スーパーバイク世界選手権を運営する『スーパーバイクコミッション』は、2024年から適用される新たなレギュレーションを発表。長期的な視点に立ったWorldSBK=スーパーバイク世界選手権の技術的変更について合意したとしている。

●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:WorldSBKオフィシャルサイト

WorldSBKオフィシャルサイトで公表

スーパーバイクコミッションを構成するドルナ、FIM、MSMAは、幾度にもわたる会合を経て2024年からスーパーバイク世界選手権のレギュレーションを変更することにしたと明らかにした。

環境に対する有益な政策や安全に性能を制限するためとしているが、これに加えて、ドゥカティのアルヴァロ・バウティスタが抜きん出ており、カワサキのジョナサン・レイが来シーズンよりヤマハへ、ヤマハのトプラック・ラズガットリオグルが同じく来シーズンよりBMWへと移籍するなど、ドゥカティ一強ながら混迷度を深めているレースシーンに喝を入れ、選手権の人気を維持することも狙いと思われる。

ポルティマオでマニュファクチュラーチャンピオンを決めたアルヴァロ・バウティスタ。よほどのことがない限りライダーチャンピオンも逃さないだろう。

以下、公開された新たな技術規則の草案とその詳細を列挙していこう。

燃料流量制御

環境ガイドラインに沿った技術開発を促すべく、2025年から燃料流量制御システムの使用が義務化されると決定。これに先立ち、2024年には各メーカーの2台のバイクに燃料流量計を取り付け、プラクティスとレースの両方でデータを記録・検証し、2025年に実装する。

燃料タンク容量の削減

2024年に燃料タンクの容量は最大で21.0Lへ。上記の燃料流量計の導入と合わせ、燃費の提言が義務付けられたのと同義と捉えていいだろう。

コンバインドウェイト(合計重量)

シンプルな記述のため詳細は不明だが、2024年シーズンにライダーとマシンを合計した重量に最低重量を設けるものと思われる。これはFIM-DWO-MSMAの合意に基づくもの、とのこと。

最高回転制限

上記の合計重量と組み合わせて議論されたもので、2024年のRPM制限はFIM-DWO-MSMAの合意によりシーズン開始前に設定され、シーズン中には引き下げられないという。また、スーパーコンセッションのオーバーシュートが発生した場合のRPM引き下げ介入は免除される。回転数提言に関するバランス計算条項は廃止。

クランクシャフトとバランスシャフトは重量変更可能

クランクシャフトとバランスシャフトの重量は、FIM公認検査中に測定された公認重量から±20%の変更が可能。ただし対応する部品はFIM適格部品リストに記載されているものでなければならない。これはシーズン中に、比較的大きなエンジン特性の変更が可能になるということ。一般的には軽いほうが高回転のピックアップがよくなり、重いほうがスピニングを起こしにくくなると言われる。

スーパーコンセッションとコンセッション部品

承認はイベントの1か月前に行われ、最終的な詳細の承認はイベントのテクニカルコントロール日の14日前に行われる。FIM SBKレギュレーションにスーパーコンセッション部分を記載する必要がなくなる代わりに、特定のコミュニケーションが行われる。

以上、詳細な意図までははかりかねるものもあるが、10月28日土曜日、チャンピオンシップの最終ラウンド中にSBKコミッションの正式な会議が開催され、決議へと向かう模様だ。

合計重量については明らかに環境への配慮と関係なさそうで、これは小柄で体重の軽いバウティスタが有利と一部から言われていることへのアンサーなのだろう。ドゥカティが強すぎることによるファン離れが起こらないように、という苦肉の策のようにも感じられるが、これでレースが面白くなるならファンにとってはメリットになるかもしれない。いずれにしても、シーズン最終盤になってから来シーズンすぐに開始するレギュレーションを発表するというのは電撃的だ。これがレースシーンの盛り上げにひと役買うことを願わずにはいられない。

6年連続のチャンピオンで絶対王者とまで言われたジョナサン・レイは今季、苦しい戦いを強いられている。来季はヤマハへ。

2021年のチャンピオン、トプラック・ラズガットリオグルはフラストレーションの溜まるレースが多く、来季はBMWへと移籍する。

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