2020年のベストセラーモデルを解説する当コーナー。今回は、251~400ccクラスで販売1位に輝いたカワサキ「Ninja400」の魅力とヒストリーを解説していく。
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カワサキが3年連続で2部門を制覇
独自集計によって前年のバイク販売台数を調査している「二輪車新聞」によると、2020年の251~400ccクラスではNinja400が2630台で1位に輝いている(兄弟車のZ400を含む)。2位はすでに販売終了がウワサになっていたSR400で2450台、3位は2231台のCB400SF/SBだった。
Ninja400は2018年型でフルモデルチェンジを受けて以来、3年連続でベストセラーを記録。前年から1000台ほど台数はダウンしたものの、第1回で紹介したZ900RSと同様、一度も首位の座を明け渡していない。
購入層は主に10~20代、女性の支持も厚い
ユーザーは若年層がメインのようだ。
先日取材でお世話になったレッドバロン千葉東の鎗田(やりた)店長に伺ってみると、「購入層は若い方、10~20代が多いです」とのこと。また、「女性ライダーが目立つ」のが特徴だ。後述するが、先代の'17モデル以前は重く車体が大きかったが、現行型は軽量コンパクトになり、女性のユーザーが増えたという。
リターンライダーもいるが、免許取り立ての新規ユーザーが多いのも特徴。同社の「免許応援キャンペーン」を利用する人もかなりいらっしゃるとのことだ。
用途としては、サーキット走行ではなく、ワインディングなど公道での走りを楽しみたい人が購入している。
250の軽さに400のハイパワーを融合
人気の理由は、第一にパフォーマンスだと思われる。
初代のNinja400Rは2010年にデビュー。ベース車は並列2気筒のNinja650Rで、400ccへスケールダウンしており、共通の大柄な車体が魅力だった。'14年の全面刷新を経て、'18年に現行型へフルチェンジしている。
この3世代目で、'18年型Ninja250と共通のダイヤモンド式トレリスフレームに、専用の399cc並列2気筒を搭載。先代までが大型からミドルクラスへ排気量ダウンしたのに対し、現行型は250を400にスケールアップしているのだ。
そのおかげで167kgという圧倒的な軽さを達成。車重は前作に比べ、なんと44kg減を果たした(先代ABS比)。しかもエンジンは48psとパワフルで、ライバルのCBR400Rを車重、馬力&トルクとも凌駕している。
Ninja400
最高出力:48ps/10000rpm
最大トルク:3.9kg-m/8000rpm
車重:167kg
CBR400R
最高出力:46ps/10000rpm
最大トルク:3.8kg-m/8000rpm
車重:192kg
また、4気筒のCB400SF/SBは、56ps&4.0kg-mとNinjaを上回るが、車重はSF=201kg、SB=206kgとヘビーだ。
400クラスは一昔前よりラインアップ数が減り、元気がなかったが、Ninja400は久々に登場したエポックメイキングなマシンなのだ。ちなみに、'21モデル比で価格はCBR400Rの税込80万8500円に対し、約8万円安いのもポイント。CB400SB比では約30万円も安価だ。
この軽さの理由は、スイングアームピボットを廃し、プレートで剛性を最適化した鋼管トレリスフレームにある。これは旗艦であるNinja H2譲りの構造で、徹底的に軽量化を追求している。
もちろんスタイルも人気の一因。Ninjaらしい切れ上がったLED2眼ヘッドライトに逆スラントノーズのフロントマスクが実にスポーティでカッコイイ。
ミドル版スーパースポーツの爽快な走り
走りはスーパースポーツの感覚だ。エンジンは鼓動を伴いつつ軽やかに回転が上昇し、回転域を問わずパワフル。一方でコーナーでは250の感覚でスパッと曲がれる。まさに軽量ハイパワーだ。
タイヤはラジアルを履き、安定感と乗り心地を確保。'80年代の400レプリカに近いスポーティさながら、日常でもツーリングでも使えるのが新しい。
<ヒストリー&カラバリ>全13カラーを全て掲載!
ここからはNinja250と車体を共有した現行モデルから現在までのカラーバリエーションと変更点について解説したい。なお、初代から主要諸元に変更はない。
2018年型Ninja400
'17年10月25日に開幕した東京モーターショーで、フルチェンジしたNinja250と同時に初披露。ライバルを圧倒する軽量+ハイパワーが話題を呼び、久々に400クラスのホープとして話題を呼んだ。初代モデルは黒、橙×グレーのほか、スーパーバイク世界選手権(SBK)で常勝のワークスチーム=KRT(カワサキレーシングチーム)をイメージした「KRTエディション」が設定された。価格は黒のみ1万円安い。
なお外観は250とほぼ共通だが、車体色は差別化が図られている。
主要諸元■全長1990 全幅710 全高1120 シート高785 軸距1370(各mm) 車重167kg(装備)■水冷4スト並列2気筒398cc 最高出力48ps/10000rpm 最大トルク3.9kg-m/8000rpm 燃料タンク容量14L■タイヤF=110/70R17 R=150/60R17
2019年型Ninja400
デビュー2年目は、橙×灰、黒に代わり、ライムの挿し色が入った黒×灰、赤×灰が登場。立体感のあるNinjaロゴが特徴で、価格は2万5000円アップした。KRTエディションは前年から継続販売。
また、ネイキッド仕様のZ400がデビュー。専用ビキニカウルやシュラウド、フラット気味のバーハンドルを備えたストリートファイターで、車重はNinja400より1kg軽い。
2020年型Ninja400
車体色を総入れ替え。KRTエディションは、NinJa ZX-10R風のヘキサゴン(六角)形状グラフィックなどSBKマシンの最新レプリカカラーを施した。STDは、金色のラインやリムストライプをあしらった黒×灰、赤ラインが映える白×黒を設定。ともにグラフィックも前年と異なる。
この年式から全カラーが同一価格となった。
2021年型Ninja400
この年式も全色がニューカラーに。KRTエディションは最新カラーとなり、黒と青緑が登場。特に青緑は、Z125PROやW800の一部、海外仕様のNinja650などに採用された斬新なカラーだ。
なおNinjaロゴは3カラーともデザインが異なる凝りよう。また、タンクにKawasakiロゴが入るようになった。単色ブラックは、'18年型と似ているが、ロゴの配置が異なる。
2022年型Ninja400
黒と青緑に代わって、新色のダークグレーとツヤ消し紺×グレーを設定。特にツヤ消し紺は新鮮な印象で、ライムの挿し色や白いラインがスポーティだ。KRTエディションは継続色。
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