初めてバイクを買ったときの高揚感を覚えていますか?

これからは、このバイクで好きなところへ行ける。どこへ行こうか。何をしようか。

「初めて」は二度と経験できないだけに、そのときのことをよく覚えている人も多いと思います。

では、初めてツーリングに行った先は、どこだったでしょうか。

ちなみに私は、原付からのステップアップで、レッドバロンでバイクを買った日、ガソリンスタンドで給油して、友達の家で「機動戦士Vガンダム」の第一話の本放送を観て、近所をぐるりと回っただけで帰ってきました。納車は15時。暗くなってから走ることに、少し不安を感じていたのです。

乗りたかったバイクが自分のものになった嬉しさと、公道を走る緊張感。その日は近所を走るだけで、十分だったのです。

翌週には、仲間たちと近所のダム湖まで走りに行き、五平餅を食べました。

最初は「ちょっと行って帰ってくる」でいい

私は幸い、手引きしてくれる仲間がいました。

でも、一人で免許を取り、バイクを買って、一人で走り出す人もいるはずです。

そんなとき、「さて、どこへ行けばいいんだろう」と迷うのも無理はありません。

雑誌やSNSを見れば、絶景のワインディングや、何百kmも走った先の名所が出てきます。行ってみたい気持ちは分かりますが、最初から大きな旅にしなくてもよいのです。

まずは、明るいうちに余裕を持って帰ってこられる場所へ。できれば、クルマなどで行ったことがあり、道の様子を知っている場所なら気持ちにも余裕ができます。

距離の長さより、「ここなら行って帰ってこられそう」と思えることを大切にしてみてください。

では、行き先の候補をいくつか挙げてみましょう。

道の駅で、ひと休みとお土産探し

まず思い浮かぶのは、道の駅です。

休憩をして、飲み物を買い、名物を探す。食事ができる施設なら、昼ごはんを目的にしてもよいでしょう。

「今日は、あそこの名物を買って帰ろう」

それだけでも、出かける理由になります。

休日にはバイクが集まる道の駅もあり、駐車場を眺めるだけでも楽しいものです。自分と同じバイクを見つけたら、ちょっと嬉しくなったりして。

ただし、人気の道の駅は駐車場が混雑することもあります。最初は比較的空いている時間帯を選び、案内に従って落ち着いて駐車しましょう。

お土産を買うなら、持ち帰るためのバッグもお忘れなく。おいしそうだからと買い込んで、「これ、どこに積もう?」とならない程度に(笑)。

ライダースカフェで、バイクを降りて楽しむ

ライダースカフェも、行き先の候補になります。

バイク好きが集まるお店なら、一人でも共通の話題を見つけやすいものです。ランチを食べるのもいいし、お店のメニューに合わせて、コーヒーを一杯飲んで帰るのもいい。

店主が気を利かせて、同じようなバイクに乗っているお客さんを紹介してくれることもあります。

とはいえ、無理に誰かと話さなくても大丈夫です。

席から愛車を眺めながら、「自分のバイクでここまで来たんだなあ」と思う。それだけでも、最初のうちはなかなか嬉しい時間になります。

出発前には営業日と営業時間、バイクを停められる場所を確認しておくと安心です。

神社仏閣へ。走った後は、少し歩いてみる

神社やお寺を目的地にするのもよいと思います。

バイクを停めて、境内を歩き、お参りをする。走っているときとは違う静かな時間を過ごせます。

交通安全をお願いして、お守りを受けて帰るのもいいですね。

ただし、有名な寺社は参拝客が多く、駐車場が砂利だったり、出入り口に傾斜があったりする場合もあります。

最初は、駐車場所が分かりやすく、出入りしやすいところを選びたいものです。バイクでどこまで入れるのかも、事前に確認しておきましょう。

とにかく海を見に行く

海が無理なく行ける距離にあるなら、「海を見に行く」だけでも立派な目的になります。

なんだか、バイクと海って似合うんですよね。

駐車できる場所に停めて、海を眺める。飲み物を飲みながら、少しぼんやりする。そして帰る。

特別な観光をしなくても、それで十分に楽しい。

海が遠い地域なら、近くの湖や川沿いの公園でもよいでしょう。水辺まで走って、ひと息つく。それでOKなのです。

