前編では、走行距離が多いバイクと少ないバイクを乗り比べて、必ずしも「走行距離」と「程度」がイコールではないことを証明した。
今回の中編では、走行距離が多い上に、年式まで古い中古車が登場。さすがに程度が悪そうに思えるのだが……果たして?
※取材協力:ヤングマシン
前編:【安心&安全な中古車の選び方 前編】「走行距離」と「程度」は関係ない!
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34年前で走行3.5万kmのGPZ900R、その走りはいかに?
前編のMT-03は'16年型という比較的新しい車両だったけど、走行距離が多くて、年式も古いとどうなのか?
会場に用意されたのは20~30年落ちの中古車で、走行距離に関しては2万~5万km台が多い。
まず乗ってみたのはカワサキ・GPZ900R。1988年型なので34年前の車両で、走行距離は3万5100kmとそれなりに距離が進んでいる。
さっそく試乗してみる。かつての世界最速機ながら、今となっては大柄な車体とズオオッという野太くも柔らかいエンジンフィールが心地いい。巨体ながら、意外と旋回性も素直だ。
筆者は20年以上前、GPZ900Rに乗ったことがあるけど、この試乗車はまさに昔の印象そのまま。近頃、人気が上昇している一方、状態のいいタマは減るばかりだが、スバラシイ状態だった。
人気の新旧4気筒マシンも絶好調だった
さらにCBR1100XX('01年型)、ZXR250('95年型)、ゼファーχ('96年型)、YZF-R1('02年型)といずれも20年以上前に生産された人気絶版車に試乗。いずれもグッドコンディションだった!
以下、簡単な車両紹介とインプレを合わせて掲載したい。
CBR1100XX HONDA【'01年型 走行距離5万5900km】
世界最速を狙い、'96年にデビューしたスポーツツアラーだが、こちらは最高出力を100psに抑えた日本仕様。走行距離5万km台ながら、状態は素晴らしかった。
2軸2次バランサーによるシルキーな回転上昇が快感。100psながら、これで十分と思えるほどで軽快なハンドリングにも魅せられた。改めて乗ると新鮮! 凄まじい完成度だ。
■車重256kg(装) 水冷並列4気筒1137cc 100ps ●当時価格:110万円('01)
ZXR250 KAWASAKI【'95年型 走行距離2万1000km】
現在もニーゴー直4としてZX-25Rが存在するが、4ストレーサーレプリカのZXR250は先祖のような存在。レッドゾーン1万9000rpmという超高回転型のため、調子の維持は困難だが、ここまで調子のいいタマは珍しく、思い切り回して楽しめた。カウルも非常にキレイな状態だ。
■車重141kg(乾) 水冷並列4気筒249cc 40ps ●当時価格:60万9000円('95)
ゼファーχ KAWASAKI【'98年型 2万2600km】
中古車市場において400直4 NKは大人気だが、中でもゼファーシリーズはピカイチの人気者。ゼファーχは、'96年に登場した次世代型で、4バルブを採用する。
試乗車は外装からピカピカで、調子も抜群! 出足は2バルブのゼファーより若干マイルドながら流しても回しても楽しい。筆者は初代ゼファーが最初の愛車だったが、その面影が濃厚にあり懐かしかった。昔乗った味わいが健在なのも、完調だからこそだ。
■車重183kg(乾) 空冷並列4気筒399cc 53ps ●当時価格:58万円('98)
YZF-R1 YAMAHA【'02年型 走行距離3万8000km】
歴代初のFIを採用した3代目R1。スーパースポーツの中古車は走行距離が少ないタマが多数派ながら、このR1は走り込んでいる方だ。エンジン、足まわりともキッチリ整備され、状態は良好。トルクの出方がフラットで、現代のツアラー的な雰囲気もある。レース指向の現行型より公道でも活躍できるだろう。リッターSS入門にもマルだ。
■車重174kg(乾) 水冷並列4気筒998cc 152ps ●当時輸入価格:118万円('02)
マイナー系(失礼)も安心して乗れる!
続いて、同じく年式がやや古く、走行距離が進んでいて、なおかつ若干マイナーなモデルたちに乗車した。
レッドバロンによると、若い新規ライダーは250ccクラスの人気車種を選ぶ傾向があるという。
一方、ベテランや乗り換えを考えている人は、あまり他人が乗っておらず個性的なマシンを欲しがる傾向がある。こうしたバイクはパーツの有無が問題になるが、レッドバロンでは膨大なパーツをストックしており、安心して購入可能だ。
FZ1 FAZER YAMAHA【'10年型 走行距離3万8600km】
旧YZF-R1譲りの貴重な5バルブエンジンを抱く快速ファイター。試乗車は、'08年から登場した94psの国内仕様だ。パワフルな走りと硬く引き締まった足まわりはまさにSS。一方、ライポジはラクちんで、ニンジャ1000より先に登場した元祖ラクッ速ネイキッドだ。
■車重225kg(装) 水冷並列4気筒998cc 94ps ●当時価格:105万円('10)
テンプター SUZUKI【'00年型 走行距離2万6400km】
英国風のシングルスポーツで、'97~'03年型まで販売。F18インチと高い着座位置によりパタンと寝て軽快。当時あまり人気はなかったが、走りも外観もイイ! 巷に走っているSR400に比べて希少価値も高く、今見ると非常に魅力的だ。
■車重159kg(乾) 空冷単気筒396cc 27ps ●当時価格:46万9000円('00)
バルカン900カスタムSE KAWASAKI【'08年型 走行距離3万600km】
水冷Vツインを積むクルーザーで、見た目の迫力は十分。SEは赤いシリンダーヘッドカバーが目を引く。走行3万kmオーバーながら快調そのもの。トルクフルかつ上質な走りを堪能できた。乗っている人が少なく、個性的なバイクに乗りたい人へオススメかも。
■車重249kg(乾) 水冷V型2気筒902cc 41ps ●当時価格:82万8572円('08)
バンディット1200S SUZUKI【'00年型 走行距離3万7800km】
'00年、GSF1200の後継としてデビュー。スズキ伝統の油冷直4を搭載し、'07まで生産された。車体を奮わせるような吹け上がりと、巨体を操る感覚が気持ちイイ。
■車重218kg(乾) 油冷並列4気筒1156cc 100ps ●当時価格:84万8000円('00)
古い2ストローク車も不安が残るけど……!?
