新しいロングストロークエンジンは街乗りもツーリングも◎

2021年9月に発売された新型モンキー125は、スタイルをそのままに新しいエンジンが搭載された。従来型のモンキー125は、2018年にかつての50ccから倍以上の排気量を獲得して大きくサイズアップしたモデル。グロムのエンジンと車体をベースにモンキーらしいスタイルを生み出した訳だが、今度はエンジンがアップデートされた。

新作エンジンは、2021年3月に発売された新型グロム譲りで、空冷単気筒型式を踏襲しつつ新設計されたオールニューユニットを獲得。また、ボア×ストロークが52.4×57.9mm→50.0×63.1mmへとロングストローク化され、圧縮比がアップ。令和2年排ガス規制に対応しつつ従来型の最高出力、最大トルクを維持している。

他にも新型モンキー125は新たに5速ミッションを獲得。変速比は新型グロムと同じで、1~4速は従来型よりもショートレシオになり、5速は従来の4速よりもロングレシオのオーバードライブ的な位置づけに。街中ではキビキビ走れて、ツーリングでは燃費の向上が期待できる設定になっている。

エンジン以外の変更は、タンクグラフィックが新しいデザインになりカラーバリエーションが赤、青、黒の3色に。また、ABSが標準装備になり、純正オプションにグリップヒーターが設定された。価格は従来型から据え置きの44万円としている。

ホンダの新型モンキー125。50cc時代からの台形シルエットを守り抜き、125ccでも定員は一名となっている。7月に発売する新型ダックス125は兄弟車でエンジンのベースは同じ。ただしダックスは二人乗り+クラッチレスと差別化を図る。

身長170cmのライディングポジション。従来型と全長×全幅×全高は変化がなくポジションも同じ印象。大人が乗っても50ccモンキーのような窮屈さはない。

体重65kgの足着き性は両かかとまでべったり接地。シート高は775→776mmとわずかに1mm高くなっているが体感することはできない。シートは超フカフカだ。

乗ってみると、新エンジンの方が楽しい&気持ちいい!

従来型グロムやモンキー125は、タイの実用車であるウェーブ125のエンジンを流用したファンモデルで、ロングレシオの変速比もそのまま受け継いでいた。そのため加速感がまったりしており、モンキー125には向いていたが、グロムではスポーティな外観とのミスマッチを起こしていた。

これが、新しい5速ミッションを獲得したことにより、ファンモデルらしい気持ちいい加速感を獲得。これは新型モンキー125においてもプラスに働いており、かわいい外観からはイメージできない程の俊敏性やスポーツ性を引き出している。

ただ、グロムとモンキーのエンジンはセッティングが異なっており、新型グロムの10PS/7250rpmから新型モンキー125は9.4PS/6750rpmに出力が抑えられている。実際、新型モンキー125は、グロムに比べると高回転域の伸びやパワーが感じられず、低中速の力強さが強調されているようなフィーリングだった。

これが、トコトコ走りが似合うモンキーのコンセプトに合っており、5速の30~40km/hで鼓動感を感じながら加減速するシチュエーションが特に気持ちよかった。さながらミニSR400といった雰囲気で、ソフトな乗り心地や快適なライディングポジションも相まって、新型モンキー125はツーリング適性もより向上しているのだ。

新型モンキー125の空冷単気筒OHC2バルブエンジン。前方にシリンダーヘッドが突き出た通称「横型」レイアウトが踏襲されているので、新型になっても全く違和感がない。

ミッションは5速リターンで、通常のミッションモデルと操作は同じ。同系エンジンでもスーパーカブC125やダックス125は4速ロータリーでかかとでも踏めるシーソー式ペダルを採用している。

マフラーはアップタイプを継続する。ヒートガードがついているので「アチッ」という心配も不要だ。

フロントはディスクブレーキにABSを装備。タイヤは旧モンキーのイメージを受け継ぐファットタイヤでタイのビーラバー(Vee Rubber)製を装着する。

リアもディスクブレーキを装備するがABSはなし。サスペンションは昔ながらの2本ショックでスプリングのカラーをボディ色に合わせている。

タックロールのシートはフチにパイピングを施す。座り心地はソファのようで、柔らかいリアサスペンションも加わり乗り心地はソフトだ。

タンク容量は5.6L。WMTCモードの燃費は67.1→70.0km/hに向上しており、容量は変わらずとも航続距離は約16km伸びる計算になる。

ヘッドライトはLEDの丸目スタイルでモンキーらしさを継承。ウインカーもLEDを採用している。

テールランプ&ウインカーも丸型でLEDを採用。前後フェンダーはスチール製で質感も高い。

大きくアップされたパイプハンドルでポジションは快適そのもの。キーはウェーブタイプを採用している。

メーターはシンプルな丸型で、ツイントリップメーターと燃料計も表示する。ただし時計は装備されていない。

新型モンキー125でSSTRに参戦! 実はロングツーリングも余裕

そして、新しいエンジンで走りの幅が広がった新型モンキー125で、5月21日にSSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)に参戦してみることにした。モンキー125でツーリングというと「積載性がない」、「タンク容量が少ない(5.6L)」といった装備で厳しいのでは? と思われるだろうが、結論から言うと全く問題なかった。

SSTRは、日本列島の東海岸を日の出とともにスタートし、チェックポイントを経て日没までに石川県の千里浜なぎさドライブウェイでゴールするというイベント。私たちが設定した東京お台場のスタート地点から片道500km以上のロングツーリングになるが、満タンスタートで千里浜まで途中1回の給油でたどり着いてしまった。

また、リュックを背負って行くしかないと思われた積載性も、タンクバッグ&リアキャリアで立派なツアラーに変貌を遂げたのだ。今回チョイスしたのは、GIVI製タンクバッグEA106Bとデイトナ製クラシックキャリア。おかげで体への負担は軽減し、下道往復1000kmの行程を無事に走り切ることができた。

SSTRでは数多くのモンキー125に遭遇し、ツーリングで使用するライダーが多いことを実感。快適なライディングポジションとフカフカなシートのソフトな乗り心地は、ツーリングでも大きな効果を発揮するのでロングランもおススメしたい。ワインディングではもう少し旋回中の安定感が欲しいが、軽快なハンドリングで、意外な速さを見せてくれた。

今回SSTRには新型モンキー125とGSX-R125の原付二種で参戦(右が筆者)。往復1128km走行し、給油量は18.4L。実燃費は61.3km/Lを記録しているので、航続距離は343kmになる。給油ランプが250km程で点灯するので、その都度給油した。

キャリアを装着すると通勤などでも便利。デイトナ製クラシックキャリア(1万6280円)は積載量3kgでボックス装着は難しいが、1泊程度の荷物は余裕で積める。

GIVIのタンクバッグEA106B(8360円)は財布など小物類の収納に重宝した。大型スクリーンは汎用品をミラーマウントしたものだが、これも疲労軽減に大きな効果を発揮してくれた。

2021年型モンキー125主要諸元

・全長×全幅×全高:1710×755×1030mm
・ホイールベース:1145mm
・シート高:776mm
・車重:104kg
・エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 123cc
・最高出力:9.4PS/6750rpm
・最大トルク:1.1kgf-m/5500rpm
・燃料タンク容量:5.6L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/80-12、R=130/80-12
・価格:44万円

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