数々のバイクが展示されたジャパンモビリティショー2025。筆者が気になったバイクや世界初公開モデルを中心に見どころをプレイバックしてみた。スズキは電動ファンバイクのe-バンバンや市販予定車のGSX-8T/TT、カワサキは新型になったZ900RSに注目! さらに他のブースも覗いてみた!
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【スズキ編】鈴木俊宏社長がバイクもしっかり紹介、さらにキャラ化まで!
スズキブースのテーマは2025年からのコーポレートスローガンである「By Your Side」と「あなたに、ワクワクの、アンサーを。」。
電動FUNバイクの「e-VanVan(バンバン)」や電動小型モビリティ「MOQBA(モクバ)2」を世界初公開したほか、「GSX-8T/GSX-8TT」「e-Address」が日本初披露された。

↑プレスカンファレンスに鈴木俊宏社長が登壇。

↑GSX-8T/TTも社長自ら紹介!

↑スズキブースで配付されていたステッカー。社長がキャラ化されている! こんなメーカー他にないのでは? 名物社長だった鈴木修氏に続いて、トップを前に押し出していくスタイル、嫌いじゃない笑。
まず注目はe-バンバン。1970年代にヒットしたバンバンをオマージュした電動バイクの試作車だ。モーターやバッテリーは既に海外で展開されているe-アドレスがベースとなっている。

↑e-バンバン(参考出品車)。シート手前のカバーは、元祖のアンダーボーンフレームを意識している。バッテリーは通常のエンジンの位置で、その後部にモーターを搭載。

↑全体のフォルムのほか、昔のエキパイカバーをイメージしたバッテリーカバーを採用。

↑元祖のバルーンタイヤは絶版なので、12インチに黒いディッシュホイールでタイヤを太く見せている。駆動方式はEVやこのサイズでは珍しいベルトドライブだ。
このように様々な工夫で元祖のイメージを再現している。市販化に関しては予定されておらず、今回のモデルは実走できないとのこと。しかし、既に発売されているe-アドレスがベースであり、フロントABSの配線など各部のパーツもかなり現実的だ。
なおe-アドレスのシステムでモーターサイクルを作った場合、実際これぐらいのサイズになるとのこと。諸元は全長1810×全幅825×全高1050(各mm)で、ホンダのダックス125より少し大きい程度になる。
電動スクーターは存在するが、気軽に乗れるモーターサイクルEVは貴重。ぜひ発売してほしいものだ。

↑e-バンバンとスズキ社長の貴重なツーショット! 社長の身長は調べてもわからなかったが、eバンバンはかなりコンパクトなようだ。
坂道や階段も登れる便利な4足モビリティも!
「MOQBA (モクバ) 2」は、4本脚の電動モビリティ。2023年に出展したモクバを進化させた参考出品車で、それぞれの脚にモーターを内蔵し、人を乗せて坂や段差なども4足歩行で走破できる。

↑「モクバ 2」(参考出品車)は4足歩行できる電動モビリティ。写真はバイク仕様で、荷物配送仕様、フラット仕様、椅子仕様の4バリエーションに変化できる。

↑モーターはそれぞれの脚に5つ、胴体に2つあり、計23個も搭載。各関節が動いて、坂道や段差でも、乗っている人を水平に保ってくれる。
最高速度は歩行者と同じ6km/h程度。車道も走れて20km/h程度出せるが、今のところ特定原付など特定のカテゴリーに入っていないという。役立つシーンが多そうなだけに、今後の動向を期待したい。
レトロモダンなGSX8T/TTの国内版、電動のE-POも登場は近い!
新作のネオクラシック、GSX-8T/TTは既に海外で今夏正式発表。日本での市販予定車として国内初展示された。
ストリートファイターのGSX-8Sをベースに、専用のLEDヘッドライトや燃料タンクを与え、装いを一新。デザインは1968年に登場し、タイタンの愛称で呼ばれたT500をオマージュしつつ、モダンさを漂わせている。

↑丸眼ネイキッドのGSX-8T(写真右)とビキニカウル+アンダーカウル付きのGSX-8TT。GSX-8S譲りの775cc水冷4ストDOHC4バルブ直列2気筒のエンジンや鋼管フレームを踏襲する。

↑GSX-8T。馬蹄型ヘッドライトはT500などがモチーフで印象的なフェイスだ。

↑こちらはGSX-8TT。下部にスポイラーを備えたスクエアなビキニカウルをまとう。8Tはヘッドライトがポジション灯を兼ねるが、8TTは法規に適合しないため、ウインカーがポジション灯となる。
スズキのバーエンドミラーはほぼ初(1980年頃の北米仕様で採用例あり)。サイズや曲率を調整して、高い視認性を確保しているという。また、エンジンや足まわりはGSX-8Sと全くの共通ながら、このキャラクターと実にマッチしており、トコトコ走っている際のトルク感が心地いいとのこと。正式な価格や発売日は未発表だが、登場が楽しみだ。

↑10月に発売されたばかりのDR-Z4SMも展示されていた。世界的に貴重な400クラスのスーパーモタードで、価格は119万9000円。オフロードの兄弟車、DR-Z4Sの展示はなかった。

↑e-バンバンのベースにもなったe-アドレス。生産国のインドを皮切りに展開される原付二種に相当のグローバルモデルだ。バッテリーは固定式で、WMTCモード値で80kmの航続距離を確保。

↑GSX-R1000RでモトGPライダー並みの鬼バンクを体感できるコーナーも!

