バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回はバイクのカウルやヘルメットの帽体などに使われる素材の話、『FRP』をピックアップ。
そもそも『FRP』とは?
『FRP』とは、Fiber Reinforced Plasticsの略で、和名はFiber(繊維) Reinforced(強化) Plastics(プラスチック)を直訳してそのまんま“繊維強化プラスチック”。でもってその特徴も読んで字の如く、“繊維”で “強化”されている“樹脂”だから通常の熱成形しただけの樹脂(プラスチック)よりも頑丈というわけである。
『FRP』の繊維(クロス)素材はグラスファイバー(ガラス繊維)であることが一般的。正確に書くならGlassFRPとかGFRPなど記すことになるが、単に『FRP』と記されている場合は、大抵ガラス繊維を芯材とした『FRP』のことを指す。
次回解説予定の「カーボン」も大きなくくりとしては『FRP』であり、略さず書くなら“カーボンFRP”とか、“CFRP”ということになる。とにかく繊維や布を芯材に樹脂で固めたパーツは全部ひっくるめて『FRP』の一種であると思っておけば間違いない。
『FRP』のなにが凄いの!?
通常の熱成形プラスチックよりも軽い
……ってことだ。繊維で強化されているから、同じ樹脂素材(プラスチック)と同等の強度を持たせる場合にも、より強度の高いFRPの方が部材を薄くすることができ、結果として軽量化することができるというワケ。
ただ金型で“ガシャン”と大量生産できる熱成形プラスチックに比べ、『FRP』は繊維の貼り込み作業が必要になるため多くの手間を必要とする。大量生産には向かず、小ロット生産の高級なモデルに採用される。
『FRP』外装採用のモデルといえば……
2024年現在、現行モデルとしてラインナップしているホーク11のロケットカウルやシートカウルは『FRP』製。アルミ叩き出しのようなフォルムを“継ぎ目のない一体構造”で作るために『FRP』が採用されている。
軽量化のために『FRP』製の大型フェアリングを採用。生産台数は全世界で5000台程度と言われている。
日本国内での販売計画台数は1000台。近年ホンダはこの『FRP』製カウルの再販事業をスタート。
『FRP』ならより複雑な形状が作れる
二輪の世界で『FRP』は、バイクのカウルやフェンダーなどの外装パーツのほか、ヘルメットの帽体などにも使われており、裏側を見ればやはり『FRP』の特徴である繊維が見える。 『FRP』製のヘルメットは、熱成形プラスチックのヘルメットよりもはるかに軽く、複雑な凹凸面が作りやすいなど『FRP』の特徴を活かしてデザインも凝っていることが多い。
冒頭で紹介したホーク11のロケットカウルなどはその最たるもので、通常の熱成形プラスチックの作り方ではどうしてもカウルに継ぎ目ができてしまうところを、『FRP』製とすることで、一体成形ならではの滑らかなラインを作り出すことに成功している。
ガラス繊維以外の『FRP』もある
話は飛ぶが、スズキが2024年の東京モーターサイクルショーでレース事業への復活を宣言! 参戦の皮切りとなるのは2024年の鈴鹿8耐のようだが、参戦車両であるFIM世界耐久選手権用のGSX-R1000Rには、バイオ由来の成分を混合した燃料や再生タイヤなど、さまざまなサステナブルなアイテムが採用されている。その中で前後フェンダーには株式会社トラスの麻(リネン)『FRP』を採用することも発表された。
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