カスタムショーはコンテストでもある

カスタムショーはバイクが展示されるだけでなく、ビルダーたちが技術やセンスを競うコンテスト形式になっていることが少なくありません。2022年12月4日(日)、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)にて開催された『YOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW 2022』(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー)も例外ではなく、日本最大級のカスタムショーとあってアワードの行方が国内だけでなく海外からも注目され、大きな話題となります。

『YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2022』(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー)の主催者、招待ビルダーやゲスト、メインスポンサー代表らたち。

▲『YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2022』(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー)主宰、招待ビルダーやゲスト、メインスポンサー代表らたち。

日本のカスタムシーンは風土・気候・道徳・食べ物など様々な文化がそうであるように、アメリカやヨーロッパとは異なる独創性・オリジナリティがあり、さまざまなジャンルのカスタムバイクやレーシングマシンなどが、ボクたちの想像している以上に外国で大きく取り上げられていたり、クローズアップされていることがあるのはご存知でしょうか。

海外からも熱視線を受ける

年に一度だけ。日本のカスタムシーンをリアルに目のあたりにできるヨコハマ・ホットロッド・カスタムショーは回を重ねるたびに入場者数も注目度も増し、大きな意味を持つものとなっています。

30回の節目を迎えたヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー2022は過去最高となる2万1000人の入場者数に達し、出展車両もバイク500台、クルマ300台を超える盛況ぶり。“カスタムの祭典”と呼ぶに相応しい賑わいっぷりでした。

▲30回の節目を迎えたヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー2022は過去最高となる2万1000人の入場者数に達し、出展車両もバイク500台、クルマ300台を超える盛況ぶり。“カスタムの祭典”と呼ぶに相応しい賑わいっぷりでした。

例年取材していて感じるのは、このために来日する外国人のお客さんであったり、海外からのメディアはモーターサイクルショーを凌ぐかもしれない、そう思うほどに熱量があることです。

こうした事を踏まえて考えますと、アワードを手にしたり海外の記者たちを驚かせたビルダーが海外でも一躍有名になったり、もっと言えばハリウッドスターや著名なミュージシャンからカスタムのオーダーを受けるなど、世界へ羽ばたくきっかけにもなるステージでもあるのです。

頂点に立ったのはカスタムワークスゾン

「ねぇねぇ、聞いて〜」と、自慢話のようにヨコハマ・ホットロッド・カスタムショーがどれほどにスゴイかを冒頭で書き綴りましたが、500台の出展バイクの中から選ばれ、総合優勝に相当するもっとも名誉あるアワードが『Best of Show Motorcycle(ベスト・オブ・ショー・モーターサイクル)』です。

栄えあるベストに選ばれたのは「CUSTOM WORKS ZON/カスタムワークスゾン」(滋賀県蒲生郡)。高校生の同級生でコンビを組み創業20周年、吉澤雄一さんと植田良和さんが2012、2018年以来、3度目の頂点に輝いたのでした。

驚きは外装やフレームを含め、すべてアルミ製であること。美しく弧を描くリジッドフレームまでもがアルミによってハンドメイドされているのです!


構成されるパーツは、アルミの塊や板から一点ずつ削り出したり切り出したりし、さらに曲げながら溶接するなど膨大な時間と手間をかけて製作されています。

積まれているエンジンは、手の込んだ彫金が施されたハーレーダビッドソン1973年式のショベルヘッド空冷Vツイン。吉澤さんによると、「オーナーの要望から“生まれ年”であるエンジンで」と、これだけが唯一、プロジェクトがスタートする段階から決まっていたことだったと教えてくれました。

オールアルミ製としたのは「誰もやらないことに挑みたかった」からで、創業20周年の節目を迎えた集大成のひとつとして「なにができるかを考え、賛否両論あるかと思いますが、敬遠されがちなアルミで!」と、ふたりのチャレンジがはじまります。

膨大な時間と手間をかけて作業した植田さんは「アルミは“曲げ”が難しい」と教えてくれます。強度を保つことも考慮しつつ、イメージ通りに手で曲げていくのは高度な技術を要します。見事なまでの完成度で、最強コンビがナンバー1の座に返り咲いたのでした。

3連覇なるかと注目集めたシュアショット

もちろん昨年の王者、ディフェンディングチャンピオンからも目が離せません。前回まで2連続でベスト・オブ・ショー・モーターサイクルに輝いた「SURE SHOT/シュアショット」(千葉県八街市)は、1998年のFXDをベースにネオクラシックストリートトラッカーとした『PHASE III』で、3連覇なるかと注目が集まりました。

ルックスやスタイルだけでなく、スポーティな走りにも重きを置くのが、ビルダー相川拓也さんの一貫したスタイル。エアショックのフロントエンドが軽快なハンドリングを生むのは想像に容易く、ホイールはアルミ削り出しで高剛性かつ超軽量です。


エボリューションVツインエンジンには、ダウンドラフト吸気でFCRキャブを2基がけ。リヤサスは水平配置され、テールエンドはスッキリとなにもありません。今回は「ベスト・ディティールワーク」を受賞しました。

世界に誇る日本の最強コンビ!

いかがだったでしょうか、日本を代表するカスタムビルダーたちの作品。ベスト・オブ・ショー・モーターサイクルが決定した直後に、カスタムワークスゾンの吉澤さん&植田さんをすぐに直撃インタビューさせていただき、動画にて収録することをお許し頂きました。海外でも絶賛される侍ビルダーたちの貴重な生声、ぜひご覧ください! 今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事