と肉薄しており、アウトドア系カブの人気の高さが伺える。尚、このクロスカブ110の人気については前回の記事を参考にして欲しい。
CT125ハンターカブは、クロスカブが切り拓いたアウトドア系カブの決定打として登場した訳だが、きっかけはやはりモチーフになったCT110となる。日本での販売が終了した後も、逆輸入された車両が売れ行き好調なことにホンダが目を付けたのが始まりだ。
最初は2013年のクロスカブ(110cc)で様子を見て、これがヒットしたことから2018年のクロスカブ110、2020年のCT125ハンターカブへと発展。CT125は、CT110譲りのアップマフラーとハイマウント吸気ダクト、アンダーガードというハンターカブならではの装備を盛り込んでいることが往年のファンに刺さり、大ヒットを記録したのだ。
さすが125! 街中でも充分速いが、副変速機はない
冒険もできてしまう本格装備のCT125ハンターカブだが、基本はカブのパッケージを踏襲しているので、街乗りでの使い勝手にも対応するのがいいところ。中でもカブシリーズ最大排気量となる125ccエンジンは、クロスカブ110に比べて大きなメリットに感じられる。
ただし、フィーリングは同じエンジンを使う初代スーパーカブC125とは異なり、カブらしさが残されている気がした。CT125ハンターカブのエンジンは、低中速寄りの出力特性になっている上にファイナルもショートになっているので、速すぎないところがそう感じさせるのだろう。
街乗りでは、110で足りなかったもうひと伸びがあり加速力も良好。それでいてスーパーカブC125ほどの別物とも感じさせるスポーティさを見せつけないちょうどいい塩梅で、カブに乗っているフィーリングがちゃんとある。いい意味でクロスカブ110と大差ないフィーリングで、性能アップが図られているだ。
余談になるが、CT125には海外版のCT110に搭載されていた副変速機がない。4速のギアをそのままにローレンジとハイレンジに切り替えられるもので、オフロード性能を強化するために装備されていた。
アップマフラー、ハイマウント吸気ダクト、アンダーガードといったハンターカブの神器の一つにも数えられる副変速機だが、「ついていることは重要だけどまず使うことはない」とオーナーから聞いたこともあり、付加価値を高めてくれるが実際は飾りのような装備とも言える。ホンダの開発者は現実に沿って不採用にしたのだろう。
ハンターカブのシャーシは圧倒的に高性能
CT125ハンターカブは、ほどよく高性能なエンジンに加えて現代的なシャーシを持っている。前後ディスクブレーキの性能は、オリジナルカブシリーズが採用するドラムに比べるとレベルが段違い。絶対的な制動力という意味では少し差がある程度だが、タッチや初期制動、リニアさでは大きな差になる。
加えて、CT125は国内で発売されているカブシリーズの中で新型C125と並んでABSを採用しているモデル。フロントのみの1チャンネルABSだが、いざという時に頼りになるのは言うまでもなく、リアはスライドさせることができるのでオフロードでも邪魔にならない装備だ。
サスペンションは、オフロード走行にも対応するストローク量が確保された仕様で、オンロードではブレーキングでピッチングさせてコーナリングするといったスポーツバイク的な走りができる。もちろんリニアなタッチのディスクブレーキでコントロールできるというのも重要な要素だ。
このようにオンでもオフでも走りが楽しめる上に、燃料タンクはカブシリーズ最大の5.3Lを誇るので、ツーリングするなら断然CT125ハンターカブがいいだろう。カブ本来のビジネスユースを超越し、全方位でファン性能が高められた新世代カブだ。
2020年型CT125ハンターカブ主要諸元
・全長×全幅×全高:1960×805×1085mm
・ホイールベース:1255mm
・シート高:800mm
・車重:120kg
・エジンン:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ 124cc
・最高出力:8.8PS/7000rpm
・最大トルク:1.1kg-m/4500rpm
・燃料タンク容量:5.3L
・変速機:4段リターン式(停止時はロータリー式)
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=80/90-17、R=80/90-17
・価格:44万円