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クラッチワイヤーが突然破断!そのとき頭はパニックに……
ほとんどの機種のクラッチとアクセルはワイヤーで作動を行っています。新しいバイクで、かつ整備が行き届いていれば、あまり遭遇するトラブルでは無いですが、過走行車だったり、潤滑油であるグリス不足のまま、作動を続けているとインナーワイヤーが摩耗して破断してしまうことがあります。
ちゃんとショップで定期点検整備を受けていれば、ある程度防ぐことは出来ますが、出先で突然クラッチワイヤーが破断すると厄介なのは言うまでもありません。
もし、ワイヤーが破断してロードサービスなどに頼れない状況の場合、クラッチを使うこと無く修理できる場所まで走る方法を覚えておくと良いかもしれません。
実際に出先でクラッチワイヤー破断に見舞われた!
実際にワイヤーが切れた時の写真です。
私は過去に深夜の都内で信号からの発進時、ギアをローに入れようとしたところで突然クラッチワイヤー破断に見舞われた経験があります。
当時住んでいた家まであと少し……。冬の寒い寒い夜でした……。
ロードサービスにも入っておらず、深夜のため友人も頼れませんでした。
その日はあきらめて徒歩で自宅に帰り、翌日バイクショップに引き上げてもらいました。
その時に、エマージェンシー用にクラッチ無しで走る技を伝授してもらいましたので紹介します。
クラッチを使わない走法の手順
クラッチ無しで走るのに最も苦労するのが発進時です。アイドリング状態のままクラッチ無しでギアをニュートラルから一速に入れるとほぼ間違いなくエンストしてしまいますし、下手をするとミッション故障を招きます。
クラッチを使わない発進方法
- 発進時はエンジン停止状態でギアを一速に入れ、そのままセルモーターの力で車体を押し出しつつエンジン始動します。
- エンジンがかかったらアクセルをゆっくり開けていけば、そのままスタートを切ることができます。
クラッチを使わずギアチェンジする方法
走り出したら次の関門はギアチェンジです。
ギアチェンジ時は、アクセルを戻した一瞬、クランクシャフトの回転トルクが一瞬少なくなった瞬間にシフトアップ&ダウンを行えば、ミッションを傷めにくく、比較的スムーズなシフト操作が可能となるはずです。
停車時はなるべく手前から惰性で走るのが吉
一般道では赤信号のタイミングで必ず停車しなければなりません。そこで、なるべく遠くの信号状況を見て、赤信号に捕まりそうになったらすかさずギアをニュートラルに入れて惰性で走り、ブレーキで減速&停車すればスムーズに停車することが出来ます。
停車したら、キルスイッチでエンジンを停止し、ギアを1速に入れた状態で待ちます。信号が青に変わったら再びセルモーターの動力でスタートするのです。
クラッチを使わない走法はあくまで緊急手段として!
万がいちの事態のために、この方法をクローズドコースなど安全が確認できる場所で一度練習しておくと良いかもしれません。
しかし、これはあくまで緊急対応手段の走法となります。ミッションを傷めたり、周りの交通の妨げになることもあるので、できるだけロードサービスなどの救援を呼ぶことを強く推奨いたします。
アクセルワイヤーが切れることも
多くのバイクのアクセルワイヤーは引き側と戻し側の2本が使われています。たいてい切れるのは引き側です。言うまでもなく、引き側が切れるとアクセルを開ける事ができません。
出先で工具を潤沢に持っているなら戻し側のワイヤーを一時的に引き側に付け替える応急処置ができる可能性もあります。しかし、全くワイヤーの形状が合わず流用できないことも多いです。
応急的に走るにはアイドリングを上げる!
もし、どうしても走らなければならないなら、一時的にアイドリング回転を上げて走るという方法もあります。しかし、アイドリング調整できるのはキャブレター車と一部のFI車だけだし、アクセル操作なしでは思うように走れないので、やはり緊急時の応急と考えましょう。
アイドリング調整ノブはキャブレターやインジェクター付近に設けられています。詳しくは車種ごとの説明書やマニュアルを参照してください。
ワイヤー破断を防ぐのに効果的なのはグリスアップ!
ワイヤーが切れるのは両端のタイコの付近が最も多いです。定期的にグリスアップを行うことでワイヤーの摩耗、および破断を防ぐことができます。
インナーワイヤーに摩耗の痕跡があれば交換も検討したいものです。
定期的なワイヤー内部のオイルアップも有効です。
自分でメンテナンスを行うのが難しいのであれば、しっかりと定期的にプロによる点検整備を受けることが、ワイヤー破断を防ぐ最良の方法と言えるでしょう。