前編、中編と様々なタイプの中古車を試乗し、必ずしも走行距離と程度の良し悪しは関係ないことがわかった。後編では、どうすれば安心&安全な中古車が購入できるか考えてみたい。

これまでのおさらい
【安心&安全な中古車の選び方 前編】「走行距離」と「程度」は関係ない! 
【安心&安全な中古車の選び方 中編】走行距離が多くて年式が古い中古車はどうなの?

※協力:ヤングマシン

購入後の保証とアフターサービスが最低条件、信頼できる相手選びが最重要

結論から言えば、信頼できる相手から購入することが「安心&安全な中古車」を選ぶための最大のポイントだ。

一般論では、走行距離が多く、年式が古い車両ほど状態は悪くなる。しかし厳密なチェック体制と高度な技術力を持つショップであれば、最良のコンディションを維持できる。

購入の際は試乗できるのがベストだが、なかなかそんな機会はない。少なくとも自分の目で現車を見ることができる相手と取引をすべき。加えて、購入後の保証とアフターサービスが最低条件となる。そしてライダーの安全を第一に考え、プロの国家整備士がいるショップならなお良い。

もちろんレッドバロンはこれらの条件を満たした相手の一つ。
前編、中編と様々な中古車に試乗してきたが、各モデル本来の楽しさを満喫できた。これはレッドバロン独自の「譲渡車検」によって、しっかり整備された車両だったからだ。

ちなみにレッドバロンの社員は、自社販売の過走行車に問題がないことを分かっているから走行距離を気にせず購入するそうだ。

↑レッドバロンが販売し、同社で買い取られた車両は、メンテナンス歴や修理歴をしっかり把握できている。走行距離から過走行車に見えたとしても、絶好調の場合が多い。

安心な取引先の条件を満たしているレッドバロン

「譲渡車検」とは、8種類の検査から成り立ち、基本的に譲渡車検をパスした正常な中古車だけを店頭で販売している(サイドカーやコンペモデルなど、一部の特殊な車両を除く)。

譲渡車検の内容はとても厳密。逆に言えば、これほどの体制を敷かないと、走行距離がかさんだ、年式の古い車両を完調状態に高めるのは難しいのだろう。しかも、走行距離が多いと価格が安くなる傾向なのも嬉しい。

そしてレッドバロンの中古車には最長6か月または6000kmの品質保証が付帯する。これも譲渡車検に対する自信の現れだろう。なお、これまで紹介してきたとおり法令車検がない250cc以下のモデルにも譲渡車検は実施されている。

↑フレームに貼られた「譲渡車検」ステッカーが安心&安全の証。「譲渡車検」のネーミングは、中古車の販売とは「お客から代金をいただく代わりにアフターサービスという付加価値をつけてバイクを売り主から買い主にへ譲渡する行為」との思いから命名された経緯がある。

安心&安全を生み出す「譲渡車検」の8種検査とは?

1 フレームが安全であること


フレームは重要なパーツだが、一般の車検では、フレームの歪みに関する点検義務がない。しかも転倒などで大きく歪むと修正は不可となる。レッドバロンでは「アシダム」でアライメントを測定し、正常な車両のみを販売する。お客が他社で購入した車両をチェックしたところ、フレーム異常が判明した事例もあるという。


多彩な検査ができる『ACIDM』がバイクの性能維持に大活躍


バイクの好調を保つために活躍しているのが、同社が独自開発した「コンピュータ総合診断機ACIDM(アシダム)」だ。シャーシダイナモを備え、最高出力のほか、様々な項目を測定可能。バイクの中身を客観的に把握できるので「譲渡車検」でも存分に活用されている。

アシダムは、レッドバロン全店に配備されており、最高出力&トルク、パワーカーブのほか、制動力、メーターの誤差も測定可能。さらにフレームのアライメント(後輪を基準をしたフロントタイヤの並び具合)のズレを0.1mm単位で測定できる。外部からは判断できない車両の状態も一目瞭然だ。

