南国宮崎で開催! バイクラブフォーラムとは?

▲宮崎県知事の河野俊嗣さん(写真)や宮崎市長の清山知憲さんも登壇して挨拶を行った

 

2024年927日(金)、宮崎県宮崎市の宮崎市民プラザ・オルブライトホールにおいて「12回 BIKE LOVE FORUM in 南国みやざき」(シンポジウム)が開催されたので紹介したい。

▲シンポジウムの開催会場となった宮崎市民プラザ・オルブライトホール

 

▲一般参加も可能なので臨時のバイク置き場も作られていてありがたい(筆者は自走+フェリーで到着)

 

その前に、バイクラブフォーラム(BLFについて簡単に説明を。BLFは、世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造を目指すと共に、バイク産業の振興、市場の発展などを目的として、二輪メーカー、二輪業界団体、地方公共団体(自治体)、国(経済産業省)が連携して活動している取り組みだ。

BLFのシンポジウムとは? 誰でも参加できる!

▲スクリーンに投影されたバイクラブフォーラムのロゴマーク

 

BLFでは、自治体を変えながら年に1度のシンポジウムを開催している。本シンポジウムでは日々のバイクライフに関わる法規制や利用環境問題についても取り扱うので、多くのライダーやバイク利用者に知ってもらいたいと思っている。

シンポジウムでは、BLFで策定した目標達成への道しるべである「⼆輪⾞産業政策ロードマップ2030」に関する取り組み・進捗報告のほか、テーマに沿ったパネルディスカッションが数本行われている。

▲課題改善のために二輪車産業政策ロードマップ2030で取り組む11の実施施策

 

会場の大小によって席に限りがあることもあるが、業界関係者だけでなく誰でも予約不要で参加できるオープンな場となっており、質疑応答の際には挙手による発言もできるので、いちライダーとして思うところ、感じるところなどを業界・市場関係者や自治体、国に伝えることができる場でもある。

2025年は、9月19日(金)午後(まだ開始時間は未定)に埼玉県小鹿野町の⼩⿅野文化センターで開催されるので、ぜひ一度、気軽に訪れてみてほしい。

BLF宮崎では2つのテーマで発表・議論された

なお、今回のBLF宮崎で議論されたテーマは次の2つだった。

バイクツーリズム(トーク対談)
「SSTRに見るバイクツーリズムによる地域振興」

電動二輪車の利活用(パネルディスカッション)
「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」

どちらも旬の話題と言ってよいだろう。筆者はモトツーリング誌(内外出版社)のディレクターも務めているが、ツーリングライダーを誘致して地域振興や地域活性化を行いたいという自治体はここ数年でずいぶんと増えている。

 

ライダー誘致、バイクで町おこしの元祖とも言える埼玉県小鹿野町は現在も多くのイベントを開催しライダーを迎えている

 

バイクブームだった80年代、峠やワインディングに集まるバイク(主に走り屋・ローリング族)に対して「うるさいから来るな」「二輪車は通行禁止にする」なんて対応が各地で行われたものだが、いまやライダーウェルカムを公言する自治体は少なくない。

また、電動二輪車については、欧州を中心としたグローバル市場でのEV不振、各国での脱炭素政策の停滞といった流れから「電動車は使えない」というレッテルが広がるなか、二輪車の電動化についても改めて是非が問われているところだ。

 

▲EICMA2024(ミラノショー)でホンダが発表した「EV Urban Concept」。ホンダは2030年までにグローバルで電動モデルを30機種投入するという計画を着々と進めている

 

地球温暖化を含めた気候変動の問題とカーボンニュートラル推進の真否についてもさまざまな視点や視野(特に地球環境の変動周期)からの検証が行われ、数年前に喧伝されていたエビデンスの中にはすでに揺らいでいるものも多い。

このような社会的背景を踏まえて、2つのテーマで何が発表され議論されたのか、前編・後編に分けて見ていこう。

ライダーによる地域振興! 成功事例としての“SSTR

▲SSTRの発起人であるオートバイ冒険家の風間深志(かざま しんじ)さん。御年74歳になられたが、そのバイタリティに衰えはない

 

「バイクツーリズム活性化による地域振興『SSTRに見るバイクツーリズムによる地域振興』」と題して行われたトーク対談には、BLF開催地である宮崎市観光商工部観光戦略課 課長の本間彰人さんと一般社団法人ライダーズフォーラム代表でオートバイ冒険家の風間深志(かざま しんじ)さんが登壇した。

ご存じの方も多いかもしれないが改めて説明しておきたい。SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)は、1982年に日本人として初めてパリ・ダカールラリーに参戦・完走した風間さんが「ダカール(セネガル)の海岸でのビクトリーランの感動を日本のツーリングライダーにも味わってほしい」と発案して2013年にスタートしたイベントだ。

 

▲SSTRゴールシーンの様子。石川県羽咋市の千里浜なぎさドライブウェイに大勢のライダーが集まってくる ※SSTR公式サイト「SSTRについて」ページから引用

 

以降、毎年1回開催され、2024年には14000人がエントリーするなど国内最大のツーリングイベントに成長しており、ゴール地点にしてイベント開催地である石川県羽咋市の経済効果は2022年の時点で、飲食・宿泊などの一次効果で約5,000万円、波及効果(二次効果)も含めると約20億円にものぼるとされている(2022年羽咋市市議会でのコメントより)。

 

▲SSTRでは地域貢献にも力を入れている。2023年5月5日に発生した「令和5年奥能登地震」(最大震度6強)に対する募金活動も行った

 

2人の対談は、BLF宮崎を機にライダー歓迎都市への目標を掲げている宮崎市で市政を担当している本間さんの質問に風間さんが回答およびアドバイスをするという流れで行われた。

 

▲宮崎市の本間さん(左)に、ライダーへのおもてなしについて具体的なアドバイスをする風間さん(右)

 

風間さんは、SSTR開始の経緯や成長の過程とそこでの取り組み、特に石川県の自治体関係者や地域住民との交渉や関係づくりについてひと通り説明したうえで、地域がライダーを歓迎しておもてなしをしてくれること、バイクやライダーのことを理解してくれて、その上でどう迎えてくれるのかが重要であることを話し、「駐輪場などライダーを歓迎していることがわかるような街づくりと環境整備、その土地ならではの特徴をしっかり作って頂いて、あとは地域の方々の人情があればライダーは必ず来てくれますよ」と強調した。

 

▲ステージの様子。宮崎市・宮崎県のライダー誘致に期待したい

 

対談の最後、本間さんが「宮崎市はライダーの皆さまを歓迎する街づくりを目指します」と宣言すると、会場からは大きな拍手がわき起こった。

なお、BLF宮崎の開催を記念して、81日から1130日まで「来てん!宮崎 ツーリングキャンペーン」も開催された。スマートフォンのGPS機能を使ったスタンプラリーが行われ、宮崎県各地の絶景スポットやグルメ、文化などの魅力をツーリングライダーに訴求した。

 

▲近年、バイクラブフォーラム開催地での「ツーリングキャンペーン」は定番のツーリングイベントとなっている

 

後編では、もうひとつのパネルディスカッションである「電動二輪車の利活用」について紹介する。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事