↑モーター走行もペダルで漕ぐこともできる原付一種相当のE-PO。今回展示された車両は、プロトタイプからさらに進化しており、鈴木社長が2026年内の市販化を明言した!
【カワサキ編】2026年型Z900RSは外観そのままに電子制御を徹底強化!
カワサキは、今年で60周年を迎えた“W”のほか、“Z”に象徴される「伝統」と、次世代モビリティを提案する「革新」をテーマに展示。
中でも熱視線を浴びていたのがベストセラーであるZ900RSシリーズの新型だ。

↑新型Z900RSとZ900RSカフェを世界初公開。中央はZ1100SEでこちらは日本初公開だ。奥には2025年で登場60周年を迎えた1965年型W1も鎮座。
新型……と言っても外装が同じなので印象は変わらず。だけど、エンジンが大幅に進化し、電子制御スロットルや6軸IMU、クルーズコントロールなどを獲得。ユーロ5+規制にも適合した。国内仕様のスペックは未発表だが、欧州仕様では従来から5ps増の116psを発生する。

↑Z900RSの上位グレード=SEで初めて黒×赤「火の玉」カラーを設定! SEはフロントにブレンボキャリパー、リヤにオーリンズショックを奢る。価格は183万7000円で、2026年2月発売。

↑ビキニカウルやローハンドルを備えたZ900RSカフェの新型。こちらも2026年2月発売で154万円。なお、展示されていなかったが、STD仕様のブラックボールエディションも来年2月に登場する。価格は152万9000円。

↑エンジンは電子制御を強化。新設計カムプロファイル、軽量フライホイールなども採用。マフラーは従来より長さを70mm延長。新設計のボルトオン式エンドピースも採用した。クイックシフターは全車標準に。
H2ベースの水素バイクや水素6気筒エンジンも!
次世代の水素エンジンに関する展示も。「水素エンジンモーターサイクル」は、Ninja H2SXの998cc並列4気筒スーパーチャージドエンジンをベースに、水素燃料で走るモデル。2030年代前半の実用化を目指して研究開発中だ。
ちなみにH2という車名は、往年の750-SSマッハⅣ(H2)が由来だけど、水素の元素記号でもある。最初から水素バイクへの転用を考えていたわけではないのだろうけど、オモシロイ一致だ(笑)。

↑水素エンジンモーターサイクル(モックアップモデル)。リヤに片側25Lの水素タンクを2基搭載している。2024年には鈴鹿サーキットで、量産メーカーとして初めて水素エンジンバイクの公開走行も披露した。

↑写真左側は6気筒の水素エンジン! ただしバイク用ではなく航空機用で、2035年の型式承認取得を目指している。右側はスーパーチャージャー搭載のバイク向け水素エンジン。
前回記事のヤマハH2バディコンセプトでも触れたとおり、水素バイクには様々な課題が残っている。しかし、未来に内燃機関を残すため、引き続き開発をお願いしたい。
【+α編】外国車に往年の名車、レーサー、映画に登場したバイクなど多彩な車両が!
ここからは国内4メーカー以外のブースもザックリ見ていこう。

↑BMWブースではクルマに混じって、最高峰のM1000RRと電動のCE02が展示されていた。

↑Astemo(旧ニッシン、ケーヒン、ショーワ)は、全日本JSB参戦車両のCBR1000RR-Rを展示。

↑映画『トロン:アレス』に出てくるバイク「ライトサイクル」も展示。電脳空間を走る、まさに未来のバイクだ。展示されたのは実際の撮影に使われた車両!(走れません!)

↑南ホールの「TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS」では23台のスーパーカーを展示。その中にドゥカティ 900MHRの姿も。

↑南ホール1階は広大なスペースに、トヨタ、レクサス、センチュリーなどのトヨタ系が出展。写真はキッズ専用の安心&安全AIモビリティ「Kids mobi」。目的地まで自動運転して子供を運んでくれる。

↑トヨタの最上級ブランドに位置づけられたセンチュリー。写真は世界初公開の「センチュリークーペ」で、一般公開日には2時間待ちの待機列が発生! おいくらになるんでしょう……。

↑トヨタは「ハイエース コンセプト」を世界初公開。未来はこれでバイクを運ぶことになるー!?
名古屋、大阪、福岡、札幌でも順次モビショーは開催!
ジャパンモビリティショーは閉幕したが、名古屋/大阪/福岡/札幌でも以下の日程で実施。東京会場に行かなかった人はぜひ!
・Japan Mobility Show Nagoya2025(名古屋モーターショー):2025年11月22日(土)~24日(月) ポートメッセなごや
・Japan Mobility Show Kansai 2025(第13回大阪モーターショー):2025年12月5日(金)~7日(日) インテックス大阪
・Japan Mobility Show Fukuoka 2025:2025年12月18日(木)~21日(日) マリンメッセ福岡
・Japan Mobility Show Sapporo 2026:2026年1月23日(金)~25日(日)
