二輪業界が年に1度大集合! 「バイクラブフォーラム」とは?

8月25日(木)、日田市民文化会館「パトリア日田」において、二輪業界団体と関連省庁・自治体等によるバイク業界・市場改善の取組みのひとつ「バイクラブフォーラム(以降、BLF)」が3年ぶりにリアル開催された。
BLFは、年に1度、構成団体のメンバーが開催地(毎回変わる)に集まって、フォーラム形式で取組みの内容や進捗の報告が行われる催しだ。今回は大分県の日田市(ひたし)で行われたが、日田市と言えば全日本ロードレース選手権等の開催地でもある国際規格サーキット「オートポリス」のある自治体で、BLFの翌日には「大分・阿蘇ツーリングキャンペーン」の出発式も開催された。

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なお、BLFの詳細については下記の公式サイトを参照してほしい。様々な取組やこれまでの開催内容についてもよくまとまっていてわかりやすい。

●バイクラブフォーラム公式サイト:https://www.bikeloveforum.jp/

経産省がツーリング!? 来賓や開催地からの挨拶

それでは、「第10回 BIKE LOVE FORUM in大分・日田」について紹介しよう。イベント内容は毎回同じような構成で、まずは来賓や開催地からの挨拶で始まるのだが、今回注目だったのは経済産業省製造産業局自動車課長の清水淳太郎さんのお話。

経産省自動車課長と言えば、二輪車業界のみならず自動車業界全体と連携し、国の基幹産業である自動車産業のかじ取りをまかされている中央省庁の現場トップ。だいたい2~3年くらいで異動があるので、BLF創設時からはもう4~5人は変わっているのだが、清水さんはこれまでにない挨拶を行った。

「現場主義を大事にしたきたが、これまでバイクに十分な縁がありませんでした。8月、課の仲間とお台場でバイクに乗ってきて、その魅力を自分の体で感じられました。走っているという感覚が自動車以上で、すごく五感で感じられて、移動自体が楽しいものというのが大きな発見でした。

信号待ちの会話、ゴールした時の喜びなど自動車とはまた違って、仲間といろんなことを一緒に楽しむという良さがあった。こうした喜び、魅力をいかに多くの人に伝えていくかがバイク市場の活性化、バイクを通じたいろいろな人の幸せにつながると感じられました。

今の時代にふさわしい魅力、外で楽しむ解放感ということが、アフターコロナ、ウィズコロナという時代にマッチしているなと感じました。」

なんと! 7月1日付けで自動車課長に就任した清水さんは、さっそく課のメンバーと一緒にお台場ツーリングをしてきたというのだ。お堅い人が多いというイメージの中央省庁だが、清水さん率いる自動車課にはこれまで以上に期待ができそうだ。

そのほか、BLF開催地である大分県副知事の吉田一生さん
は大分県が温泉県であると同時にものづくり県でもあることをアピール。
さらに、開催市である日田市からは水郷ひたキャンペーンレディの中田ケイトさんが登壇し、大分県や日田市の観光についてその魅力を紹介。特に、漫画「進撃の巨人」の作者である諫山創(いさやま はじめ)先生の育った日田市大山地区の関連スポットについてアピールした。

バイクを活用した地域振興を! 交通安全も欠かせない

ここからが本編となるが、まずは「二輪車を活用した地域振興等について」というテーマで、大分県西部振興局地域創生部長の山口満さんから発表があった。

大分県の概況、県西部振興局の取組、二輪車を活用した地域振興の3部構成で話され、源泉数4300余りと日本一の温泉県である大分県が「宇宙ノオンセン県オオイタ」のうたい文句のもとアジア宇宙開発ビジネスの中核拠点を目指していること。

一方で、コロナ禍では絶好調だった観光に急ブレーキがかかり、まだ回復できていないこと、ウィズコロナ時代に必要な新たなコンテンツとしてキャンプ、アウトドアなどに注目し、受入れ環境の整備、自然環境を保全しながら地域が恩恵を受け続けられるよう持続的な観光振興が必要だと語った。
ライダー誘致の観光施策については、オートポリスでのATV体験事業や熊本県小国町の神社と連携したライダー向け温泉手形の発行、さらには前述した「大分・阿蘇ツーリングキャンペーン」についても熊本県との県境をまたいだ画期的な施策として期待があり、地域が連携しながら売り込む体制が必要と述べた。
また、日田市内においても大型二輪での死亡事故が発生したことから、持続的な観光地づくりを進める上で交通安全は欠かせないという点も強調。地域と二輪業界が一緒になって事故ゼロを目指していきたいと述べ、関係各所に協力を求めた。

全国に広がる災害バイクボランティア

続いて、大分県における二輪車活用事例として由布市災害ボランティアバイク隊広報の小野清冶さんから活動報告が行われた。地震や台風といった自然災害が発生した時に、バイクの機動力を活かして現地で活動する災害バイクボランティアは全国で展開しているが、大分県には現在3つのバイク隊がある。

由布市のバイク隊は8年前から活動に取り組み、立上げ時にはメンバーが防災士の資格を取得。現在45名が活動し、災害発生時には情報収集や物資輸送の支援などを行っている。
「阪神淡路大震災でもバイクは有効でした。災害支援にはオフロードバイクが適していて日々練習しています。社会から付加価値があると思われたいしバイクの社会貢献をどう伝えていくか、バイクを通じて何が発信できるかを考えています。」

由布市バイク隊は2017年に大分県と物資輸送について協定を結び、官民協力の取組みが評価されている。災害時にはスマホアプリ「YAMAP(登山用GPSアプリ)」を使い、通行可能なルートを確認できるように写真を撮影するなどして情報収集に貢献する。
「日本ではほとんどの場所で、過去10回以上の土砂災害が起こっています。バイク隊の活動場所は日本中にあるんです。一家に1台バイクがあったらどれだけ貢献できるか、スクーターでもカブでもいいんです。」

一方で、今後の課題としてはバイク隊員の高齢化を上げていた。読者の皆さんもぜひ、バイク隊への参加を考えてみてほしい。

(中編に続く)

 

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