純正のリアキャリアは、大きくて使い勝手が良すぎるので、色々なものを「もっと」積み込んでツーリングへと出かけたくなります。そして筆者は自制心がないので、際限なく荷物を積みすぎる傾向があります。(51㏄以上の自動二輪は60kgが上限です)

僕のCT125ハンターカブのリアキャリアには、ドイツのツアラテック社製のトップケースが鎮座しています。容量は72リットル。バイザー付きのオフロードヘルメットを、2つ飲み込むほどの化物サイズです。ケースは汎用品ですが、装着用のステーのみ日本の総輸入元であるツアラテックジャパンが、オリジナルで製作販売しています。

2021年の春には、これにキャンプ道具を満載し九州&四国ツーリングを楽しんできました。しかも、取材旅行も兼ねていたので、一眼レフや交換レンズ、動画用のアクションカメラに、さらにはドローンなどの撮影機材も積み込むとトップケースはすぐに満杯に…。

もっと荷物を積めるようにしないと、お気に入りのキャンプ道具も満足に持っていけません。
(もしくはもっと小型&軽量なキャンプ用品に買い換える?)

そこで、更なる積載性能向上のために、新たなカスタムパーツを導入しました。
それが「パニアケース」です。

BMWのGS系やアフリカツインなどのアドベンチャーバイクでは一般的な、テール周り両脇に装着するハードケースです。大きく、さらに重量もありますので、小排気量車、とくにハンターカブの様なバイクではかなり珍しいカスタムかと。便利さもさることながら、「カスタムは目立ってなんぼでしょ」という考えに僕は賛同する派なので、お金のことには目をつぶって装着することにしました。

CT125の車体価格(44万円)を考えると、かなり高価なパーツです。ただ、ステーは車種毎に異なりますが、ケースは汎用。つまり車体を買い替えてもステーさえ用意すれば、使い続けることができるのです。GSを含めて多頭飼い(複数台所有)している筆者としては、ケースを共有できるので投資しても良いかな? と考えた結果の導入でもありました。

なお、防水性能があり、蓋を開けて荷物を放り込むだけなので、パッキングも楽ちん。ズボラな僕にはぴったりなカスタムでもあります。

ケースはトップケースに合わせてツアラテック製にしました(黒色。片側31リットル)。汎用品なので色、サイズを自分に合ったものを選べます。しかし、CT125用のステーは世の中に存在しません。そこでCT125専用のステー(パニアラック)を開発してもらうことにしました!

とは言え、そもそもツアラテックジャパンさんも「CT125用を作っても良いかな」と考えていたところだったとか。そこへ僕が「作ってくれたら、パニアケースもセットで絶対に買うし、宣伝も手伝うから」とやって来たものだから、渡りに船と、開発に着手してくれました。

僕がツアラテックジャパンさんへ要求したことは特になし。強いて言えば、2022年3月の東京モーターサイクルショーで展示したいので、それまでには完成させて欲しい、という点のみ。お願いしたのは2月末でしたが、ショーの1週間前には出来上がり、内外出版社のブースにてお披露目をすることができました。現在は商品化され、一般販売も開始されていますので、興味のある方はホームページから問い合わせをしてみてください。

パニアケースの装着で積載性は格段と向上しましたが、別の問題が出てきました。ケース、ステー、さらにそこに荷物を積み込むと、相当な重さになります。それを受け止めるには、サスペンションのセッティンングが必要不可欠です。

少し前の記事で、キャンプツーリングに耐えられるリアサスを開発しました。詳しくは以前の記事をご覧ください。

パニアケースと積載物の重みに合わせて、オリジナル仕様のリアサスをさらにチューニングします。高レートのスプリングへ変更し、プリロードを通常の倍かけます。しかし、当たり前なのですが、リアサスに比べてフロントサスが柔らかすぎて、すぐにフルボトムしてしまいます。今までも気になっていましたが、今回のカスタムでついに看過できなくなりました。

そこでバランスを取るために導入したのが、YSSのスプリングキットです。純正に比べてスプリングレートが上がり、プリロードの調整も可能になります。さらにダンピング機構を持つバルブが付いているので、ノーマルに比べると格段にグレードアップし、コシがある乗り味となります。フロントサスが踏ん張ってくれるので、ブレーキをしっかりとかけられるようになり、コントロール性も向上しました。すでにリアサスを社外パーツに交換している方には、おすすめのカスタムです。

スプリングだけでなく油面、オイル粘度も変更となります。作業に慣れた友人と二人で交換しましたが、この作業はバイク販売店や用品店にお願いすることを強くお勧めします。なぜなら、フロントフォークを三又(ステム)に固定しているボルトが、驚くほど固く締まっているからです。一人がバイクを抑えることでなんとか取り外せましたが、途中で諦めかけたほどです。

さて、作業を終えたので、次はテスト走行です。「荷物を乗せて近所を一回り」ではなく、ちゃんとキャンプツーリングへと出かけます。ガレージを出た瞬間にその違いを体感できました。

一番の違いは、左右のパニアケースに荷物を振り分けたことによる安定感の向上です。リアキャリアよりも下に装着されているので重心が低くなり、コーナリング時の挙動が安定し、嫌なふらつきが大幅に減少しました。横風の影響も受けにくくなりました。

高レートのリアスプリングに変更しプリロード調整をしたので、バイクの姿勢は純正とほぼ同じ、リアさがりになってはいません。走行時にはフロントへの荷重が適度にかかりますので、接地感が高まりハンドルのふらつきもありません。

加減速時の挙動も緩やかになり、姿勢が安定しました。これらのカスタムで、荷物満載での走行時に気を使う場面が少なくなり、気持ちも楽になりました。テスト結果は上々です。そうなると沸々と湧き上がってくるのが「ロングツーリングに行きたい欲」です。

キャンプ道具を積んで旅に出たい。ひたすら走り続けたい。

決めました! 北海道へ行ってきます‼︎

小排気量車なので若干の不安はありますが、このCT125ハンターカブならば、どこまでも行けそうな気がします。大型バイクとは違った旅となりそうで、楽しみです。

次回は、準備編となります。購入からちょうど2年経ちましたので、出発前に購入店で法定2年点検をしてもらう予定です。

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