スズキのプレス試乗会へ

こんにちは、青木タカオです。スズキの新型クロスオーバーモデル『SV-7GX』に乗りました。山梨県富士吉田市にて、プレス向け試乗会が開かれたのです。

試乗車が用意されるだけでなく、開発チームの皆さんもズラリと揃い、報道陣に向けた技術説明会も開催されました。

報道試乗会では、実際に走らせて性能を確かめるだけでなく、開発陣から車両の特徴や設計に込めた狙いを直接聞くことができます。

気になることがあれば、つくった人にあれこれと詳しく聞ける。ニューモデルを深く知るうえで、とても貴重な機会です。

ボクたちバイクジャーナリストは、そこで得た知識や自分自身で体感したことをもとに、専門メディアなどに試乗レポートを寄稿します。開発陣から直接話を聞けることは、記事を書くうえでも大きな助けになるのは言うまでもありません。

ありがたいことに、今回も複数のメディアからお声がけいただき、すでに『SV-7GX』の試乗インプレッションを公開しています。もしかすると、目にしてくださった方もいらっしゃるかもしれません。

『SV-7GX』は、ロードスポーツ『SV650』の軽快なハンドリングと、アドベンチャーツアラー『Vストローム650』の快適性を融合させたミドルクラスのクロスオーバーモデルです。

スタイリングには、GXシリーズのフラッグシップ『GSX-S1000GX』のイメージを色濃く反映。街なかでの普段使いからワインディング、さらにはロングツーリングまで、幅広いシーンで楽しめる俊敏性と快適性を追求しています。

世界初公開からの流れ

『SV-7GX』が世界初公開されたのは、昨年11月。イタリア・ミラノで開催された世界最大規模の二輪車展示会、EICMA 2025(11月6~10日)でした。

そして今春、大阪モーターサイクルショー(3月19~22日、インテックス大阪)で日本初公開。展示されたのは欧州仕様の参考出品車で、国内導入を期待したことを覚えています。

次にボクが実車を見たのは、夏の鈴鹿サーキットでした。2026 FIM世界耐久選手権 コカ・コーラ 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第47回大会(7月3~5日)の取材に出かけると、スズキのブースに『SV-7GX』が展示されていたのです。

このときも欧州仕様の参考出品でしたが、実際にまたがることができました。シート高は795mmで、足つき性は良好です。

スリムな車体に加え、視線が高く、上体を起こしてゆったり構えられるライディングポジションも好印象でした。もちろん、展示車ですから走らせることはできません。それでも、国内導入への期待はますます膨らみました。

ついに乗ったぞ!

スズキは10月1日、『SV-7GX』を10月13日から国内発売すると正式に発表。そして発売から間もなく、今回のプレス向け試乗会が開催されたというわけです。

世界初公開から国内でのお披露目、正式発表を経て、ついに公道を走らせる機会がやってきました。

ニューモデルを追いかけていると、こうした瞬間が訪れます。ずっと気になっていたモデルに、ようやく乗れる。何度経験しても嬉しいものです。

「ついに乗れる!」「待ってました!!」

そんな気持ちが込み上げてきます。長年バイクの取材を続けていても、初めてエンジンを始動し、走り出す瞬間の高揚感は変わりません。展示ブースでまたがったときとはまた違う、走らせて初めてわかる魅力に出会えるのも、メディア向け試乗会の醍醐味です。

名機Vツインがさらに進化

『SV-7GX』の登場が大きな注目を集めている理由のひとつが、すでに生産を終了した『SV650』で定評のあった645㏄Vツインエンジンを受け継いでいることです。

ルーツは、1999年に登場した初代『SV650』にまで遡ります。四半世紀以上にわたって改良を重ね、生産累計50万台以上を誇る、スズキを代表するパワーユニットのひとつです。

『SV-7GX』もまた、スリムでコンパクトな645㏄の水冷Vツインエンジンを、スチール製トレリスフレームに搭載。扱いやすいパワーと力強いトルク、加速フィールという持ち味を受け継ぎながら、各部を進化させています。