もちろん、海沿いは風が強い日もあります。景色を楽しむ余裕がなさそうなら、その日は近場の別の行き先に変更してしまいましょう。

近所の公園やパン屋だって、目的地になる

もっと身近な場所でも構いません。

駐車場のある公園や、気になっていたパン屋。いつもは歩いて行く立ち食い蕎麦屋だって、自分のバイクで訪れると少し違って感じられるものです。

パンを買って帰って、家で食べる。蕎麦屋で気になっていたセットメニューをサッと食べて帰る。

「それ、ツーリングって言うの?」

なんて、難しく考える必要はありません。

自分で行き先を決め、自分のバイクで出かけて、帰ってきた。その積み重ねで、少しずつバイクとの付き合い方が分かってきます。

最初から、誰かに話せるような遠出を目指さなくてもよいのです。


有名かどうかより、落ち着いて走って停められるか

ここまでいくつか挙げましたが、道の駅ならどこでも初心者向き、というわけではありません。

休日の人気スポットは、周辺道路も駐車場も混雑します。慣れない道で渋滞に入り、ようやく目的地に着いても、停める場所を探して右往左往。それでは、ひと息つく前に疲れてしまいます。

最初のうちは、混雑する観光地は後のお楽しみにしておくくらいでよいと思います。

行き先を選ぶときは、距離に加えて、途中の道と駐車場の様子も見ておく。細い山道を通らないか、駐車場は舗装されているか、出入りが難しくなさそうか。

「有名な場所へ行った」よりも、「落ち着いて楽しめた」を増やしていきましょう。慣れてきたら、行きたい場所へ少しずつ足を延ばせばいいのです。

一人で走るなら、帰りの余裕も忘れずに

ソロツーリングでは、予定を自由に決められます。そのぶん、自分で判断することも増えます。

出発前には、行き先だけでなく、帰る時間帯の天気も確認しておきたいところです。雨や強風が予想されるなら、予定を変えることも考えましょう。

時間配分は、走る時間だけで計算しないこと。休憩や食事、給油の時間も必要ですし、目的地に着いた後には帰り道が残っています。

ガソリンも、残りわずかになるまで粘らず、余裕を持って補給を。まだ愛車でどれくらい走れるか分からないうちは、なおさらです。

そして、疲れたり、不安になったりしたら、早めに休む。目的地に着く前でも、今日はここまでと引き返して構いません。

「せっかく来たから、もう少し」

その気持ちは分かりますが、続きを楽しむ機会はまた作れます。

「一緒に走ろう」は、断っても大丈夫

道の駅やカフェで話が弾み、「よかったら一緒に走りませんか?」と誘われることもあるかもしれません。

嬉しい出会いになることもありますが、初対面では相手の技量も、普段のペースも分かりません。

少しでも「嫌だな」「ついていけるかな」と感じたら、無理に付き合わなくて大丈夫です。

「ありがとうございます。今日は一人で、のんびり走ってみます」

そう伝えれば十分です。

一緒に走り始めた後でも、相手のペースに合わせようと無理をする必要はありません。自分のペースを守ることを、遠慮しないでほしいと思います。

そして、これは私たち年長者や経験者も気をつけたいところです。

初心者だと分かった途端に、先輩ヅラをして、頼まれてもいないアドバイスを次々と始めないこと。

本人はただ、初めてのツーリングを楽しみたいだけかもしれません。慣れないことが多く、緊張して余裕がない場合もあることをお忘れなく。

困っていたら手を貸す。聞かれたら、相手の話を聞いて答える。そのくらいの距離感で見守れたらいいですね。

最初の目的地は、案外ずっと覚えている

遠くの絶景も、長い旅も、愛車があれば、これから存分に楽しめるのです。

まずは近所をひと回りして帰るだけでもいい。次の休日には、少し先の道の駅やカフェへ行ってみる。それで十分です。

無事に帰ってきて、

「ああ、楽しかった。また乗りたいな」

そう思えたら、初めてのツーリングは大成功だと思います。


冒頭でもお話しした通り、私にとって、仲間とダム湖へ走りに行って食べた五平餅は、一生忘れられない思い出です。

それでは皆さま、素敵な思い出を愛車とともに刻んでいきましょう!

(おしまい)

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