CT125ハンターカブカスタム沼にどっぷり肩まで浸かった、モトメカニック編集部・ミヤシ。自分の使い方にあった理想のリアサスペンションを作る奮闘記、第2話です。酔の席で始まったこのプロジェクト、第1弾のテストモデルはソロライドには必要十分な性能を持ったサスペンションでしたが、キャンプ用品などをフル積載した場合、簡単にフルボトムしてしまうことが発覚(前回掲載)。そこで再度モトテック(アラゴスタモーターサイクルサスペンション)の杉山代表に新たなスプリング(2作目+3作目)を用意してもらいました。
●文/写真:モトメカニック編集部(ミヤシーノ 宮下豊史) ●外部リンク:アラゴスタモーターサイクルサスペンション[モトテック]
新たなスプリングを2種類入手。仕様違いをテストします
(前回より続く)
さて、今度は一度に2種のスプリングを用意してもらいました。フルボトムするので高いレートにする予定でしたが、同時進行で一人乗り時に気持ちの良いバージョンも作ることに。バージョン1については、スプリングを手元にあった”スプリング長の短い有り物”で進行したため、今回は長いものを2種作ってもらいました。こちらを先にテストします。
バージョン1・・・180mm
バージョン2・・・220mm
スプリングが長くなると、同じレート同士を比べるとスプリングの動きがマイルドになります(短いとピーキーに)。プリロードをかけられる幅も多くなり、1G時でのセッティングの幅も広がるので、お勧めとのこと(杉山氏談)。
中央のオレンジがバージョン1のスプリング(スプリングレートは1.2kgf/mm。スプリングの全長は180mm)。その右がバージョン2で、シングルレート。一番左がバージョン3でバリアブルレートです。
新しいスプリング2種、全長は同じものの仕様が異なります。ひとつは1.2 kgf/mmのシングルレート(バージョン2)。もうひとつは1.0-1.4kgf/mmのバリアブルレート(バージョン2)。シングルレートは、素直な特性でセッティングを出しやすく、ここぞというシーンを決め打ちして走るにはちょうど良い性格を持ちます。後者のバリアブルレートは、街中での走行や空荷時、林道やワインディングなど走っている状態によってレートが変化するので、キャパが広くオールマイティに使用できるはず、とのこと。さらにバリアブルは上の値が1.4と純正と同等なので、底づきをしないはずです。
バージョン2テスト:1.2kgf/mmシングルレートを試す
まずは素直な性格を持つシングルレートから。スプリング長の変化による違いを味わうため、走り込みます。持ち込んだのは、福島県の「モトスポーツランドしどき」のミニコース。ここを1日走り込んで、新しいスプリング特性を確かめました。
スプリングの長さが変わっただけでどれだけ変化を感じられるの? どうせ鈍感な自分のことだから違いがわからないのでは? と、正直なところあまり期待していませんでした。しかし、コースを周回するたびに、バージョン1に比べサスがより上下に動くのを体感でき、さらにコースのギャップを軽やかにいなし、ジャンプ時の着地衝撃をしっかり受け止めてくれます。
動画カメラをサスペンションに向け、動きをチェックしました。どんなシチュエーションでもフルボトムすることもありません。もちろん荷台には何も載せていない状況です。
このときの模様を動画にまとめましたので、ご覧ください。後半はサスペンションの動きを確認できるようにカメラをセッティングしました。スポーツライディングするには最高のサスでした。
「スプリング長を長くした方が良い」という杉山代表の言葉通りの結果に満足です。
バージョン3テスト:1.0-1.4 kgf/mmバリアブルレートを試す
続いてバリアブルレートを試します。こちらは荷物を満載し、10日ほど旅に出てのテストラン。キャンプ道具/カメラ機材/パソコン/着替えを積み込みます。荷物の総重量は、トップケースやカバン本体を含めておそらく40kgほど。プリロードも最初から多めにかけておきます。
東京湾からフェリーに乗船し、2泊かけて九州の新門司へ上陸。高低差のあるワインディング。流れの良いバイパス走行でのコーナリング。ちょっとしたフラットダートなどなど様々な路面をテストラン。天気もコロコロと変わり、雨天走行時の挙動も体験することができました。
荷物が重すぎて、センタースタンドを立てるとフロントタイヤが地面から浮きます。
九州上陸後、博多へ立ち寄り、そして阿蘇へ。やまなみハイウェイやミルクロードの絶景ロードを走っていたところ、ちょうど野焼きに遭遇。その後に北上し、由布院でも壮大な野焼きを見ることができたお土産話満載の楽しい旅でした。
由布院周辺の野焼き。間近で体感でき、その匂い、熱気、音に大興奮。
別府から四国へ渡り、最終的に徳島港から東京へ戻りました。往復フェリーを使用したので、総走行距離は1000km強の旅となりました。
残念ながら、このツーリングでのテスト結果は良くありませんでした。
休憩ごとに、シャフトに取り付けたタイラップ位置によってサスペンションがどれだけストロークしかをチェックしましたが、ワインディングや軽いダートを走るシーンなど荷重がリアにかかりやすいシチュエーションだと、サスは簡単にフルボトムしていました。絶えずフルボトムが続くことも、その状態で挙動が突如破綻することも、乗り味が悪いというわけではないのですが、ストローク量に余裕を持たせないとやはり不安です。
結論からいうと、1.0 -1.4kgf/mmについては、空荷時の性能は抜群に良いのですが、筆者がキャンプツーリングで運びたい荷物を積むとフルボトムしてしまうので、NGに。空荷で走ることをメインとする方ならば、ベストなセッティングなのですが…。このスプリングは、いつかキャンプ仕様に飽きがきて、荷物をそんなに載せないツーリングやスポーツ走行用にモディファイしたい時のために保管しておくことに。
さて、次はバージョン4です。今度は純正レートよりも高くします。アラゴスタ杉山さんと相談し作ることとなったスプリングレートは、1.2-2.0kgf/mm。バリアブルレートのみで走り込みます。果たしてこれが正解なのでしょうか? ゴールとなるのでしょうか??? 実はこの時点で、開発をスタートしてからすでに半年が過ぎています。。。
(つづく)
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