↑埋め込み式のシャーシダイナモとモニターで構成。写真はアライメントの検査結果で、ズレが7mm以内の車両のみ販売する。


2 リコール未実施項目がないこと


メーカーが行うリコール(回収・無償修理)は、重大な事故に直結することがあり、見過ごしてはならない……が、 リコール作業を受けていない中古車は意外にも多い。レッドバロンでは全ての中古車に対し、リコールが実施されているか確認。万一、未実施だった場合は、対策してから販売する。

上の写真は最近リコールがあったCT125のシフトペダルで、右側が対策品だ。


3 部品調達が可能であること


メーカーの部品在庫義務期間は、生産終了から約7年。この期間を過ぎたバイクは、パーツが手に入らなくなることで、やむなく乗り続けられなくなってしまうケースがある。

レッドバロンでは、25年以上の歳月をかけてリサイクルパーツの確保、オリジナルパーツの開発、パーツ本体の修理技術の蓄積に取り組んできた。本社工場では年間2000台ものバイクを分解し、広大な敷地に3700機種以上&74万点を超える膨大なパーツをストックしている(2022年12月現在)。

↑年間で2000台ものバイクを分解。パーツは、独自開発のパレットで車種ごとに保管し、ノーマルのサンプル車も収納するのが特徴だ。

↑欠品すると走行に支障をきたす重要な純正部品は、リビルドして再生。非分解式の純正リアサスも、プロの技術と専用設備で再生可能だ。


4 基幹部品に異常がないこと


レッドバロンで仕入れた中古車は、走行に影響を及ぼす機能部品に異常がないか入念にチェック。アンダー250ccを含め全車とも、検査項目は車検より多い84項目に及ぶ。

検査は独自の分解整備記録簿に基づき行われ、ブレーキやエンジンは特に多くの検査項目が設けられる。

また、リコールでは、クラッチやエンジン内部など高度な整備が要求される場合もあるが、同社では充実の設備と、メカニックの技術力で問題なく対応可能。その安心感から、成約に至ったケースも数多いと言う。


5 スピードメーターに異常がないこと


中古車を仕入れた時点で、メーターの巻き戻しや改ざんなどの不正表示がないか検品。さらにアシダムで速度計の40km/hと80km/h時の誤差をチェックしている。車検では40km/hでのみ測定するので、より安心だ。
速度計を検査する機会がまずない中古の250ccは、メーターの異常で実際より速度が出過ぎていて事故! なんてケースもありえる。


6 違法改造箇所がないこと


保安基準をクリアしているかチェックし、違法改造箇所のない車両を販売。見落とされがちなウインカーの取り付け位置やハンドルなどの構造変更もきちんと点検する。
近年、LEDヘッドライトの光量や、タテ付け禁止などナンバープレート表示義務に関する違反が多いが、これらも当然チェック済み。法令車検がない250cc以下の車両も安心だ。


7 必要書類が揃っていること


レッドバロンでは、書類に不備がないか厳しくチェック。車検証や軽自動車届出済証、自賠責保険証書はもちろん、名義変更の際は、譲渡証明書や委任状(代理人が手続きの場合)も必須だ。輸入車、およびマフラーをカスタムした車両は、排ガスの試験結果証明書も必要となる。特に個人売買ではこうした書類の有無がトラブルの元になりがちだ。


8 装着マフラーが適法であること


マフラーのカスタムは人気だが、実は所有者自身が違法となっていることに気付いていないケースも多い。年々強化されている騒音と排ガス規制。加えて、年式や排気量、仕向地によって規制が異なるため、非常に複雑。特に触媒付きのバイクで、触媒なしの社外マフラーに交換して車検に通らない場合が多い。レッドバロンでは、サイズや形状も含め、適法マフラーかチェック済みだ。

まとめ:絶版名車を後世へ残すために

走行距離などの数字や、写真などの外観でしか中古車を選ぶための根拠がない場合、たとえ価格が安かったとしても、見えない部分の不具合とそれを直すための費用で結局ソンをするケースもある。

したがって安心&安全な中古車を買うには、万全の整備体制を築き、信頼できる相手と取り引きするのが最も確実だ。

今回の試乗を通して、絶版になった名車を極上の状態に保ち、現代のライダーも往年の走りを安心して味わえるのは、ありがたい限りだと思った。未来に貴重な名車を継承するためにも、レッドバロンをはじめとするショップには優良中古車の販売を続けてほしいと願う。

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