10年ぶりに登場したビッグスクーターはスポーツ路線に変化していた

2000年代前半に一世を風靡したヤマハの250ccビッグスクーターは、2007年型のマジェスティを最後に新作が途絶えた時期があった。その間に軽二輪(126~250cc)で定着したのがPCX150やマジェスティSなど150cc前後の排気量帯。「もうビグスクは過去のもの」という状況になりかけた2018年に、待ったをかけたのがXMAXだ。

XMAXは、国内で250ccのマジェスティが主流だった頃から欧州で販売されていたX-MAX250がルーツ。日本国内ではマジェスティが絶大な支持を受けていたので、欧州生産のX-MAX250を輸入する必要はなかったが、2005年をピークにビッグスクーターの国内販売が低迷してから流れが一変。

150ccなどコンパクトなモデルから製品のグローバル化が進んだ2018年、ヤマハにとって約10年ぶりのブランニュー250スクーター、XMAXが国内で発売。久しぶりに日本市場に新規のビッグスクーターが投入されることになったのだ。さらに好調なセールスも記録した。

これを受けてホンダも同年7月にグローバル化していた新型フォルツァ(250cc)を国内に投入し、ブームとは言えないまでも、確実に市場に定着した存在となっている。共通しているのは、欧州スタイルで300~350ccをベースに250cc化していること。ビグスクの定番だったロー&ロングスタイルは過去のものになっている。

ヤマハXMAX。試乗したのは2021年7月末に排ガス規制に対応して発売された現行型。スペックは23PSのまま不変。ABSだけでなく、いち早くスクーターにトラクションコントロールを導入したモデルだ。

身長170cmのライディングポジション。マジェスティなどロー&ロングのビッグスクーターとは異なり、上半身が直立した機動的なポジションになっている。サイズ的には400ccクラスほどありそうな印象だ。

体重65kgの足着き性はつま先立ちに。795mmのシート高は欧州の300cc版と同じスペックで日本人向けのローダウンは一切なし。不安感はなかったが一度試してみることをおすすめしたい。

走りはさすが250! 街を抜けてツーリングに行きたくなる

いざ走り出してみると、「さすが250!」という余裕があるもので、これまで試乗してきた125ccや150〜160ccクラスとレベルの違いを感じる。また、同じヤマハの250スクーターで比較できるのは過去試乗した2007年型のマジェスティだが、非常にまったりしていたのとは対照的だ。

というのもマジェスティの最高出力19ps/6500rpmに対してXMAXは23ps/7000rpmを発揮しており、その差は4ps。車重はマジェの188㎏に対して179㎏と9㎏の軽量化も効いているだろう。XMAXのエミッションは当時よりも強化されているにも関わらず、走りは間違いなくスポーティになっているのだ。

街中では最速と思える動力性能で、加速すると後続車はついて来られずぐんぐん突き放されていく。高速道路では120km/h区間も十分巡行できるだけの性能があることが確認できた。250ccのいいところは、平日の通勤用途だけでなく休日のツーリングにも使えるだけの余力があるところとも言えるだろう。

ちなみに、以前テストした同じ250ccの現行フォルツァについても、キャラクターの違いはあれど同じインプレッションとしており、ビッグスクーターとしての価値は両車共通しているのだ。

国内は249cc/23PSで欧州の292cc/28PSをスケールダウンしている。アルミ製鍛造ピストン、オフセットシリンダー、一体式鍛造クランクシャフトなどを採用したブルーコアエンジンを採用している。

XMAXはフォルツァよりスポーティ! コンセプトはTMAXと一致!?

現在国内に存在する250ccの日本メーカーのビッグスクーターは、XMAXとフォルツァの2車種だが、XMAXはスポーツ性、フォルツァは快適性をそれぞれ追求している。スクーターという枠組みの中での違いなので微妙な差ではあるが、購入の際は好みが分かれる部分だろう。

具体的な違いとしては、XMAXはハンドルマウントのバックミラーですり抜けが断然しやすい。また、トップブリッジまでマウントされているフロントフォークで、より次元の高いブレーキングとコーナリングが可能。実際に試乗した際にも一般のスポーツバイクに近い手応えを感じた。

また、125ccや150~160ccクラスに比べると、同じ速度で走っていても安心感があるのが嬉しい。上位クラスの車格があるので当然だが、XMAXの場合は300cc基準で設計されているので、かつての250cc専用設計のビッグスクーターよりも余裕があるのだ。

ヤマハには頂点にTMAXという絶大な存在があり、これを125ccクラスまで「MAX」というキーワードで行き渡らせており、XMAXは「1/2スケールTMAX」という印象だ。TMAXはリアにこだわりのベルトドライブを採用するが、XMAXはそれがない分、シート下の容量に優れるなど使い勝手のバランスがいい。「TMAXまではちょっと…」という層にもXMAXはリーチしそうだ。

フロントホイールは大径15インチを採用し、マジェスティ最終型の13インチから拡大。その分走りは安定している。ブレーキはABSを標準装備している。

リアは14インチでフロントより1インチ小径化することでシート下容量を確保。足まわりは2本サス+ディスクブレーキでトラクションコントロールも備えている。

リアサスペンションはクリック式でプリロード調整が可能。車載工具のフックレンチで調整できるので、2人乗りなどにもすぐに対応できる。

ミラーはハンドルマウントで視野も標準的。スクリーン下の突起部分がグリップ部分の風よけになっている。右ハンドルのスイッチでメーター表示を切り替える点が、かなり使いやすかった。

大型のスクリーンは、2段階の調整が可能。工具で分解する必要があるので一度位置決めをしたら固定する形だ。ライトは左右常時点灯で、中央がハイビームとなる。

テールランプはLEDでライン発光式も併用、ウインカーはバルブ式となる。

スポーティな走りを見せるXMAXだが、45Lのシート下容量で利便性を確保しているのも魅力。ヘルメット2個を収容可能。写真のようにB4サイズのビジネスバッグもすっぽり入る。LED照明付きだ。

ハンドル下部には左右に小物収納を用意。左側はDCソケット付きで、キーロックもできる。

スマートキーを採用。

給油口は車体中央部に設置。タンク容量は13Lを確保している。

メーターはアナログ2眼+液晶と豪華な装備。トラクションコントロールの設定やVベルト、オイル交換のインターバルも表示できる。

2020年型ヤマハXMAX主要諸元

・全長×全幅×全高:2185×775×1415mm
・ホイールベース:1540mm
・シート高:795mm
・車重:179kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 249cc
・最高出力:23PS/7000rpm
・最大トルク:2.4kgf-m/5500rpm
・燃料タンク容量:13L
・変速機:Vベルト式無段変速/オートマチック
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-15、R=140/70-14
・価格:65万4500円

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