電子制御スロットルの採用も、そのひとつです。ライダーの操作に応じてエンジン出力をきめ細かく制御できるようになり、低回転域からリニアで滑らかなレスポンスを追求しています。


走行シーンや好みに合わせて出力特性を選べるSDMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)も搭載。A・B・Cの3つのモードが用意され、状況に応じた走りを楽しめます。

さらに、STCS(スズキ・トラクション・コントロール・システム)は3段階のモードに加えてOFFも選択可能。後輪のスピンを検知するとエンジン出力を制御し、路面状況に応じた安定した走行をサポートします。

双方向クイックシフトシステムも採用されました。クラッチレバーを操作せずにシフトアップとシフトダウンができるため、ワインディングなどで加減速を繰り返す際にも、スムーズなギアチェンジが可能です。

環境性能も向上しています。燃料噴射や吸排気制御などを最適化し、Vツインらしい力強いフィーリングを大切にしながら、最新の排出ガス規制への対応を図っています。


エンジン内部にも、長年にわたる改良の積み重ねが生かされています。シリンダーには、放熱性と耐摩耗性に優れたSCEMメッキを採用。さらに、オイルを噴射してピストンを冷却する仕組みを備え、高負荷が続く状況でも安定した性能を保てるようにしています。

ピストンのスカート部にレジンコートを施し、L型ピストンリングを採用。エンジン内部の摩擦を減らすとともに、燃焼室の密閉性を高め、ブローバイガスの低減にもつなげています。

燃焼効率を高めるため、1気筒あたり2本のスパークプラグを配置するデュアルスパークテクノロジーも導入。イリジウムプラグとの組み合わせによって、スムーズな出力特性と優れた燃費性能、排出ガスの低減を図っています。

吸気系も見逃せません。吸気ポートをシリンダーヘッド上方から配置するダウンドラフト方式で、エアクリーナーボックスは燃料タンクの下に収まっています。

エアクリーナーボックス出口側の通路を短くすることで、高回転域での伸びやかな加速フィールを追求。従来の『SV650』が持っていた力強さを大切にしながら、さらにエキサイティングなパワー特性を獲得しました。

吸気音にもこだわり、Vツインならではの鼓動感を生かしつつ、耳に心地よく響くサウンドに仕上げていることが、実際に乗ってわかりました。

排気系はコンパクトな2-1レイアウトを採用。加速時にはVツインらしい深みのある排気音を響かせ、高速巡航時には落ち着いた音質となるよう調整されています。

また、触媒の前後に配置した2つのO₂センサーで排出ガスの状態を検知し、その情報をECMにフィードバック。空燃比を緻密に制御することで触媒の浄化性能を引き出し、国内の排出ガス規制にも対応しています。

ジェネレーターやトランスミッションギヤなども、電子制御システムへの対応に合わせて改良されました。こうした細部の改良を積み重ね、初代『SV650』から続く645㏄Vツインは、進化を遂げています。伝統のフィーリングを受け継ぎながら、現代の走りにふさわしいパワーユニットへと磨き上げられました。

SV650の復活にも期待!

ベースとなった『SV650』は生産を終了していますが、『SV-7GX』の登場によって、長年親しまれてきた645㏄Vツインの魅力が新型モデルへと受け継がれました。

では『SV-7GX』だけでなく、『SV650』が再び新型となって登場する可能性はあるのでしょうか。

スズキ開発チームの皆さんに聞いてみましたが、もちろん今後の展開について明言することはできません。それでも、定評のある645㏄Vツインが新型モデルに採用されたことを考えると、ファンとしては期待せずにはいられません。

昨今のスズキは、270度位相クランクを採用したパラレルツインエンジンを搭載する『GSX-8シリーズ』を充実させています。そこに645㏄Vツインを心臓部とするVツインスポーツがさらに加われば、ミドルクラスのラインナップはかなり強力です。

これからのスズキのミドルクラスがどう進化していくのか、目が離せません! 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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