ある日突然起こるトラブルのひとつに「鍵(イグニッションキー)が回らない、抜けない!」というものがある。しかも、そういう時に限って出先だったりするから、手の施しようがないなんてことも…。鍵が回らなければエンジンもかけられないし、ハンドルロック時に発生すると解除できないからバイクの移動もできない。無理して鍵をポッキリ折ったなんてこともけっこう聞くから、笑えないバイクトラブルだ。
でだ。実は筆者のセロー250(中古車)も「鍵が回らない」「鍵が抜けない」というトラブルがたまに起こる。車種が問題なのではなく、あくまでも個体管理の問題なので、前オーナーの使用・保管方法の影響もあるのだろう。今回は、実体験も踏まえながら、鍵のトラブル対処法について紹介する。

なぜ、鍵が回らなくなるのか? その原因とは

鍵が回らなくなる理由で最も一般的なものは、鍵穴にホコリや汚れがたまってしまい、キーシリンダーの動きが悪くなるというものだ。原因は、バイクの使用・保管状況や洗車のやり方といった日常的なものから、鍵やキーシリンダー内部の摩耗(経年劣化)といったものまでいろいろと考えられる。

特に注意したいのは、年式の古い車両、雨ざらしで保管している車両、バイクカバーを使っていない車両、ダート走行をする車両などだ。また、保管場所が海に近い場合も風に乗った塩分の影響を受けるので気を付けたい。いずれにせよ、中古車を購入した場合は前オーナーの使用・保管状況はわからないため、基本的に警戒しておきたいトラブルだ。
なので、鍵穴の内部にホコリやゴミ、水が入らないよう日頃から注意しておくべきだ。また、このトラブルは一度発生すると完全には直りにくい。人間で言うと腰痛持ちのように時折忘れた頃に襲ってくる。筆者は駐車・保管中には養生テープで鍵穴にフタをしている(上写真)。見てくれは悪いが、油断しているとまた回らなくなるからだ。

なお、鍵の切り込みやキーシリンダー内部の摩耗が原因ならば、それらを新しくする必要もある。高くつくが致し方ない。

鍵が回らない時に、やってはいけないこと

鍵が回らない、抜けないといった時にやりがちなのが、潤滑スプレー、シリコンスプレー、パーツクリーナーやグリスなどを鍵穴に拭いてしまうこと。これらは全部やってはいけないことで、仮に一時的に鍵が回ったとしても、シリンダー内でゴミと粘着してしまい、その後の状況をさらに悪化させることが知られている。

また、鍵にオイルや水をつけるといった、鍵を濡らす行為は全て逆効果になるのでやらないように。キーシリンダーは乾いた状態で作動するように作られているからだ。シリンダーピンの動きが悪くなれば、回すどころか、抜き差しすらできなくなってしまうぞ。

なお、もし上記のようなケミカルを使ってしまった場合には、鍵穴の中に「パウダーを含んでいない鍵穴潤滑スプレー」を拭き、「鍵を差す」「鍵を抜いて、付着する油汚れを拭き取る」を繰り返すことで鍵穴の内部を少しずつきれいにするしかない。

それでも、直らない場合は鍵穴内部の高度な洗浄が必要になるので、プロにまかせたほうがいい。まずは、行きつけのバイク販売店へ相談しよう。

鍵が回らない時の、トラブル対処法

とにかく、鍵をむりやり回す、引き抜くといった力技は厳禁! あっけないほど簡単に鍵が折れてしまう。鍵が折れたらそこで終わり、かつ修理代も高額になる。鍵穴のトラブルはたいてい内部の汚れなので、まずはエアーダスターなどでホコリやゴミを吹き飛ばしてみよう。これで改善しないようなら重度と判断し、ケミカルに頼るのだ。

使うことができるケミカルは「パウダーを含んだ鍵穴潤滑専用スプレー」が基本となる。有機溶剤と一緒にさらさらとした白い粉を吹き込むことで、鍵穴内部の汚れを吸着させて溶かし、吹き飛ばす(下写真)。さらに、一般的な潤滑スプレーと違って速乾性があり、鍵穴内部の金属表面に乾いた被膜を作るので、その後のシリンダーピンの動きを邪魔しないようにできている。
動きの悪くなった鍵穴に対して実際に使ってみたので、ご覧あれ! 見事に復活だ。



■デイトナ 鍵穴潤滑パウダースプレー
価 格:1,153円(税込)
サイズ:H125×φ34mm ※実測値
容 量:70ml
成 分:ボロンナイトライド、有機溶剤、噴射剤(LPG)
問合せ:株式会社デイトナ
TEL:0538-84-2520
HP:https://www.daytona.co.jp/products/single-72394-parts

経験談だが、もし一度でも鍵が回らなくなったなら、このスプレーは常時携帯しておいたほうがいい。いつまた発生するか本当にわからないからだ。しかも、なぜか急いでいる時に限って発生する(笑)。なので、自分はシートバッグ内に常備している。
また、イグニッション(メイン電源)だけでなく、シートの鍵穴、ヘルメットロックの鍵穴、U字ロックの鍵穴などにも使えるので、やはり1本常備しておくと安心だ。

出先で鍵が回らない時の「緊急トラブル対処法」

「完全に回らない!抜けない!」というトラブルが出先で起こったらどうすべきか? 鍵穴専用潤滑スプレーはホームセンターなどには置いてあるが、コンビニで売っているものではない。というわけで、ロードサービスを呼ぶ前にやっておきたい緊急トラブル対処法も記しておこう。

1. ハンドルを左右に動かしながら、鍵を回す又は引き抜いてみる

この時も鍵に力を入れすぎないように。ハンドルをガンガンやっても意味はない。もし、運よく鍵が回り、鍵を抜くことができたら、鍵穴を開いて息を吹き込んでホコリをはらう(つばを落とさない!)、鍵の切れ込みを乾いた布で拭いてきれいにしてから、慎重に鍵を差し込もう。

2. それでもダメなら、コンビニで鉛筆購入!?

1.ではどうにもならないレベルなら、以下を試してみよう。
①鍵穴を少し開いて隙間から何度も息を吹きこみ、ホコリを飛ばす(凍結が原因で回らない場合にも有効)
②乾いた布で鍵を拭き、きれいにする。くぼみや切り込みもきれいに
③鉛筆の先で鍵のくぼみや切り込みをなぞり、黒鉛(グラファイト)をこすりつける
④慎重に鍵を差し込み、回してみる

鉛筆ならコンビニやサービスエリアにも売っている。だが、事後の鍵穴掃除の面倒を考えれば、あくまでも非常時の対処法だ。基本的には鍵穴専用の潤滑スプレーを使いたい。

普段はあまり気にしない鍵穴だが、トラブルと致命的。ぜひ頭の片隅に入れておいてほしい。

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