驚異的な軽量ハイパワーで、4ストでは味わえない魅力に満ちた2ストローク車。排ガス規制により新車は(ほぼ)絶滅したが、中古車ならまだ楽しむことが可能だ。ただし年式が古い車種が多い上に、一般的に4ストよりエンジン寿命が短いとされる。
また、ガソリンとオイルの燃え残りがチャンバーに付着して、パワー不足を起こしているケースも多いようだ。レッドバロンでは2ストローク車の整備も万全で、試乗車はいずれも好調だった。
DT230ランツァ YAMAHA【'98年型 走行距離5万7900km】
これで230cc!? スロットルを回せば回しただけパワーが取り出せて、4スト250ccに慣れた身には別次元の乗り物に感じる。しかも2ストらしからぬ従順さまで併せ持ち、車体はヒラヒラ軽いのに安心感まである。
おまけにセルとトラコンも備え、新車で40万円台だったことに改めて驚愕! 個人的に今回の試乗で一番気に入った。この状態を維持している整備力にも拍手!
■車重130kg(装) 水冷単気筒224cc 40ps ●当時価格:44万9000円('98)
ウルフ250 SUZUKI【'88年型 走行距離2万1700km】
辛口2ストレーサーレプリカ、RGV250ガンマのネイキッド仕様。セパレートハンドルはややアップながらも、乗り味はまんまレーサーレプリカ。まさに時代が早すぎたストリートファイターだ。短時間では全く乗りこなせなかったが、このタフなスタイルと相まって個人的にとても惹かれる。
■車重125kg(乾) 水冷V型2気筒249cc 45ps ●当時価格:50万9000円('88)
SDR YAMAHA【'87年型 走行距離6800km】
超スリム&コンパクトな車体にハイパワーを融合し、「下り最速」と名高い。走行距離が少ないのは不動状態が長かったのが理由だろうが、調子はバッチリ。思わずツナギで乗りたくなるほどライポジも走りもスパルタンで、挑戦しがいは満点だ。
■車重105kg(乾) 水冷単気筒195cc 34ps ●当時価格:37万9000円('87)
固有の弱点が多い外国車も安心して乗れる!
世界のバイクを扱うレッドバロンだけに、中古の外国車も充実している。外国車は電装系が弱かったりと固有の弱点があるケースも多い。そこで車両診断テスターを用意し、万全の整備体制を整えている。国産車と同様、整備情報の共有やパーツのストックも行う。
R1200GS BMW【'05年型 走行距離4万3000km】
アドベンチャーの代表格で、'05年型は3世代前。大柄な車体と生き物のように震えるボクサーツインが旅情を掻き立てる。頑丈さが自慢のエンジンとはいえ、万全の整備があってこそ満喫できるのだ。
■車重240kg(装) 空油冷水平対向2気筒1169cc 100ps ●当時価格:188万3500円('05)
XL1200X HARLEY-DAVIDSON【'14年型 走行距離1万100km】
惜しまれつつ生産終了したばかりのXL1200Xフォーティエイトは、ワイルドなライポジが特徴。空冷Vツインのよさを再確認し、車体もピカピカだった走りも文句ナシに素晴らしかった。
■車重250kg(乾) 空冷V型2気筒1201cc ●当時価格:131万4820円~('14)
キッチリ整備済みなら、古くて走り込んだ車両でも何ら問題はない!
様々なタイプの中古車に試乗してきたが、各モデル本来の楽しさを満喫できたと思う。その理由は全車ともレッドバロンの「譲渡車検」にパスし、しっかり整備された車両だったからだ。
レッドバロンでは、全国の直営店で整備情報を共有する「US(ユニットサービス)データ」を導入。国内外の旧車から最新型まで車種固有の弱点や整備のポイントを把握しているため、年式に関わらず完調が保てる。
さらに販売車両の整備履歴を管理し、こちらも全店で共有。走行距離が長くても、どんなメンテをしてきたか「来歴」を把握しているので、ショップ側も自信を持って販売できるのだ。
※後編に続く。なぜレッドバロンの「譲渡車検」は完調を保てるのか解説!