80'S 若者に大人気のシティとともにデビュー

こんにちは青木タカオです。かつて、クルマのトランクに積むためのバイクがあったことをご存知でしょうか。

ホンダ モトコンポ(1981年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダ モトコンポ(1981年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

1981年に発売された原付1種(50cc)モデル『ホンダ MOTOCOMPO(モトコンポ)』です。当時、「世界初の四輪・二輪同時開発」と謳われ、『ホンダシティ』とともに華々しくデビューしたのでした。

ホンダシティ(1981年) 画像提供:本田技研工業

▲ホンダシティ(1981年) 画像提供:本田技研工業

ホンダシティは「都会的な感覚を持つ行動派の若者にターゲットをおいたニューコンセプトカーである」と、当時の資料には書かれていますが、その狙い通り、80年代のヤング層たちの間で大ヒット。コンパクトカーの定番モデルとなっていきます。

シティ・カブリオレ(1984年) 画像提供:本田技研工業

▲シティ・カブリオレ(1984年) 画像提供:本田技研工業

翌82年には、ホンダ四輪車初のターボエンジン搭載車となる『シティ・ターボ』がデビューし、84年には国産乗用車初のフルオープン4シーターの『シティ・カブリオレ』が登場。ポップでカラフルな12色から選べ、左右ドアには“CABRIOLET”のレタリングが配されていました。

オシャレな若者たちに大人気となったシティ・カブリオレ(1984年) 画像提供:本田技研工業

▲オシャレな若者たちに大人気となったシティ・カブリオレ(1984年) 画像提供:本田技研工業

キャッチコピーは「太陽標準装備の、シティ・カブリオレ」。お洒落に敏感な若者たちを魅了します。

6輪生活を提案!

モトコンポは「ホンダシティ」搭載用として同時開発された異色モデルでした。バイクとクルマ、両方をつくっているメーカーにしかできない製品だと言えるでしょう。

ホンダ モトコンポ(1981年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダ モトコンポ(1981年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

シティとモトコンポの発売によって、ホンダはクルマ(4輪)とバイク(2輪)での「6輪ライフ」を提案しました。


単に足し算的な範囲での使い勝手だけではなく、4輪に2輪を搭載して行動することにより、バイクの機能とクルマの機能が掛け算的に広がり、アウトドアライフの新しい使い勝手を創りだすことを提唱するものです。

いま考えても、ワクワクするコンセプトで、こうしたモデルがもっとあってもいいような気がしてなりません。

ホンダシティと同時開発されたモトコンポ。 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲ホンダシティと同時開発されたモトコンポ。 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

もちろんモトコンポは、一般公道を走行するために必要な灯火器やブレーキなどを装備。トランクから下ろせば、そのまま走り出すことができるのです。

全長1185mm、全幅535mm、全高910mm、乾燥重量42kg、車両重量45kgという超小型で軽量の車体に、排気量49cc、最高出力2.5PSの空冷2サイクル単気筒エンジンを搭載。始動はキックのみ。自動遠心クラッチを採用し、操作は極めてイージーです。

燃料やオイル、バッテリーなどの液洩れ防止機構や、折りたたみ式ハンドルとステップなど、トランクバイクとして使い勝手を配慮した設計としています。

燃料タンク容量は2.2リットル。タイヤサイズは前後ともに2.50-8-4PRです。

トランクスペースにモトコンポを積載するホンダシティ。 画像提供:本田技研工業

▲トランクスペースにモトコンポを積載するホンダシティ。 画像提供:本田技研工業

ホンダシティには、モトコンポ搭載時に利用できるアンカーナットを装備。専用ベルト(オプション)によって、しっかりと固定できる設計となっていました。

折りたたみハンドルの元祖

ホンダにはモトコンポより先に、折りたたみ式のハンドルを採用し、クルマに積みやすくしたバイクがありました。1967年に発売された『モンキーZ50M』は、四輪車のトランクに積載することを想定されていました。

モンキーZ50M(1967年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲モンキーZ50M(1967年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

足まわりは前後5インチの小径タイヤ。トランクに入れるときは、シートとハンドルを折りたたむことで、さらにコンパクトにできる設計です。

エンジンはスーパーカブ50で定評のある4ストロークSOHC単気筒で、自動遠心クラッチの3速ミッションにより、簡単な操作で走りを楽しむことができます。

モンキーZ50A(1969年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

▲モンキーZ50A(1969年) 画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

以下、タイヤを5→8インチ化した「モンキーZ50A(1969年)発売時の報道用資料より抜粋。

ホンダモンキーはユニークなスタイルとキュートな楽しさで、国内はもとよりアメリカの若者に爆発的な人気をよびましたが、このたび、まったく一新、数々の魅力を満載して新登場いたしました。新製品ホンダモンキーZ50Aは、携帯に便利な折りたたみ式軽量超小型サイズで、乗用車のトランクに収容でき、レジャーの行動半径をさらに拡大しました。前輪テレスコピック式クッション採用による快適な乗り心地、大径タイヤの装備によるすぐれた走行安定性など、安全で、スポーティな超ミニバイクです。

早くからホンダにあったバイクをクルマのトランクに積むという考え。モトコンポは80年代に再び、それを具現化させたのでした。

Fan Funミーティングで見た!!

そんな超レアなマニアックバイクを拝見しました。レッドバロンによって開催される「2025年 第1回 Fan Funミーティング」(3月15日、岡崎中央総合公園)でのことです。

ホンダ モトコンポを所有するOZAWAさん。 撮影:青木タカオ

▲ホンダ モトコンポを所有するOZAWAさん。 撮影:青木タカオ

来場者用の駐車場で見つけた時は感激し、思わず駆け足で近づきました。そしてオーナーのOZAWAさんに、ボクはすぐさま話しかけます。

「折りたたみするところを見せてください!」

快諾してくださったOZAWAさん。

もぉ、興奮せずにはいられません!!

2025年 第1回 Fan Funミーティングの駐車場で見たホンダ モトコンポ。 撮影:青木タカオ

▲2025年 第1回 Fan Funミーティングの駐車場で見たホンダ モトコンポ。 撮影:青木タカオ

折りたたんだ状態だと、もはやバイクであると認識できないでしょう。ハンドルなどがなく、モトコンポを知らなければ「この物体はなんなんだ!?」となってしまうはずです。

ボクも持ち上げてみたい!!

ホンダ モトコンポを持ち上げさせてもらった! 撮影:宮下豊史

▲ボク(青木タカオ)もホンダ モトコンポを持ち上げさせてもらった! 撮影:宮下豊史

ホンダシティのトランクに積むことはできなくとも、どのくらいの重さなのかを体感してみたい。今度は持たせていただきました。そして記念写真! たいへん嬉しい写真となりました。

動画での撮影も了承くださいまして、組み立て&折りたたみの一部始終を収録しました。最後にリンクを貼り付けておきますので、ぜひご覧ください。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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