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CBR250RからCB250Fを経てCB250Rに行きつくまで
2018年にデビューしたCB250Rは、CB1000R、CB650R、CB125Rとともに「ネオスポーツカフェコンセプト」をベースに製品化された一台。このコンセプトモデルは、2017年10月の東京モーターショーで世界初公開され、翌11月のミラノショーで市販予定車のCB-Rシリーズとして正式発表された。
この流れから分かるように、CB250Rはカフェレーサーとして位置づけられたスポーツネイキッドモデル。ただし、カフェと名のつくモデルに見られる懐古調のスタイルとはせず、現代的なデザインでリリースされた。ちなみにCB-Rシリーズは、タンクカバーやシュラウドなどの形状はそれぞれのクラスで独自形状にしているので、見分けはつけやすいはずだ。
エンジンは、2011年に発売されたCBR250Rの水冷単気筒DOHC4バルブがルーツ。レブル250やCRF250Lなど様々なジャンルでフル活用されており、今では「名機」と言っていい汎用エンジンだ。当初は並列2気筒のニンジャ250Rに対抗するために開発されたもので、現行のCB250Rでも27PSを絞り出している。
実はこのCB250Rの前にCB250Fが発売されていたことはあまり語られていない。フルカウルのCBR250Rをネイキッド化した手軽なスポーツバイクとして2014年に追加ラインナップされたが、3年の販売期間で終了してCB250Rにバトンタッチした。CB250Fは、CB250Rと全く異なるストリートファイタースタイルで、あまり人気は出なかったと記憶している。
ホンダが「ネオスポーツカフェコンセプト」を提唱し、ネイキッドのデザインに新風を吹き込んだのは、日本人の好みとなる丸目のヘッドライトを採用することで国内の需要を喚起したかったからだろう。それでいて、グローバルでも流行しているカフェレーサースタイルを採り入れているのだ。
CB250Rの走りはカフェというよりストリートファイター
CB250Rの前身はストリートファイターのCB250Fで、その心臓部にはスーパースポーツ・CBR250R譲りの水冷単気筒が搭載されていた。欧州で人気のあるストリートファイターは、本気のスーパースポーツからカウルを取り払ったモデルのことを指し、同じネイキッドでも日本人が好む丸目のヘッドライトを残すモデルとは位置づけが異なっている。
一方、CB250Rは丸目ではあるがそれだけでなくお洒落で洗練された印象もあり、ファッション性を重視するライダーにも受け入れられる素地がある。さらに、走りはストリートファイターの血統もあることから高回転まで回すと過激なキャラクターも共存。7000rpm以上の領域はビッグバイク経験者でも「速い」と感じるはずだ。
もちろん、回さなければ250ccシングルらしく初心者でも扱いやすい特性を発揮。3000rpmあたりでは、ドコドコとした排気音や鼓動感が感じられ、4~5000rpmではノンビリ流している時が気持ちいいキャラクターになっている。このあたりは、レブル250と同じパワーユニットであることも関係しているだろう。
以前、DOHC化されたCB125Rを試乗した時は、超高回転まで回るエンジンに「十分メインのバイクになりそう」とも思えたが、やはりCB250Rのパワーは低回転から高回転まで段違い。メインのバイクとして選ぶなら250をおススメしたい。
CB250Rは軽さが際立つハンドリングマシン
CB250Rはエンジンよりもシャーシの方が語るべきポイントが多い。特に144kgの車重はヤマハMT-25の167kgやカワサキZ250の164kgより20kg以上も軽量。これは、エンジンが単気筒か並列2気筒かの違いもあるが、独自のフレーム構造によるパイプと鋼鈑の薄肉化によるメインフレーム軽量化の恩恵が大きいだろう。
さらに、メインフレームのねじれ剛性が落とされたことで、安定感のあるハンドリングに結びついており、乗っていても軽くて扱いやすい上、コーナリングもより自在にできる感覚が新鮮。一方でブレーキングに影響する縦剛性は確保されており、倒立フォークやラジアルマウントキャリパーの性能もしっかりと発揮させることができる。
さらに、前傾したライディングポジションと相まって、街中では水を得た魚のように自由自在に駆け回ることができる。また、最初は違和感があった幅の広いハンドルは操作がしやすく、ハンドリング性能に優れた車体とのマッチングは抜群。250の必要十分なパワーと、CB650RやCB1000Rよりも軽量な車体などの全てがバランスしており、文字通りバイクが手足になっているような感覚だ。
これほど操りやすいバイクは他に思い浮かばないというのが正直なところ。それでいて、8年前のCB250F ABSからわずか3万6000円(税抜)しか高くなっていないというのも驚き。前後ラジアルタイヤやSFF-BPのフロント倒立フォークなどの装備を考えるとコストパフォーマンスは向上しており、ホンダの底力が結集した超お買い得マシンと言える仕上がりだ。
2023年型ホンダ CB250R主要諸元
・全長×全幅×全高:2020×805×1045mm
・ホイールベース:1355mm
・車重144kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC249cc
・最高出力:27PS/9500rpm
・最大トルク:2.3㎏f・m/7750rpm
・燃料タンク容量:10L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70R17、R=150/60R17
・価格:56万4300円(消費税込み)